会社分割のメリット・デメリットを徹底解説

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会社を成長させる方法はさまざまですが、その1つに「会社分割」という方法があります。分割するとなるとマイナスなイメージを持つ方もおられますが、実はさまざまなメリットがある手法なのです。

今回は、会社分割のメリット・デメリットについて解説します。

会社分割とは

会社分割とは

「会社分割」とは、企業が有する事業内容のうち、その一部または全部について新設企業もしくは既存の別企業に対して承継することです。

企業が事業を進めるにあたっては、会社の成長に伴いさまざまな事業を追加することがあります。しかし、さまざまな事業を追加して事業内容が変化するに伴って、事業内容の肥大化により事業全体の非効率化したり、会社の成長を妨げる要因になったりもします。

経営者が不要と判断する事業について終了させるのも1つの決断ではありますが、今まで投資してきた金額が無駄になったり、その事業に従事している従業員の雇用が消失したりする問題があります。そのため、可能であればその事業を世の中に残しつつ、かつ自社からは切り離す方法として会社分割が用いられるのです。

会社分割を行うことにより、自社の事業内容がスリム化します。コア事業や成長性が期待できる新事業など、経営者にとって注力したいと考える事業に対して資金やマンパワーを集中できます。また、分割会社は承継会社から株式を取得できるため、分割方法や分割事業によっては相応の譲渡益が発生して会社の利益を確保できます。

一方で、必要な手続きが多いことなど、会社分割には少なからずデメリットも存在することは無視できません。デメリットによる悪影響を抑えつつ、会社分割によるメリットを最大化するための方法を模索するにあたっては、会社分割などのM&Aの専門家である仲介会社を利用することも視野に入れましょう。

会社分割と事業譲渡の違い

会社分割と事業譲渡の違い

会社分割の本質は「事業の移転」にあります。これと似たような手法として「事業譲渡」という方法がありますが、会社分割と事業譲渡は全く異なる手法です。

事業譲渡は、譲渡元企業が保有する取引先や業務委託先などの関係者との契約については、それぞれ移転のための手続が必要です。一方で会社分割の場合は、分割対象の事業に関する取引先などの契約については、原則として承継企業にそのまま承継されるため個別に移転手続をする必要がありません。

ただし、契約内容によっては会社分割を実施する場合においても相手方への事前通知または承諾が必要である旨が規定されている場合もあります。そのため、会社分割でも場合によっては各関係者との個々の契約書の確認作業は必要です。

また、買収対価の支払いについては、会社分割の場合は一般的に承継先企業の自社株式の交付という形になります。一方で事業譲渡の場合は現金での支払いとなるため、事業譲渡においては譲渡先企業の事業買取に必要な資金の調達が譲渡する事業の内容・規模によっては難しくなるでしょう。

課税面に関しては、会社分割が適格組織再編であると認められる場合は法人税上の優遇措置を適用できます。一方で事業譲渡の場合は、売り手企業に対しては法人税がかかり、買い手に対しても消費税がかかります。

その他にも、移転事業にかかる従業員の扱いなど、会社分割と事業譲渡ではさまざまな違いがあります。一概にどちらの方が優れているとか、上位的な手段であるという評価はできません。

移転したい事業がある場合は、会社分割と事業譲渡それぞれの特徴を把握した上で、どちらのほうが今回のケースにおいて適しているかを慎重に検討しましょう。必要に応じて外部の専門家のアドバイス・サポートを受けることも検討してください。

会社分割の種類

会社分割の種類

一口に会社分割といっても、実は大きく分けると4種類の手法に分類できます。分類のポイントは「事業承継の対価となる株式の交付先」および「事業承継の対象となる企業の性質」にあり、それぞれが2種類ずつあるため組み合わせにより合計4種類の会社分割があります。

分社型新設分割

1つ目の会社分割は「分社型新設分割」です。これは、会社分割するにあたって新会社を設立し、その新会社に対して事業承継を行って対価となる新株を分割元の企業が取得する方法です。分割元となる企業は新会社の株式を取得するため、当事者企業間には親子関係が成立します。

分割型新設分割

2つ目の会社分割は「分割型新設分割」です。これは会社分割に際して新会社を設立して事業を承継し、対価となる株式は分割元企業の株主が取得します。この場合、分割元の企業自体は新会社の株式を取得しないため親子関係は成立せず、どちらかといえば兄弟関係が発生します。

分社型吸収分割

3つ目の会社分割は「分社型吸収分割」です。これは会社分割に際して新会社は設立せず、既存の別会社に対して事業を承継して承継会社が発行する株式を分割元企業が対価として取得する方法です。新会社設立に伴う諸手続きが発生しない点は大きなメリットですが、承継企業の選定が会社分割の成否を大きく左右します。

分割型吸収分割

4つ目の会社分割は「分割型吸収分割」です。これは会社分割において承継先企業を選定して事業を承継し、その対価となる株式は分割元企業の株主が取得します。

さらに、会社分割には「適格分割」という分類もあります。これは、会社分割において発生する税務処理に対する税制上の優遇措置であり、最大8つの要件を満たすことで会社分割において発生する不動産取得税などが非課税になります。

会社分割のメリット

会社分割のメリット

会社分割を行うことに対して「事業規模が縮小する」というネガティブなイメージを持つ方も少なくありません。確かにそうした側面があることは事実ですが、会社分割を行うことは数多くのメリットも存在するのです。

分割会社のイメージダウンが起きにくい

会社分割を行うメリットは「分割会社の企業イメージが悪化しにくい」という点が挙げられます。

たとえば会社合併や会社売却などのM&A手法の場合、どうしても吸収される側の企業に対してはイメージダウンが起きやすいものです。「あの企業は事業に失敗した」といったネガティブな印象が残りやすく、分割元企業に法人格が残ってもイメージダウンの影響は無視できません。

企業イメージが悪化することは、とくに取引先との関係において悪影響を招きやすいものです。必然的に企業の売り上げや利益にも悪影響が発生し、事業を切り離しても得られるメリットが薄れます。

その点、会社分割ではイメージダウンが起きにくいといえます。会社分割は別企業がわざわざ新株を発行してまで事業を承継してくれるので、外部から見てもそこまで悪いイメージは起きにくいでしょう。

「あの企業は会社分割で心機一転している」といった好印象をもたれやすく、分割後に悪影響を受けることなく本業に専念できます。

既存の契約を見直せる

会社分割を行う2つ目のメリットは「既存の契約を見直し、巻き直しを図れる」という点が挙げられます。

企業は、ビジネスを進めるにあたってさまざまな取引先と契約を結ぶ必要があります。そうした契約の中には事業を進める中で何かしらの問題を抱えているケースもあります。とはいえ、一方的に契約を打ち切ってしまえば業界内で悪評が広まる恐れがあり、他の契約や取引関係に対して悪影響を及ぼすリスクを避けられません。

その点、会社分割では自社のイメージを崩すことなく、既存の契約を見直して必要に応じて契約内容を変更するチャンスとなります。会社分割を新設分割で行う場合、新たな法人として立ち上がるため、承継した事業に関連する取引関係をいったんゼロにして契約のまき直しを図れます。

この契約のまき直しにより分割企業・新設企業に対して生まれるメリットは大きく、たとえば不採算事業を再編する際において利便性があります。

債権者に同意を得る必要がない

会社分割を行う3つ目のメリットは「自社の債権者に対して同意を得る必要がない」という点が挙げられます。

何らかの事業を自社から切り離して別企業に譲渡したい場合、いくつかの選択肢がありますが、その多くは事業譲渡をするために自社の債権者からの同意を得なければなりません。

つまり、債権者が同意しなければ事業を移転できないのです。仮に、経営陣が採算性の悪い事業をすぐにでも切り離したいを考えていても、債権者が同意しない限り不採算事業であっても抱え続けなければなりません。

その点、会社分割ではそうした問題が起きません。会社分割は基本的に事業移転するにあたって、自社の債権者から同意を得る必要がないのです。そのため、債権者が同意しないと想定される場合でも滞りなく事業を移転でき、採算性などの課題をスピーディに解決できます。

事業移転に伴う手続きがシンプルである

会社分割を行う4つ目のメリットは「事業移転に必要な手続きがシンプルである」という点が挙げられます。

事業移転を行う方法はさまざまですが、その中には手続きが複雑で手間がかかるケースも少なくありません。たとえば事業譲渡の場合、移転する事業にかかる許認可の手続きや労働者との契約、取引先との契約を一から進めなければなりません。そのため、事業移転を完了させるまでに相応の時間が必要です。

その点、会社分割では手間をかけることなく事業移転を完了させられます。会社分割は移転する事業に関して「包括承継」となるため、事業場などの手法と比較すると契約関係の移転手続きはシンプルです。

事業の移転にかかる手間を最小限に抑えられるため、速やかに事業を切り離したい場合に会社分割には大きなメリットとなります。

事業移転に資金調達が必要ない

会社分割を行う5つ目のメリットは「事業移転に伴い資金調達を必要としない」という点が挙げられます。

事業譲渡を行う場合、移転事業の対価は原則として現金で支払われます。つまり、事業を買い取るための資金を用意しなければなりません。譲渡する事業の規模や内容などの条件次第で必要な対価の金額は異なりますが、多くの場合は借入などを行って必要額を調達しなければならないでしょう。

過度な借り入れは会社を傾けることになりますし、そもそも借り入れによる資金調達が必ずしも成功するわけではありません。移転先企業の規模や財務状況によっては、いかにして移転に必要な資金を確保するかという問題に直面します。

その点、会社分割であれば移転先企業が別途資金調達をする必要がありません。会社分割において承継する事業の対価は、承継企業の新株発行により賄われます。新株発行にも少なからずコストはかかるものの、現金を対価として事業移転する場合と比較すると大幅に少ない金銭的負担で済むでしょう。

移転先においてシナジー効果が生まれる

会社分割を行う6つ目のメリットは「移転先企業において、移転した事業をきっかけとしてシナジー効果が生まれる」という点が挙げられます。

会社の成長には、さまざまな条件や苦労を必要とします。そして、大きな成長を爆発的に実現するためには、相当な好条件を満たさなければならないでしょう。かんたんなことではありませんが、企業間競争などの問題で少しでも急成長の可能性を高めることは、ビジネスにおける生き残りのためには重要なポイントでもあります。

その点、会社分割はシナジー効果を生み出し、移転先企業の急成長をサポートする可能性があります。移転した事業に関連するノウハウや生産技術などを取得することにより、今まで1社だけでは成し得ることのできなかったひらめきや相乗効果が発生します。

このシナジー効果により、画期的な新商品の開発などを実現し、企業の急成長を実現できる可能性があるのです。

問題のある事業を切り離して経営を健全化できる

会社分割を行う7つ目のメリットは「問題のある事業を切り離すことで自社の経営を健全化できる」という点が挙げられます。

企業が有する事業内容の中には、必ずしもその企業に対して良い影響をもたらすものばかりではありません。場合によっては採算性が悪かったり、他の重要な事業に対して足かせとなってしまったりするケースもあるでしょう。

こうした問題のある事業をいつまでも抱え続けていると、会社の経営の健全性が損なわれてしまいます。会社の成長を阻害するだけでなく、会社の存続に関わる問題に発展するリスクも少なからず存在するのです。

その点、会社分割を行うことで問題のある事業を切り離して健全性を確保できることは大きなメリットになるでしょう。分割元となる企業にとっては問題のある事業でも、運営母体が変われば採算性を確保できるなど、優れた事業として存続させられる可能性があります。

事業を手放した側は残った事業に集中できるため、採算性の良い事業や成長の見込める事業などに注力して、会社の成長を促せます。

分割中も営業を継続できる

会社分割を行う8つ目のメリットは「事業を分割している間も営業は継続できる」という点が挙げられます。

前述のとおり、事業譲渡などのM&A手法の場合だと、どうしても手続きの問題や債権者からの同意の問題があって、なかなかスムーズに事業移転できないケースも珍しくありません。事業の移転に時間をかけてしまうと、その間の営業にも少なからず悪影響を及ぼす可能性は捨てきれません。場合によっては、債権者の同意を得ている間に致命的なトラブルが起こる可能性もあります。

その点、会社分割であればスムーズに移転手続きを完了させられるため、営業を一時的に停止する等の必要性はありません。たとえば新規事業を始めたい場合でも、会社分割では起業準備などの時間が必要ないため、会社分割の手続きをすすめている間も混乱なく当該事業に関わる活動を続けられます。

新会社で後継者を育成できる

会社分割を行う9つ目のメリットは「新会社を設立することで、新しい環境で後継者などの育成が可能になる」というメリットがあります。

特定の事業において後継者や従業員の育成をしたいと考えるにあたって、既存の環境ではそれが難しい事情を抱えているケースも珍しくありません。日本国内の会社の中には慢性的な後継者不足に悩まされている会社や部門も多く、後継者や従業員の育成に問題を抱えたままでは会社の存続にも関わることになるかもしれません。

その点、会社分割を行うことで人材育成の環境を整えることにもつながります。新設型の会社分割であれば新会社を設立する必要があるため、後継者に新会社で会社経営の経験を積ませたり、重要な事業に従事する人材の育成のための環境を整えたりできます。

株主関係を整理できる

会社分割を行う10個目のメリットは「社内の株主関係を整理できる」という点が挙げられます。

会社が複数の事業を手掛けている場合、その事業に対する各株主の評価は必ずしも一致するわけではありません。ある株主はAという事業に注力するべきだと考えている一方で、別の株主はBという事業に注力したいと考えているケースも珍しくありません。

このような構図では、株主同士で意見が衝突することがあります。会社内で株主の意見が対立してしまうと、会社の経営にも少なからず悪影響を及ぼす可能性は捨てきれません。

その点、会社分割を行うことにより事業への評価ごとに株主の割り当てを行い、株主関係を整理できます。会社分割により事業内容ごとに分社化することで、当該株主に対してそれぞれの分社ごとの株式を割り当てられます。

これにより、各会社の株主は力を入れたい事業に注力できます。事業内容が問題で自社株主の対立が深刻化している場合、会社分割による当該株主の整理は大きなメリットをもたらすでしょう。

事業ごとの責任や業績管理を明確化できる

会社分割を行う11個目のメリットは「事業内容ごとの責任の所在や業績管理などを整理して明確にできる」という点が挙げられます。

事業が拡大して過度に肥大化してしまうと、事業ごとの責任の所在や業績の管理が曖昧になるリスクも考えられます。この状況を放置してしまうと、業績悪化の原因を解明するのに過度な手間をかけることになるでしょう。

また、責任の所在が不明瞭なことで致命的なトラブルの発生を食い止められなくなるなど、健全な会社経営にとって無視できない状況になります。会社の利益を圧迫し、人材の流出リスクが高まるなど、多くのデメリットの中で経営を進める状況が常態化してしまうでしょう。

その点、会社分割を行うことで事業内容が整理され、事業内容ごとの責任や業績管理が明確になる可能性が高いといえます。1つの経営母体が多数の事業を抱えている場合と比較すると、会社分割により分社化して責任関係や業績管理がしやすいレベルまで事業内容をスリム化したほうが、健全な経営を実現できます。

事業の成長・躍進を促進できる

会社分割を行う12個目のメリットは「分割した事業の成長や発展をサポートできる」という点が挙げられます。

保有する事業の中には、他企業と提携することでさらなるビジネスチャンスを獲得できたり、ちょっとした考え方の違いによってさらなる発展を遂げられる可能性を秘めている事業もあるでしょう。しかし、現状の経営状況では会社のフットワークの鈍さや考え方の固着により、事業の成長を妨げている会社も珍しくありません。

その点、会社分割を行うことで軽いフットワークを身に着けて、事業の可能性を最大限に活かせます。たとえば、新会社という新しい環境に何らかの可能性を秘めた事業を任せることで、今までの環境では難しかった新しいチャレンジに挑戦したり、新しいノウハウを取り入れることで急成長を促したりすることも不可能ではありません。

雇用を維持できる

会社分割を行う13個目のメリットは「当該事業に従事する従業員の雇用を守れる」という点が挙げられます。

仮に、採算性などで問題がある事業があるとして、その事業をやめてしまう選択肢もあるでしょう。しかし、事業を終了させるということは、その事業に従事してくれている従業員の居場所を奪ってしまうことでもあります。また、事業譲渡の場合は経営者が変わることにより、雇用状況にも何らかの影響を及ぼすケースも珍しくありません。

その点、会社分割であれば当該事業の従業員の雇用に悪影響をもたらすリスクは最小限に抑えられます。会社分割は移転する事業について雇用関係なども分割先企業が包括承継するため、その事業に従事する従業員は労働環境がそこまで変化しません。

他のM&A手法と比較すると当該事情に従事する従業員は、会社分割であれば最小限の影響で働き続けられるのです。

移転する事業の数を選択できる

会社分割を行う14個目のメリットは「移転する事業の数を選べる」という点が挙げられます。

事業を移転したい会社には、さまざまな思惑をもってM&Aを考えます。場合によっては1つ2つの事業だけを切り離したい場合もあれば、完全にすべての事業を切り離して全く新しい事業にチャレンジしてみたいと考えることもあるでしょう。

とくに後者の場合だと、M&Aの手法によっては法人格が解散されてしまうため、「事業は手放したいが会社の存在は守りたい」場合にM&A手法を慎重に選定する必要があります。

その点、会社分割は柔軟性のある事業移転の手法として高い利便性が評価されています。会社分割は事業の一部だけでなく全部について移転の対象にでき、なおかつ分割会社の法人格は残るため、同じ会社で一から再スタートを図る利用方法もあるのです。

新会社をスピーディに稼働させられる

会社分割を行う15個目のメリットは「新会社を設立するにあたってスピーディにそのスタートを切れる」という点が挙げられます。

新会社を新規に設立するにあたっては、事業が軌道に乗るまでに相応の手間をかける必要があります。顧客や取引先を確保し、人材の育成やノウハウの蓄積などに相当な苦労を伴います。経営者の中には高齢などの理由で新会社を早く安定させたい事情があるケースも考えられますが、焦り過ぎれば失敗のリスクを高めることになるでしょう。

その点、会社分割による新会社設立は軌道に乗るまでのスピード面でメリットがあります。会社分割では、移転する事業に関するすべての権利義務や資産を、承継先となる新会社に包括承継します。

当該事業にかかる取引先や権利関係、人材なども包括して新会社に移転させられるので、一から新会社を立ち上げる場合と比較すると承継企業の事業が軌道に乗るまでに必要な期間を短縮できます。

会社分割のデメリット

会社分割のデメリット

会社分割を行うことには数多くのメリットがあることがわかります。一方で、会社分割を行うと以下のデメリットも発生し得えます。回避できるデメリットについては可能な限り発生リスクを抑えられるように、しっかりと理解しましょう。

承継会社の株価が下落する

会社分割を行う1つ目のデメリットは「承継会社の株価が下落する」ことが挙げられます。

会社分割では、承継先となる企業が移転する事業の対価として、新株を発行して分割企業または分割企業の株主に交付します。この点は承継企業が当該事業の譲受のための資金調達が不要というメリットでもあるのですが、新株を発行するということは発行した株式の総数が大幅に増加することでもあります。

必然的に、承継先企業の1株あたりの株の価値は下落します。そのため、承継企業の株主や経営陣からの反発を受ける可能性がある点について十分に考慮して、会社分割を行う必要があるのです。

債務を引き継ぐことになる

会社分割を行う2つ目のデメリットは「承継会社が当該事業にかかる負債を引継がなければならない」という点が挙げられます。

会社分割は「事業の移転」を目的に実施されますが、実務上は「移転事業にかかる資産および負債の移動」です。つまり、承継会社は当該事業にかかる資産を包括的に受け継ぎますが、資産と同時に負債も受け継がなければならないということです。

最大の問題は「簿外債務」の存在です。簿外債務とは、財務諸表を見るだけでは把握できない債務のことです。移転する事業に関連して簿外債務が発生している場合は、承継会社も事前に把握できないまま想定外の負債を抱えなければなりません。

株主総会の特別決議が必要になる

会社分割を行う3つ目のデメリットは「株主総会の特別決議が必要」という点が挙げられます。

会社分割では、債権者からの同意を得る必要はありませんが、事業規模が変化するため自社の株主からの同意は必要です。

具体的には株主総会の特別決議を開催する必要があります。この特別決議において、全株主の3分の2以上から賛成を得られなければ、会社分割は実行できません。つまり、会社分割に反対する株主が多い場合は、その対応に追われ、予想外の手間がかかります。

業務内容が不安定になる可能性がある

会社分割を行う4つ目のデメリットは「業務が不安定になる」という点が挙げられます。

会社分割を行うということは、分割企業は譲渡した分だけ事業内容が減少し、承継企業は譲受した分だけ事業内容が増えます。新規事業をスタートする場合も同様ではありますが、事業内容が劇的に変化することによりさまざまなトラブルが発生する可能性があります。

この混乱は、事業再編が完了することで落ち着くものの、急激な事業再編は現場に大きな負担を強います。場合によっては事業再編に伴う混乱に耐えられなくなり、退職者が続々と発生する事態を避けられないケースもあるでしょう。

相手企業の評価が自社に波及する可能性がある

会社分割を行う5つ目のデメリットは「分割相手の企業イメージの悪化が自社にも波及する可能性がある」という点が挙げられます。

会社分割を行うことは、移転する事業の規模や内容にもよりますが、分割企業と承継企業は親子関係や兄弟関係を構築することでもあります。要するに、当事者となるすべての企業は、深い関連を持つ企業として世間に認知されるのです。

もし、会社分割後にどちらかの企業に大きなマイナスイメージが発生してしまった場合、もう一方の企業に対してもマイナスイメージが波及するリスクがあります。仮に何の関係性もない場合であっても、「あの企業の親会社だから同じだろう」などと思われるリスクを免れません。

さまざまな手続きが必要になる

会社分割を行う6つ目のデメリットは「さまざまな手続きに奔走する必要がある」という点が挙げられます。

会社分割を実行するにあたっては、移転事業にかかる当該資産の移転に伴い財務手続きが発生します。また、不動産の移転登記も必要になりますので、会社分割を完了させるためには数多くの手続きを済ませなければなりません。

厄介なのは、こうした手続きの多くが複雑であり、方法を間違えるリスクも少なからず存在することにあります。とくに税務処理に関連する手続きにミスがあれば、不正会計などの評価を下されるリスクもゼロではありません。

会社手続きを何度も経験しているような経理担当がいれば話は別ですが、多くの場合は会社分割の手続きに慣れている人材がいないでしょう。必要に応じて、税理士など外部の専門家の助力を得なければなりません。

移転する資産の中には問題のあるものも含まれているかもしれない

会社分割を行う7つ目のデメリットは「移転する資産にも問題があるかもしれない」という点が挙げられます。

会社分割では、移転する事業にかかる資産を包括承継します。一般的に資産は多ければ多いほど良いものですが、移転する資産の中には何らかの問題を抱えているものが含まれているリスクはゼロではありません。

たとえば「すでに老朽化しており処分費用が高額である」「維持費用が高額であり収益性を低下させている」といった問題のある資産であっても、移転する事業にかかるものであれば包括的に承継しなければなりません

場合によってはこれらの資産により発生する不利益が、自社の利益を致命的に圧迫してしまうリスクも考慮しなければなりません。加えて簿外債務などのリスクもありますので、会社分割するにあたっては分割企業から移転される資産と負債を精査して、移転によりトラブルが発生するリスクを正確に把握することが重要です。

事業の移転に許認可が必要な場合もある

会社分割を行う8つ目のデメリットは「事業移転に伴い許認可を得なければならないケースもある」という点が挙げられます。

事業内容によっては、特定の許認可を必要とする場合があります。当然ながら分割元の企業は必要とする許認可を持っていますが、事業承継する企業が当該事業に必要な許認可を得ているとは限りません。

会社分割は許認可の移転は行われません。そのため、移転する事業に何らかの許認可が必要であれば、承継企業があらたに取得しなければならないのです。

許認可の内容によっては、取得に相応の手間がかかり、難しい条件を満たす必要があります。そのため、事業を承継するにあたっては、承継する事業に必要な許認可の内容を把握しておくことが重要です。

株式の現金化が難しい

会社分割を行う9つ目のデメリットは「分割企業が取得する株式を現金化できない可能性がある」という点が挙げられます。

会社分割の対価となる株式は、それが上場企業のものであれば問題なく現金化できるでしょう。これにより資金調達も可能ですが、問題は「承継企業が未上場の企業である」場合です。

未上場の株式は、株式市場において現金化できません。そのため、会社分割において取得する株式で資金調達したい場合は、承継先企業が上場済みであることを念頭に置いて相手企業を選定する必要があります。

企業の活力が低下するリスクがある

会社分割を行う10個目のデメリットは「分割企業の活力低下を招くリスクがある」ことが挙げられます。

会社分割という名称からもイメージできるように、分割企業はその事業規模を一時的にとはいえ削減します。当然ながら、社内外にそれなりのイメージ変化をもたらすでしょう。

問題は従業員のモチベーションが低下するリスクです。会社が2つに分割されることによるモチベーションの低下は、企業の活力を大幅に低下させてしまいます。事業分割したことによる影響以上に、会社にとって良くない影響をもたらす可能性があります。

また、単純に切り離した事業による生産性が失われてしまう点も、企業の活力低下を招きます。会社分割後も企業の競争力を維持するためには、会社分割による悪影響のリスクを考慮してその影響を抑えられるように、サービスの品質維持や従業員のフォロー体制の確立に努めましょう。

企業の肥大化を招く可能性がある

会社分割を行う11個目のデメリットは「承継企業の事業規模が肥大化してしまう可能性がある」という点が挙げられます。

会社分割は、分割企業の事業をスリム化して、経営の健全性を確保できるメリットがあります。つまり、事業を承継する側の企業にはそれと真逆の事態が発生するのです。

承継企業は事業を承継することにより事業内容が急激に増加し、場合によっては肥大化レベルの事業規模になってしまう可能性もあります。会社分割により事業を移転するにあたっては、移転先の企業が過度に肥大化しない程度に、移転する事業の内容を考えることが重要です。

人材流出のリスクがある

会社分割を行う12個目のデメリットは「会社分割が人材流出のリスクを招く可能性がある」という点が挙げられます。

一般的に、対象事業が包括承継される会社分割は、会社分割という手法自体は人材流出のリスクは少ないとされています。しかし、会社分割により経営陣が変わることで、移転する事業にかかる従業員の考え方も変わってしまうかもしれません。

場合によっては、事業にとって重要度の高い、高い技術を持った従業員や優れたノウハウをもった従業員が社外に流出してしまう可能性があります。会社分割の影響による人材流出のリスクを抑えるためには、事業移転にかかる影響を事前に把握して、起こり得るリスクを抑えるための体制を確立しておくことが重要です。

企業買収・M&A相談ならウィルゲートM&A

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このように、会社分割には数多くのメリット、そして同時にデメリットも数多く存在することがわかります。これらのメリット・デメリットを把握したうえで、少しでもメリットを最大化できるような会社分割を実現することが重要です。

会社分割によるメリットを最大化するためには、ウィルゲートM&Aのような会社分割の仲介のプロの力を頼ることも重要です。会社分割のベストパートナーを見つけ出し、必要な手続きのサポートを受けられることで、会社分割によるデメリットのリスクを抑えてメリットを最大化できます。

ウィルゲートM&Aは完全成果報酬なので、着手金や中間費用は発生しません、無料相談も利用できますので、会社分割を考えている経営者の方はぜひ相談してみてください。

会社分割のメリット・デメリット まとめ

会社分割のメリット・デメリット まとめ

会社分割には魅力的なメリットが多数ある一方で、影響の大きなデメリットもあります。会社分割を検討する際には、発生し得るリスクもしっかり把握して、対策を講じることが重要です。

さらに、ウィルゲートM&AなどのM&A仲介会社の力を頼ることでデメリットを最小限に抑えた会社分割の方法を模索できます。ウィルゲートM&Aは無料相談を受け付けていますので、会社分割で専門家の力を借りたいと考えている方は気軽にご相談ください。

完全成功報酬型で着手金無料なので、お気軽にご相談ください。

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