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経営統合とは?合併との違いやメリット・デメリット、事例を解説

経営統合とは?合併との違いやメリット・デメリット、事例を解説

経営統合は一般的にも用いられる言葉で、M&A全般を指すと思っていらっしゃる方もいるようです。しかし例えば合併とは全く違うもので、数あるM&Aスキームの一手法なのです。

この記事では、経営統合の概要について、合併との違いやメリット・デメリット、事例とあわせて解説します。

経営統合とは

経営統合とは

経営統合とは、複数の会社が共同で新設会社を起こし、その新設会社を持株会社とした傘下に入ることで兄弟会社となりグループ化するM&Aの手法を指します。一般的に経営体制をまとめることも「経営を統合する」ということがありますが、経営統合というと特別な意味を持つわけです。

新設会社は、経営統合前のすべての当事者会社の株式を保有、管理することになります。この新設会社はホールディングスと呼ばれることが多く、統合前のすべての当事者会社はこの持株会社の子会社となります。

統合後も、すべての当事者会社は独立した法人格を持ち続けるので、経営の主体性は維持されます。そのため、企業間の結合度は比較的ゆるいといえます。

経営統合と合併の違い

合併は、合併後も残り続ける企業がその他の当事者会社を吸収する吸収合併と、新設会社を立ち上げそこにすべての当事者会社が経営を承継する新設合併があります。いずれにしても、合併後に残る会社は1つだけ(存続会社といいます)です。

したがって合併では会社の数は必ず減少します。経営統合ではその逆に持株会社が新設されるぶん、会社としては1つ増加します。この点が経営統合と合併の代表的な違いですが、ほかにも2点の違いがあります。

2つ目の違いは経営統合では当事者会社は全てそのまま法人格を維持するという点です。合併では、吸収合併でも存続会社以外のすべての会社が法人格を失い(消滅会社といいます)新設合併に至っては、当事者会社はすべて法人格を失います。(残るのは新設会社だけです)

3つ目は、経営統合では当事者の会社はすべて従前の法人格を持ち続け、独立した経営を継続するわけなので、特に経営のシステムを統合したり、合わせたりする必要がないことです。これに対し合併では、1つの会社となるので必ずシステム的な統合が必要になります。

また、経営統合では当事者会社のそれぞれの財務は独立していますから、いずれかの会社が損失をこうむったからといって、他の会社には影響しません。しかし合併では、いずれかの会社が損失を抱えていれば、それは合併後の存続会社にのしかかってきます。

経営統合と資本提携の違い

他にも経営統合とよく似た手法に資本提携があります。資本提携は、複数の企業が資本参加を伴って提携することをいいます。相互に株式を一部取得しあったり、増資を行ったりして協力して利益上昇を目指す関係となります。

資本提携では、相互の出資額に相応する株式を取得し合うので実質的にコストはかかりません。相互に安定株主となることで、増資も可能であり、ひいては株価の上昇も期待できます。企業間の結びつきはそれほど強くなく、経営の独立性は従前どおり維持されます。

これに対して経営統合では、持株会社がすべての株式を保有するので、グループ企業としての関係性はより強いものになります。

経営統合と業務提携の違い

もう一つ、よく似ているのが業務提携です。業務提携は、複数の企業が共同して営業や販売、研究開発などにあたることです。相互に人材リソースやノウハウなどが交流し合うことによりシナジー効果(企業間の交流によって得られる経営上の相乗効果)が期待されます。

経営統合(資本提携とも)との最大の違いは資本的なやり取りがないことです。そのぶん企業間の結びつきはより弱く、協力体制(コラボレーション)にとどまります。M&Aの一手法ではありますが、企業間の融合度はほぼありません。

業務提携と言いながら、共同運営する事業への投資の形で一定の資本のやり取りが行われる場合もあり、厳密な定義はされていません。

経営統合のメリット

経営統合のメリット

経営統合は、複数の企業がグループ化するM&A手法です。グループとしての関連性を作りつつ、それぞれの会社は独立しているのが特徴ですから、その特徴に依拠するメリットが生まれます。ここでは5つのメリットを挙げます。

コーポレートガバナンスの向上

コーポレートガバナンスは、企業(コーポレート)の経営をどのように掌握し統治していくか(ガバナンス)ということで、株主などのステークホルダーが企業を監視、監督し、統制を効かせていく仕組みを称します。

経営統合によって、持株会社(ホールディングス)が新設されます。そしてこの持株会社は、すべての当事者会社をその子会社として経営権の全てを掌握できます。つまり、ステークホルダーは、持株会社を通して一元的に企業グループのガバナンスを管理できるわけです。

子会社は実務的な経営は自由に行えますが、スーパーバイザー的な持株会社の事業方針の下でのことです。複数の子会社を統括して事業を運営する点において、経営統合はコーポレートガバナンスを格段に向上させられます。

効率的な経営

経営統合によって、それぞれの当事者会社が行っていた事業全体の経営管理と個々の事業の経営が分担できるようになります。つまり、持株会社はグループ企業全体としての事業総体の管理に徹することが可能で、それぞれの当事者会社は従前から行っていた個々の事業経営に集中できます。

グループ企業間での人材や経営リソースなどの交流や共有化、営業や生産面でのリソースの共有による効率化なども持株会社に任せられるので、経営統合によるシナジーを見通しやすくなります。

PMI(経営統合)の軽減

一般にM&Aにおいて、クロージング後のPMIは大きな経営課題となります。PMIが済むまで事業を止めるというわけにはいきません。PMIに専念することはできず業務負担はどうしても大きくなります。場合によってはPMI自体が十分に行えず、せっかくのM&Aの目論見を大きく損じてしまうことも珍しくはありません。

経営統合においては、当事者会社同士は持株会社を通じての関係性しかないため、厳密なPMIは要しません。給与テーブルや人事システム、業務評価システムなど、非常にデリケートな分野においても原則的には従前のまま行えて、すり合わせの手間が省けます。

人事面でのPMIなどは、従業員間の不公平感や不満を醸成しやすく、ひいては就業意欲の低下、収益性の悪化にまでつながってしまいかねません。経営統合の手法では、こうした面で神経質な対応を求められない点で優れているといえます。

リスクヘッジ

M&Aにおいてもう一つ大きなリスクがあります。それは、当事者会社の一つが抱えた負債や不採算事業の存在などによって、統合後の企業が大きな損失を背負い込みかねない点です。合併などでは、M&A後に発覚したリスクのために、存続会社自体がその事業継続を危ぶまれることもあり得ます。

経営統合においては、こうした任意の当事者会社のリスクが企業グループ全体に波及することを避けられます。持株会社を含む、すべての当事者会社の経営は独立しており、1社の赤字や損失が全体に及ぶことはありません。余計なリスクをお互いに抱え込まずに済むという点は、大きなメリットです。

後継者育成

昨今の少子高齢化は、事業承継を考える企業にとっても大問題です。後継者不足は重大な経営リスクになりつつあります。企業にとって優秀な後継者を育成することは、企業そのものの存続のためにも急務といえます。

経営統合は、持株会社にグループ全体のガバナンスを集中させ、子会社の独立性を担保します。つまり、企業グループ内に子会社同士の競争環境を作り出すことが可能です。同種事業を複数の子会社で運営させ、それぞれの子会社の経営者にその権限を与えれば、子会社というステージの中で経営スキルを高めていくことが期待されます。

経営統合のデメリット

経営統合のデメリット

経営統合は、当事者会社の経営が継続できるのがメリットなのですが、そのことが効率化という側面ではデメリットとして働くことが考えられます。4つ挙げて解説します。

子会社間の連携が困難

企業グループとはいえ、持株会社のもとで関係づけられた子会社はもともとは別の会社です。独立性が高いことは裏返せば関係性が薄いということです。PMIも丁寧には行われないケースが多く、会計処理の仕方などシステム的な違いは埋まりません。

会計処理の仕方や経営上導入しているシステム的な違いは、それを共有化することを妨げ、事務的な負担の効率化は困難です。独立性が高いからこそ類似した事業があっても統合は難しく、重複も起こりやすくなります。こうした子会社同士の連携の取りにくさは大きなデメリットになり得ます。

同一の企業グループ内とはいえ、同じ企業内にある状況に比べればコミュニケーション不足に陥りやすいので、十分なリレーションの構築に意を用いる必要があります。

シナジー効果が得にくい

子会社間の連携の難しさに起因するデメリットともいえますが、経営統合の場合、合併などより結合性の高いM&Aスキームに比べて、シナジー効果を得にくいことが考えられます。

各子会社の一つ一つの事業は、独立して行われていたもので、経営統合後も原則的にはそのまま継続されます。したがって仕入れの共通化、大量化によるコストシナジーや、営業ネットワークの共有化による売上げシナジーなどはなかなか実現しにくいことになります。

1つの企業であれば容易に行える優秀な人材の交流や、技術開発にかかわるノウハウ、知的財産権の共有化なども個々の企業の独立性のために犠牲になる部分でしょう。グループとしてのストラテジーとして、よほど意図的に行わない限り、こうしたシナジー効果はどうしても薄くなりがちです。

コスト削減に乏しい

グループ企業となり、共通する部門などはできれば統合して無駄を省きたいものです。しかし、各子会社が独立している以上、人事や総務部門、経理などの事業と直接関係のない部門も数が増え、当然重複した業務が増えていきます。

合併であれば、こうした部門はまっさきに統合され、大幅な業務効率改善が図れるところです。ところが経営統合ではこうした重複がわかっていても、なかなか整理することは難しく、持株会社などで処理しようとしても多種多様なシステムを管理するには結局人員を増やすことになりかねません。

システムや部門の混在

各子会社がそれぞれで独立して業務システムやITネットワークなどを運用していて、整理統合も難しいとなると、グループ全体で見れば多種多様なシステムの運用をある程度把握、管理しなければなりません。その手間と労力、コストは決して馬鹿にはなりません。

またグループ企業となった以上、今まで必要のなかった管理部門などを各子会社に設置しなければならないケースも考えられます。経営統合によって、企業グループ全体として持つ事業部門や管理部門などは整理されるどころか増加することさえあるわけです。

経営統合の成功事例

経営統合の成功事例

経営統合は、企業としての独立性を活かしながらグループ化によるシナジー効果をねらうものです。その成功例はそうした特徴を活かし、事業展開の活発化が実現した事例となります。11の事例を紹介します。

1. ホンダ × 日立

独自の技術開発でバイクや自動車業界で地歩を築いてきたホンダですが、同じくメーカーとして大手の日立との経営統合が行われました。ホンダ系列の部品メーカーであるショーワ、ケーヒン、日信工業の3社が日立オートモティブシステムズとの経営統合を発表したのは2019年10月のことでした。

この経営統合に伴って、ホンダは3つの部品メーカーの経営権を失うことになりました。どの企業も古くは第2次大戦前からの関係を築いてきた縁があっただけに、その消滅を惜しむ声や、競合相手である日立の子会社との経営統合に難色を示す声もあったといいます。

具体的な経営統合は、ホンダが33.4%、日立が66.6%を出資する新設会社を設立し、そこに4社が子会社化する形で行われました。この新グループの市場シェアは、デンソーやアイシン精機には後塵を拝するものの、国内第3位の巨大部品メーカーの誕生となりました。

しかしホンダ系列以外のリレーションを築き、新たな販路を求めるメリットは大きく、日立側にとっても今まで不足を感じていた自動車関係の技術情報や開発力の獲得など得るものは大きい経営統合となりました。そのシナジー効果はまだ計りしれませんが、市場では大手企業2社が絡む経営統合は高い関心を持って注視されています。

2. マツモトキヨシホールディングス × ココカラファイン

今やシェアの奪い合いで戦国時代の様相を呈するドラッグストア業界ですが、2019年8月にビッグニュースが発表されました。業界第5位のシェアを持つマツモトキヨシホールディングスと同じく第7位のココカラファインが経営統合の協議を始めるという内容でした。

発表によると、2020年1月末までに合意することを目指す内容の覚書を結んだとのことでした。これが実現すれば2020年3月期の段階で売上高は1兆円程度になり、店舗数およそ3,000店という押しも押されもせぬシェアとなり、業界トップのツルハホールディングスを抜き去ることになります。

ココカラファインには業界第6位のシェアを持つスギホールディングスからの秋波も送られていたといいます。しかし、ココカラファインは第三者を含む特別委員会を設置し、両者の統合提案を協議し、マツモトキヨシホールディングスの持つマーケティングと結びついた優れた商品開発力と店舗の運営力に軍配が上がったとのことです。

両社は、その商品開発力のシナジー効果などにより、プライベートブランドの充実などを目指し、中長期的な企業価値の最大化を目指すとしています。マツモトキヨシホールディングスは2016年度からシェアトップの座を譲っていましたが、この経営統合を機に一気にアジアでトップを目指すと意気込んでいます。

3. 伊藤ハム × 米久

食肉加工会社として大手の伊藤ハムは、2016年4月同じく食肉加工会社である米久との経営統合を発表しました。この経営統合は、両社が新設する伊藤ハム米久ホールディングスに共同株式移転を行い、完全子会社化するスキームで行われました。その譲渡金額は695億円にのぼりました。

両社は長年食肉加工業界で培ってきたノウハウや販路を持っています。これらを持ちよって、グループ企業として事業展開することによってコスト削減や収益性の向上などの大きなシナジー効果が得られると目論んでいます。また商品開発においても、技術面での交流が成果を出すものと考えられます。

実際にグループ企業化の2年後までにそのシナジー効果は33億円にのぼり、21年3月を最終期とする中期経営計画には1兆円の売上高が見込まれています。業界トップの日本ハムにはまだ及びませんが、こうした快進撃を支えている基盤として、筆頭株主となっている三菱商事の影響力も大きいと考えられています。

4. 三重銀行 × 第三銀行

2018年4月、株式会社三十三フィナンシャルグループが設立され、三重銀行と第三銀行がその傘下に入りグループ企業化する経営統合が行われました。異次元の金融緩和が続き、超低金利で経営に困難をきたしている銀行同士の経営統合は注目されました。

経営統合の理由として第一に挙げられていたのは、少子高齢化の進行、特に地方で顕著な人口減少の波など、社会変化に伴う構造的な問題が地域社会への影響を強めている中で、地域経済を支える金融機関としての基盤の強化が挙げられています。

また市場金利の低下の中で金融環境の変化から激化している金融機関同士の競争や、FinTechなどの技術的な革新を背景に異業種からの新規参入による新たな競争が生じていることも、企業としての体力強化の理由として挙げられています。

列挙された経営統合の理由は、この事例にのみいえるものではありません。したがってこうした金融業界の再編はさらに進んでいくと考えられます。

5. 第四銀行 × 北越銀行

上記の事例と同じく地方金融業界で進んだ再編の事例を挙げます。それは新潟県で実施された事例です。同県で事業展開する第四銀行と北越銀行は、両行の持つノウハウや地方経済に関する知見を補完し合う形でのシナジー効果を見込み、事業展開の能力強化とそのための企業体力の向上を目指していました。

両行は共同株式移転のスキームによって、持株会社を設立し、その傘下に入る形で企業グループ化、ひいては合併を目指す経営統合を実施しました。持株会社は第四北越フィナンシャルグループと称し、両行の親会社となりました。

地方銀行などの中小の銀行においては、その金融基盤の脆弱性から経営不振に陥っている例は少なくないので、こうした資本強化の動きは多くなっていくと考えられます。

6. 株式会社ティー・ワイ・オー × 株式会社AOI Pro.

株式会社ティー・ワイ・オーは、創業以来のテレビCMの制作会社で国内第2位のシェアを持つ企業です。株式会社AOI Pro.も同じくテレビCMをはじめ、携帯電話などの各種のコンテンツ制作、映画など映像作品の企画、制作、ノベルティ商品の販売など多角的に展開する大手の広告映像制作会社です。

2016年7月、AOI Pro.はティー・ワイ・オーとの経営統合に向けた契約を締結したことを明かしました。新設する持株会社は、AOI TYO Holdings株式会社と称し、両社を傘下に収めました。

この経営統合で、両社のコア事業である広告映像の制作に関しては相互に独立性を担保し合うこととしています。一方で人材育成や業務効率化の方策、仕入れや撮影機材レンタル、ポストプロダクションなどの部門での共通化、相互交流を行う方針です。

近年、広告業界の事業環境はインターネットの普及などもあって大きく変化しています。テレビCMの市場は中長期的な見通しが立てにくいのが現状です。しかし広告コンテンツ全体としては、事業領域や手法、構造的な変化を伴いながらも成長していくものと考えられています。

こうした現状認識を共有する中で、広告業界において豊富な経験と高い実績を持つ企業同士での経営統合は、高いシナジー効果が期待されます。そんなM&A要求の高まりの中、両社の経営方針や事業戦略等について検討を加えた上での経営統合に至ったわけです。

両社はAR(拡張現実)やVR(仮想現実)の事業領域に注力していくことを明らかにしています。

7. ミネベアミツミ株式会社 × ユーシン

2018年11月、ユーシンとの経営統合を発表したミネベアミツミ株式会社は、電気部品メーカーとして知られています。ベアリングやモーターを中心に制作を手掛け、小径やミニチュアサイズのボールベアリングでは世界トップのシェアを誇ります。また警察の制式拳銃ニューナンブや自衛隊の機関拳銃エムナインの開発製造でも知られています。

一方のユーシンは自動車用部品の製造や販売を手掛ける1926年創業の老舗部品会社です。世界15カ国に生産拠点があり、多種多様な自動車部品の開発、設計から生産に至るまでの事業展開をしています。高いセキュリティ技術の開発に成功しており、これを産業機械や住宅機器にも応用し、技術革新にも積極的な企業です。

自動車関連事業に高い成長性を見込んでいたミネベアミツミは、ユーシンに対するTOBを発表しました。その買付け価格は1株985円、買付け予定下限数は22,079,500株とされました。このTOBにユーシンの取締役会は同意し、経営統合が実現しました。

この経営統合で、自動車の品質管理に関する高い技術力を活かして、ミネベアミツミは自社の製品の高付加価値化を実現しました。また自動車メーカーとの直接取引に関しても、Tier1メーカーであるユーシンの顧客を基盤として活用できるようになりました。

企業グループ内での経営リソースの適正配分によるシナジー効果も得られ、自動車関連の事業面の強化やIoE関連の事業での新たなソリューションの開発も可能となり、売上高は統合前の1,300億円から3,000億円程度になると期待されています。両社の企業価値の最大化を図る意味でウィンウィンの関係を築くことに成功しました。

8. 前田建設工業 × 前田道路 × 前田製作所

2021年10月に、前田建設工業は、前田道路と前田製作所とともに、共同株式移転による経営統合を実施しました。3社は、新設したインフロニア・ホールディングスを完全親会社とするグループ企業となりました。譲渡金額は公表されていません。

前田建設工業は土木や建設の事業展開をする企業です。前田道路は、道路舗装の事業やそれに関連する製造販売の事業を手掛けています。前田製作所は、建設機械の関連事業を展開しています。3社は建設事業という点で互いに補完、協力し合える状況にあったわけです。

逆にいえば、3社には省力できる事業部門や効率化できるリソースが多くあることになります。この経営課題を解決する手段として経営統合が選択されたわけです。この経営統合によって、3社はその経営基盤を強化でき、リソースの最適配分によるコストシナジーを獲得できました。

9. Zホールディングス株式会社 × LINE株式会社

Zホールディングス株式会社は、もとはYahoo! Japanを運営するヤフー株式会社でしたが、2019年ソフトバンクグループ傘下の持株会社に移行した企業です。同社が同年の11月に発表したのがLINE株式会社との経営統合でした。LINE株式会社は、今やSNSの標準ツールであるコミュニケーションアプリ「LINE」を中心とするインターネット事業を展開しています。

この経営統合によりZホールディングスの国内でのインターネット提供サービスは200を超え、利用者数3億人以上、クライアントは約1,500万に及びます。また自治体との連携サービスでは3,000を超える案件を持ち、従業員はグループで2万人以上、インターネットサービスの企業グループとしては国内最大規模となります。

IT環境の変化は目まぐるしく、それに対応しながら安定的に成長を目指すには、同じような課題意識を持つ企業との経営統合が必要と考えていたZホールディングスは、LINE株式会社を相手先としました。両社は国内市場にとどまらない、世界規模のITサービス企業となることを目指し、2021年3月に経営統合を完了しました。

Zホールディングスは、AI(人工知能)事業に対して5年間で5,000億円の投資を決定、同期間に国内外でエンジニア5,000人を増員する計画です。2023年度の売上高は2兆円、2,250億円の営業利益を実現するとしています。

10. UKC HD(株式会社レスターホールディングス) × バイテックホールディングス

株式会社レスターホールディングスは、2009年10月、ユーエスシーと共信テクノソニックの共同持株会社として設立されました。ユーエスシーと共信テクノソニックは、ソニー系列のエレクトロニクス商社で、ソニー製のイメージセンサーや半導体、電子部品などを主力として扱ってきた会社です。この株式会社レスターホールディングスが母体となっているのがUKC HDです。

バイテックホールディングスは、半導体や電子部品の輸出入事業や販売を手掛けている会社で、それらの調達をする事業や発電や新電力、プラントファクトリーなどの環境エネルギー事業にも携わっています。

この両者が経営統合を発表したのは2018年9月のことでした。この経営統合によりUKC HDは製品ラインナップの拡充や販路の拡大、高付加価値のビジネス事業の展開、業務の効率化による生産性や収益性の向上、経営基盤の強化などのシナジー効果を見込んでいます。

最近のエレクトロニクスの事業環境の変化は実に顕著です。AI(人工知能)やIoT(Internet on Things=機器のインターネット化)が盛んに開発され、それに伴い取引先の要求は多様化、高度化の一途をたどっています。こうした環境下にあっては業界企業は迅速かつ的確な対応を求められます

UKC HDは部材供給や顧客とのリレーションの拡充を求められていました。またEMS(電子機器の受託生産サービス)やその調達、エンジニアリングなどの事業分野においても拡大が必要であり、海外での事業展開も考えると、相互補完を実現できる企業との経営統合は必須と考えられていました。

その面で、外製品を中心として商材拡充を図っていたバイテックホールディングスと利害は一致していたわけです。今後はより高付加価値なサービス提供を実現できる技術開発を進めており、企業価値のさらなる向上を目指しています。

11. Janus Capital Group Inc. × Henderson Group plc

最後に海外で展開された事例を紹介しておきます。第一生命ホールディングスの関連企業であるJanus Capital Group Inc.は、アメリカ、コロラド州に本拠を置く資産運用会社です。このJanus社が経営統合の相手として選んだのは、Henderson Group plcというイギリス、ロンドンにあるやはり資産運用会社でした。

経営統合後の社名はJanus Henderson Global Investors plcとされました。この経営統合により、同社はアメリカ、ヨーロッパの2つの営業エリアを獲得、資産運用に関するノウハウや営業ネットワークの共有、事業規模の拡大によるシナジー効果が期待されています。

第一生命ホールディングスは、この経営統合を世界進出の契機として、アメリカやヨーロッパにおける経営基盤を獲得しました。

経営統合の失敗事例

経営統合の失敗事例

経営統合の失敗は、そもそも成立しなかったものや統合の成果を得られなかったもの、統合は成功したものの課題を残したもの、などが考えられます。ここではそんな3例を紹介します。

1. キリン × サントリー

キリンは麒麟麦酒株式会社を中核企業とするグループ企業の持株会社です。ビールやウイスキー、清涼飲料水などのメーカーとしては最大手ですが、2009年初頭、サントリー株式会社との経営統合の話が持ち上がりました。サントリーも飲料の製造販売メーカーとしては大手ですので、業界再編の動きとして注目されました。

もしも統合すればビール類の国内飲料のシェアは49.6%となり、首位のアサヒの37.8%を上回り業界トップの座につくはずでした。しかし、このM&Aの案件はあえなくブレークします。もともと、どちらからというわけでもなくなんとなく持ち上がった話だった、というのも目標不在な印象ですが、双方とも交渉途上で解決不能な問題が発覚したとしています。

キリン側の言い分では、公開会社として経営の透明性や独立性を担保しようとした統合後の新設会社について、サントリーの了解を得られなかったとしています。キリンは同社をグローバルリーディングカンパニーと位置づけており、顧客や従業員、株主と行ったステークホルダーの納得を得るためにも透明性を確保する公開会社化は譲れなかったとしています。

これに対しサントリーは、同社が求める新会社の実現はおぼつかないとして交渉の決裂を選択しました。その理由を統合比率の問題としており、当初から50対50の統合比を主張していたものの、この点で最後まで折り合わなかったとしています。また自社の経営の透明性は担保されており、キリン側の主張は事実に反すると批判しています。

そもそも論ではありますが、何のための経営統合なのか、そのための条件交渉のプライオリティは何なのかといったM&Aのロードマップづくりの段階で失敗していたともいえる事例です。

2. 三越 × 伊勢丹

百貨店の不況が言われて久しい中ですが、大きな経営統合として耳目を集めたのが三越と伊勢丹の経営統合でした。2008年4月発表された際には、業界第4位の三越と同じく第5位の伊勢丹のマッチングは、業界構造の転換になると期待されました。

三越はもともとは呉服店を起点とする百貨店です。1990年代まではバブル景気の後押しを受け、目覚しい実績を上げていましたが、バブル崩壊後は百貨店という業態ゆえの低迷にあえいでいました。伊勢丹も呉服店から発展した百貨店で、関東地方を中心に、中国や東南アジアの都市にも店舗展開をする活況を呈していましたが、業界全体の低迷には抗えませんでした。

両社ともに生き残りをかけた大胆な戦略を求められており、その活路として見出したのが経営統合だったのです。統合後、不採算店舗の閉鎖、基幹店舗の大幅改装を含むテコ入れで、企業体質の改善を進めました。2016年以降にはエステや旅行代理店など新規事業も買収、事業の多角化などの改革を積極的に推進しました。

しかし、社会全体の不況もあり消費者ニーズの急激な変化や、高級品を避けるコストパフォーマンス重視の消費動向などにより、業績の改善は遅々として進みませんでした。結果として2020年3月期の決算では3期連続での減収を計上してしまいました。

3. 出光興産 × 昭和シェル石油

2018年7月、出光興産と昭和シェル石油は翌年4月に経営統合することを発表しました。この統合は、2019年3月に昭和シェル石油を上場廃止とし、その翌月に株式交換によって出光興産が同社を完全子会社化する形で行われました。その後、合併に向かう予定としています。

しかしこの統合協議は、実は2015年7月には始められていました。発表までに3年もの歳月を要した原因は大株主である出光興産側の創業家の反対があったからでした。それも、創業家の兄弟の確執があったとのことです。

出光興産の創業家、出光家の資産管理会社である日章興産(代表は出光名誉会長と長男)と長男個人の間で合意された内容によると、出光興産側の取締役5名のうち2名を創業家が推薦できること、出光による1,200万株(550億円)上限の自社株取得、19年4月からの3カ年累計最終利益目標5,000億円のうち5割を株主還元することなどが条件となっています。

統合自体の成否はまだわかりませんが、スピードが勝負を分ける経済活動において、肉親の確執によってM&Aに必要以上の時間を要したことは大きな失点といえます。

経営統合の手続き・流れ

経営統合の手続き・流れ

経営統合は合併のように消滅会社がありません。統合前後で、当事者会社はそのまま維持されるのが特徴です。用いられる主なスキームは株式移転か株式交換になります。それぞれについて手順を説明し、統合後の流れについても解説します。

株式移転

株式移転では、当事者会社が共同的に新設の持株会社を設立し、それを親会社として株式を集めて保有させるようになります。具体的には2つの段階を踏んで行われます。

まず、別グループにある複数の当事者会社が経営統合の合意をします。これによって、当事者会社同士を兄弟会社としてグループ化する形が整えられることになります。

続いて当事者会社が共同して持株会社となる親会社を設立します。親会社の設立資本は当事者会社の株式を保有することでまかなわれ、当事者会社の株式全てが持株会社となる新設会社に移転します。

株式交換

株式交換は、当事者会社のうち、親会社となる企業に子会社となる企業が株式を譲渡し、その対価として親会社の株式を取得する形で親子関係を生じさせるスキームです。次の3段階で行われます。

最初に、当事者間で株式交換の費用や手順を協議します。企業間の関係性などによって、株式の交換比率などを決定します。

次に、持株会社として親会社となる企業が、その他の子会社化する予定の企業の株式を取得します。この段階で、子会社化は完了し、株式の譲渡を受けた会社が親会社となる企業グループが形成されます。

最後に対価となる親会社の株式が子会社に交付されます。親会社と子会社が相互の株を持ち合う形となるのが株式交換と呼ばれる所以です。

統合後のPMIプロセス

統合後はPMI(経営統合)を行うことになります。経営統合では各法人格は維持され、事業も継続されますので、それほど厳密なPMIは要しません。ここでも一般的な流れとして解説します。

まず、クロージングまでの間に統合方針を決定します。シナジー効果に関わる部分(例えば仕入れルートの集約化、販売拠点の整理、人材交流、など)は特に慎重に、何をどのような手順で、どんな方法で統合していくかを協議しておきます。

次に、クロージング後数カ月の間に優先度の高い事項を実行していきます。上記のうち、特に重要な事項ということになります。また、クロージング前に計画しきれなかった部分については、この段階で調整します。

第3段階は、中期経営計画の作成です。クロージング後100日(具体的なPMIの重要事項の実施期間、この間の計画を特に100日計画と呼ぶこともあります)程度の間で、新しい企業グループにおける3~5年程度の経営計画を立案します。経営統合の成果が問われる計画となりますので、そのシナジーを意識した計画が必要です。

最後にアフターフォローを行います。中期経営計画に従って事業を展開していくと同時に、PMIの成果を評価し、必要に応じて追加の手立てを講じていきます。

企業買収・M&A相談ならウィルゲートM&A

企業買収・M&A相談ならウィルゲートM&A

経営統合はさまざまなメリットのあるM&Aスキームですが、具体的な進め方においては株式の移転手続きなど専門的な知識を要する場面も少なくありません。M&Aの専門家のアドバイスを得ながら進めるのが成功への早道といえます。

ウィルゲートM&Aは成功実績30例近い、経験豊富なM&A仲介会社です。経営統合にかかわる手続きなどについても、適時適切なサポートをお約束いたします。

経営統合 まとめ

経営統合 まとめ

経営統合は、迅速な事業展開を実現しながらも企業グループとしての強みを得られる魅力的なスキームです。後継者育成にも活かせるのは、事業承継に悩んでいる方にはうれしいメリットです。しかし、実際に行うためには相手を見つけるところから始まり、なかなかにハードルは高いものです。

少しだけ話を聞いてみたいだけという方も、ウィルゲートM&Aの無料相談をご利用ください。完全成功報酬制で着手金無料ですので、お気軽にご相談ください。

ウィルゲートM&Aでは、9,100社を超える経営者ネットワークを活用し、ベストマッチングを提案します。Web・IT領域を中心に、幅広い業種のM&Aに対応しているのがウィルゲートM&Aの強みです。M&A成立までのサポートが手厚く、条件交渉の際にもアドバイスを受けられます。

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