050-3187-7449

受付時間:平日 9:00 ~ 17:00

吸収分割とは?新設分割との違いやメリット・デメリット、手続きを解説

吸収分割とは?新設分割との違いやメリット・デメリット、手続きを解説

特定の事業のみを手放したい企業にとって、吸収分割は魅力的なM&A手法です。

本記事では、吸収分割の概要やメリット・デメリット、手続きをわかりやすく解説します。事業譲渡や新設分割との違いも紹介しますので、事業承継の資料としてお役立てください。

吸収分割とは?

吸収分割とは?

吸収分割は会社分割の一種で、企業が持つ権利や債務を分割して、その後ほかの企業へ移すことです。移動させる権利や債務は一部でも全部でもかまいません。M&Aでよく利用される手法です。

例として、I社とJ社の取引を見てみましょう。I社には3つの事業部があり、このうちひとつの事業部があまり機能していませんでした。ただし、該当の事業部を閉じることには不安があり、すぐに失くすことには乗り気ではありません。

一方で、J社ではI社が問題に思っている事業部を取り込んで自社の発展に活かしたいと考えています。そこで、I社が手放したい事業部をI社から外して、J社が買い取り吸収することになりました。これが、吸収分割です。

吸収分割の目的

吸収分割の目的

吸収分割は、会社や事業を残したい場合におこなわれます。

たとえば、業績の安定している事業とそうでない事業がある際に、うまくいっていない事業だけを切り離したいと考えることもあるでしょう。そんなときには、既存の事業はそのままに、問題のある部分だけをほかの企業に移せる吸収分割が効果的だといえます。

通常、うまくいかない事業がある場合は、組織再編や業態の見直しをするのが一般的です。しかし、それでは企業全体の事業形態や組織を見直す必要が発生し、採算が取れている部門にも影響が出てしまいます。

そこで、吸収分割をはじめとした会社分割の手続きを取ることで、自社の強みを保ったまま、不要な部門だけを手放せるのです。

吸収分割の種類

吸収分割の種類

吸収分割には「分社型吸収分割」「分割型吸収分割」と2つの方法があります。それぞれの詳細を見てみましょう。

分社型吸収分割

分社型吸収分割は、「物的分割」とも呼ばれています。

企業が自社の事業を他社へ引き渡す際に、対価を受け取ることで取引を成立させるものです。対価は、承継先の企業から株式や現金などに換算されたうえで、譲渡企業へ引き渡されます。

たとえば、I社がJ社に対して、ひとつの事業を分割承継した場合、J社は対価として株式を交付することが可能です。また、株式は、J社の株式が交付されます。

分社型吸収分割は、事業を子会社化する場合などによく利用されるでしょう。

分割型吸収分割

分割型吸収分割は「人的分割」といわれている方法です。人的分割は、2006年の会社法制定により廃止され、現在は分割型吸収分割として同様の手続きをおこなえます。

手法は、分社型吸収分割の場合、譲渡企業に対して対価を支払いますが、分割型吸収分割では譲渡企業の株主に対して対価を割り当てるものです。

こちらもI社とJ社の例で考えてみましょう。I社がJ社に事業を分割して承継する場合、事業の対価はI社に対してではなくI社の「株主」に対して引き渡されます。もし対価が株式であった際には、I社の株主はJ社の株主としても成立するのです。

また、交付された株式は、余剰金の現物配当として株主に交付されることもあるでしょう。つまり、物的分割と分割型吸収分割は、対価の支払い先が「譲渡企業そのもの」か「株主」かの違いによって、決められます。

吸収分割と事業譲渡との違い

吸収分割と事業譲渡との違い

吸収分割を含む会社分割と、事業譲渡を混同してしまう方も少なくありません。

事業譲渡は、自社の持つ事業を売ることを意味します。事業といっても、資産や負債・従業員などの人材・ブランド・ノウハウなど多岐にわたる内容から個別に契約したものだけを移すのが事業譲渡です。また、売却期間を決めて一時的に承継する契約もあり得るでしょう。

一方で、吸収分割は対象の事業に付随する負債や権利・人材などをまるごと移転させるため、法的手続きが異なるのです。

そこで、両者の違いを法的な観点からそれぞれ解説します。

労働契約承継法が適用されるかの違い

労働契約承継法は、事業を分割したあとも既存の従業員が受け入れ先の企業で不利な扱いを受けないように守るための法律です。

そもそも吸収分割では、事業を移すにあたって従業員から個別に同意をもらうことなく事業や労働契約を承継できます。そのため、受け入れ先企業で従業員の労働環境が悪化しないように、労働契約承継法が適用されているのです。

反対に、事業譲渡では従業員から個別の同意をもらい、代わりに労働契約をそのまま承継することが認められています。

企業視点での手続きとしては、どちらがよいとも言い切れません。労働者の視点で見ると、事前に同意してから受け入れ先企業へ移るか、権利が保護されている上で同意なしに移るかの違いがあります。

債権者異議手続の違い

吸収分割では、債権者異議手続が必要です。

というのも事業を吸収分割すると、債権者に影響を及ぼす可能性があるため、債権者が異議を唱えられるようにさまざまな法契約の準備をする必要があるのです。具体的には、事前や事後の開示資料作成などや官報への広告などが含まれます。

事業譲渡では特定の権利のみを承継するため、債務を移転する義務はありません。

つまり、債権者に関わる手続きは吸収分割よりも少ないといえるでしょう。債権者に関する手続きは、事業譲渡のほうがシンプルかもしれません。

吸収分割と新設分割との違い

吸収分割と新設分割との違い

事業譲渡と関連して、「新設分割」も吸収分割を検討するうえで知っておくべき手法です。

新設分割は、事業を切り離して受け入れる企業を新たに設立してから承継することをいいます。吸収分割では既存企業に対して承継しますが、新設分割では新しい企業に移す点が異なる点です。

たとえば、I社が自社の保有事業をひとつだけ分割したいと考えた場合は、新たにN社を設立してから移転します。吸収分割では、I社から既存のJ社に移転することが可能です。新設分割では、譲渡企業をひとつか2つ以上の株式会社、または合同会社とする必要があります。

そして、分割後の対価についても違いがあります。吸収分割では、受け入れ先企業が対価を株式や現金にて交付することが可能ですが、新設分割では「株式」しか認められていません。

さらに、手続きの面でも異なる点が見られます。新設分割では、新しい企業に事業を移転するため、新設企業に移すための許可を別途取得する必要があり、手続きが複雑化します。許認可を申請するには、新設会社が立ち上がってからとなることから、分割の効力発生日から時間があいてしまうのです。

つまり、事業を分割後、すぐに受け入れ先企業で事業を開始できるか否かも両者の違いといえるでしょう。

新設分割を利用するタイミング

新設分割も吸収分割と同様に2つの種類にわかれており、「分社型」「分割型」があります。ただし、既存の企業へ直接自社の事業を移転させたい場合には吸収分割の手法を使うケースが多いでしょう。

また、金銭を交付対価にする際にも吸収分割が利用されます。金銭を選択する背景として、譲渡企業と受け入れ先企業の間に資本関係がないことが前提です。

一方で、事業を切り離して完全子会社化する際(子会社の株式を譲渡企業が取得する場合)には、新設分割・吸収分割どちらでも手続きできます。

吸収分割のメリット・デメリット

吸収分割のメリット・デメリット

ここからは、吸収分割のメリット・デメリットを見てみましょう。各項目にわけて解説します。

メリット

吸収分割のメリットは、3つあります。

1.組織の整理が容易にできること

まず、吸収分割では、複雑化した組織を再編して整理することが可能です。

採算が取れている事業やうまくいっていない事業を把握している場合は、うまくいっていないものだけ切り離し、得意なものだけに注力していく必要があります。そこで、吸収分割をおこなえば、企業内の組織を整理して必要な事業だけを存続させられるのです。

また、株主の意見を統合しやすい点も挙げられます。事業が複雑に分かれていると、力を入れるべき事業を決める際にも株主によって意見が変わってしまい、明確に方針を決められません。ゆえに、組織をわかりやすく整理して集中する事業を明確にすれば、株主との関係はそのままに事業を推進していけるでしょう。

2.コストを削減できること

次に、経費の削減もメリットとなるでしょう。

吸収分割では、採算の取れなくなった事業や、会社にとって将来性が見込めないと判断された事業を手放します。そのため、余計なコストをカットでき、集中したい事業だけに経費を割いたり、人材を当てたりすることが可能です。コストを削減できれば、事業の効率化もかなうでしょう。

また、「適格分割」が認められ、資産を簿価で承継できれば税金面でも負担を減らせます。受け入れ先企業としても、事業承継の対価を現金か株式のどちらで払うかを決められる点がメリットです。対価を支払うための資金調達が難しい場合には、株式を交付すれば現金を準備する必要もなくなります。

3.移転手続きがほかのM&Aよりも複雑でないこと

3つめは、手続きが事業譲渡などのM&Aよりも複雑化しないことです。

事業譲渡では、保有する権利や義務・人材・取引先などに対して個別に確認・同意してもらいながら手続きを進めていく必要があります。しかし、吸収分割は対象の事業をまるごと移転するため、従業員などから個別に同意をもらう必要はありません。その結果、承継にかかる時間を短縮でき、スムーズに移転先企業へ事業を移転できるのです。

事業が滞りなく引き継がれれば、その分シナジー効果も高まり、双方の早期成長につながります。

デメリット

反対に、吸収分割のデメリットは以下3つです。

1.債務やリスクのある資産を引き継ぐ必要があること

吸収分割は、一般承継と呼ばれる包括的な事業承継です。そのため、譲渡企業が持っていた負債や不要だと感じる資産も引き継がなくてはなりません

また、吸収分割の対価を株式で交付する場合には、株主もこれまでと変わってしまいます。譲渡企業の株主は、受け入れ先から株式を交付されると、受け入れ先企業の株主にもなるのです。もともと受け入れ企業に対して、敵対心を抱いていたり、分割を快く思っていなかったりする株主がいたら、今後の双方の運営にリスクが生じる可能性もあるでしょう。

特に、株主総会などでは悪質な株主の意見にも耳を傾ける必要があるため、吸収分割によって経営方針が左右されてしまうことも念頭に置いておきましょう。

2.労働者のモチベーションが下がること

また、吸収分割をおこなうと譲渡企業は組織が縮小するため、既存の従業員が不安感を抱くこともあるでしょう。

自社の規模が小さくなることは、運営上ではメリットが多いものの、人材の視点ではモチベーションを下げる要因にもなり得ます。また、承継後の引き継ぎや労働環境の整備がスムーズでなかった場合は、トラブルが発生することも少なくありません。最悪の場合、優秀な人材だったとしても、承継がうまくいかなかったことが原因で退職してしまうかもしれません。

そして、吸収分割では事前に移籍する人材から同意を得る必要がないことから、手続きを進めるにあたって不満を与えてしまう可能性もあり得ます。

労働契約承継法により人材の労働条件や環境は保護されるとはいえ、手続きが複雑なため、きちんと対応できていない場合には、吸収分割そのものが無効となるでしょう。

3.株価が下落する可能性があること

そして、受け入れ先企業の株価にもマイナスの影響を及ぼす点です。

事業を承継された企業が上場企業だった場合、分割の対価を「株式」に設定すると、譲渡企業の株主が自社の株主にもなり、発行株数も増えることで一株あたりの利益は減少します。そうなれば、株価が下落する可能性もあるでしょう。

吸収後にシナジー効果が出て、成長していければ問題はありませんが、十分な効果が得られないと、株価を回復させるのも難しくなるかもしれません。

吸収分割は、資金面や手続きに関してメリットが多いものの、承継後の企業運営についてはよく考慮してから手続きを進めないと、承継が失敗に終わることもあるのです。

吸収分割に必要な手続きの流れ

吸収分割に必要な手続きの流れ

吸収分割の手続きをさらに深掘りしてみましょう。

これまでお伝えしたとおり、吸収分割は一般承継のため、人材や取引先から同意してもらわずに手続きを進められます。ただし、人材や債権者が不当な扱いを受けないよう、別途法的手続きが必要な点が注意すべきポイントです。

ここでは、吸収分割の手順を8つのステップに分けて紹介します。

1.吸収分割契約書の作成と締結

吸収分割をおこなうにあたり、契約書の作成と締結が最初のステップです。

譲渡企業と受け入れ企業の間で契約書を作成し、双方の取締役会で承認を得られたら締結できます。契約書は、会社法第757条・第758条に記載されている事項をもとに作成する決まりです。具体的には、以下のことを記載します。

  • 双方の商号と住所
  • 承継する資産や債務・人材・権利などの情報
  • 対価として交付する金銭や株式についての情報
  • 新設会社へ新株予約権を切り替えることの情報
  • 吸収分割の効力発生日
  • 分割型吸収分割を実施する際の方法

ただし、これらに加えて任意の規定を定めても問題はありません。たとえば、事業を承継した後に競合行為を禁止するための「競合避止義務」を設定することもよくあるでしょう。

2.事前書類の備置

次に、事前開示書類の備置を譲渡企業側でおこないます。

吸収分割がおこなわれた効力発生日より6カ月間は、譲渡企業側で保管する決まりです。基準日は、株主総会の2週間前か、株主・債権者への通知・公告で早い日となります。

3.労働者保護手続き(労働契約承継法の適用)

譲渡企業が既存の従業員に対して、吸収分割をおこなう旨や事業内容・分割後に就業する場所や業務について詳しく説明します。

また、株主総会の2週間前までに労働契約承継法に基づき、協議もおこないます。

4.株主総会で承認

双方の企業が、吸収分割をする旨を既存株主へ通知し、株主総会の特別決議にて同意を得ます。

また、株式買収請求権についても株主に通知します。吸収分割に反対する株主がいた場合は、対象の株主が保有する株式を買い取ることで関係を解消できるものです。請求通知は、書面でおこなうのが一般的です。

5.債権者の保護

吸収分割がおこなううえで、株主だけでなく債権者に対してもフォローしておく必要があります。双方の債権者が吸収後に不利にならないよう、異議の申し立てを受けられる場を準備しておくのです。具体的には、官報の公告をおこなう方法と、個別に通知する方法によって対応します。

債権者の保護は、会社法で決められており、不利益が発生すると感じた債権者は異議の申し立てができる仕組みです。

ちなみに、株主への通知や特別決議より先に債権者の保護がおこなわれることもあるため、状況に応じて手順は変更することもあると知っておきましょう。

6.公正取引委員会への届け出

独占禁止法を確認し「分割の届出制度」に該当していた場合は、公正取引委員会に連絡する必要があります。

分割の届出制度には、以下の要件が挙げられるでしょう。

  • 譲渡企業の国内売上合計高が200億円以上、かつ、承継企業の国内売上合計高が50億円以上の場合
  • 譲渡企業の国内売上合計高が50億円以上、かつ、承継企業の国内売上合計高が200億円以上の場合
  • 譲渡企業が分割する予定の対象事業に関連する国内売上合計高が100億円以上、かつ、承継企業の国内売上合計高が50億円以上の場合
  • 譲渡企業が分割する予定の対象事業に関連する国内売上合計高が30億円以上、かつ、承継企業の国内売上合計高が200億円以上の場合

引用元:公正取引委員会『分割の届出制度』

独占禁止法に違反していないと認められると、吸収分割を実施できます。

7.登記申請

吸収分割の効力発生日までに必要な手続きを終えたら、効力発生日後2週間以内に登記申請をおこないます

登記申請は、譲渡企業・受け入れ企業の双方でそれぞれ実施します。

詳しくは後ほど解説しますが、企業ごとに書類が異なるため、専門家などに相談しながら申請するのが一般的です。

8.事後書類の備置

事前開示書類と同様に、事後開示書類も備置します。これは、譲渡側・承継側の双方でおこなう決まりです。どちらも効力発生日から6カ月、各企業の本店にて保管します。

以上が、吸収分割の一般的な流れです。

吸収分割でかかる費用・税金

吸収分割でかかる費用・税金

では、吸収分割にはどのくらいの費用や税金がかかるのでしょうか。一般的に見られる費用について、紹介します。

登記申請費用

まずは、登記申請に関わる費用がかかります。登記申請は、「登録免許税」と呼ばれる税金を払う決まりです。

吸収分割においては、譲渡側・承継側ともに3万円を支払います。また、承継企業の資本金が増加した場合は、3万円に追加して総資本額の0.7%を納付します。資本金増加が起こるケースとしては、新たに新株を交付するときが挙げられるでしょう。

ただし、総資本額の0.7%が3万円未満だった場合には、一律3万円の納付額となり、承継企業は合計6万円を支払います。

官報への公告費用

吸収分割をおこなうときは、官報に公告することが義務付けられています。

官報は、政府が発行している新聞のような位置づけで、企業の合併や決算など重要な情報が記載されているものです。

掲載にあたってかかる費用は、掲載を希望する文字数や行数によって異なります。全国官報販売協同組合の「官報公告掲載料金」によると、目安料金は以下です。

  • 「行」での公告:10行で35,893円(税込)
  • 「枠」での公告:2枠で74,331円(税込)

※1行は22文字詰め
※1枠の大きさは、2.9cm×6.1cm
(引用元:全国官報販売協同組合『官報公告掲載料金』)

数万円〜数十万円と掲載する内容量によって変動することを知っておきましょう。

参考
https://www.gov-book.or.jp/asp/Kanpo/KanpoPrice/?op=1

専門家への相談費用

吸収分割を当事者間だけでおこなうには、とても複雑な手続きや知識が必要です。

多くの場合、司法書士や税理士・弁護士など専門家へ相談しながら手続きを進めます。相談するだけでなく、手続きの代行や書類作成なども依頼することも一般的でしょう。

また、どの部分をどの専門家に任せるかによって費用は大きく変わるため、一概にはいえません。同じ専門家でも対応してもらう事務所や企業によって、報酬制度もバラバラです。

費用相場の参考として、目安料金を載せておきます。

  • 書類作成:1万円〜
  • 議事録作成:5,000円〜
  • 登記申請代行:5万円〜
  • 公告代行:3万円〜
  • そのほか交通費や雑費:数千円〜数万円程度

依頼する専門家が増えれば、その分費用も増えていきますので、依頼する相手はよく見極める必要があるでしょう。

吸収分割の登記と必要書類

吸収分割の登記と必要書類

吸収分割で、複雑なのが登記申請の書類準備や手続きです。譲渡企業・承継企業で各々提出書類も異なります

まず、譲渡側企業では、吸収分割により資本額が減少するため、それを証明する書類の提出が必要です。合わせて、代表者役員の印鑑や登録証明書・株主総会の議事録なども準備しておきます。

反対に、承継企業は資本額が増加するため、分割後の資本金を証明する書類が必要です。加えて以下も求められるでしょう。

  • 吸収分割計画書
  • 契約書
  • 債権者保護手続き書類
  • 代表取締役の選定書
  • 役員の承諾書と印鑑登録証明書
  • 役人の本人確認書類
  • 吸収分割が承認された際の議事録

どちらも書面や情報に不備があるとその分登記登録に遅れが生じるため、専門家に依頼して相談しながら準備することをおすすめします。

吸収分割の税務処理

吸収分割の税務処理

吸収分割における税務処理は大変複雑です。

「適格」「非適格」のどちらに該当するかで、課税対象になるかどうかが変わります。適格分割に適用された場合には非課税となり、非適格分割となった場合には課税される決まりです。課税対象となった場合は、分割で移動した資産を時価評価したうえで損益計上し、非課税となった場合は、資産を簿価評価し損益は計上しません。

ベテランの専門家でも判断が難しいため、非課税になると自社で決めつけず、課税対象になる可能性があることも十分に考慮して、手続きを進めましょう。

また、吸収分割では「合併類似適格分割型分割」と認められない場合、欠損金の繰越は引き継がれない決まりもあるため注意しましょう。受け入れ側では、資本金が大きく増えることで法人税や事業税が増えるケースもあります。承継する資産に不動産が含まれている場合には、さらに不動産取得税も追加されます。

いずれの税金も、譲渡企業からの資産をどのくらい引き継ぐかによって、大きく変動するため、分割後の課税額も予測しておく必要があるでしょう。

吸収分割の事例

吸収分割の事例

最後に、吸収分割を実施した企業の実例を見てみましょう。ここでは、参考に5つの事例を紹介します。

1.楽天モバイルがDMM光を承継

2019年9月には、楽天モバイルがDMM.comの運営する「DMM光」「DMM mobile」を事業承継しました。楽天モバイルは、約23億円もの高額な交付をDMMにおこなっています。

この吸収分割により楽天モバイルは事業を拡大し、国内契約数をトップまで引き上げたため、成功した事例のひとつだといえるでしょう。

参考
https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2019/0709_01.html

2.サッポロHD株式会社が自社事業をサッポロビール株式会社に承継

2020年4月には、サッポロホールディングス株式会社が、保有する事業の一部を子会社のサッポロビールへ吸収分割し、承継しました。

承継した事業は、北米での業務をメインにおこなう酒類関連事業で、これにより同社はさらにグローバル化へ向けて、統一されたブランドを展開することが可能となりました。

参考
https://www.sapporoholdings.jp/news/dit/?id=8573

3.ソフトバンク株式会社が株式会社U-NEXTへアニメサービスを事業承継

2020年10月、ソフトバンク株式会社が動画配信サービスとして知られる、株式会社U-NEXTへアニメ専門サービス「アニメ放題」を簡易吸収分割により承継させました。

U-NEXTは、この吸収分割でソフトバンクへ2億5千万円を交付しました。

ソフトバンクはこれにより通信事業などの強化を実現でき、U-NEXTはアニメ領域のコンテンツ配信サービスを発展させるシナジー効果を得られると期待されています。

参考
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2020/20200720_02/

4.株式会社マツキヨココカラ&カンパニーが株式会社CMMマネジメントへ事業承継

2022年4月には、株式会社マツキヨココカラ&カンパニーが複数の事業における株式を吸収分割し、子会社である株式会社MCCマネジメントへ承継しました。営業や運営支援機能などを、MCCマネジメントへ集約させることで、グループ内組織再編や業務の効率化が期待されています。

この吸収分割は子会社間での取引のため、対価の交付はおこなわれません

参考
https://www.nihon-ma.co.jp/news/20220214_3088-7/

5.株式会社資生堂がヘアサロン事業をドイツのHenkel AG & Co. KGaAへ事業承継

2022年7月に、株式会社資生堂が展開するヘアサロン向け事業「SHISEIDO PROFESSIONAL」をドイツのHenkel AG & Co. KGaAへ承継します。

資生堂が譲渡した事業は、アジアを中心に、ヘアサロン向けの業務用ケア剤などを展開するプロ向けの事業です。ヘンケル社は、ヘアサロンだけでなく顧客に向けた美容事業もグローバルに展開しており、特にヘア事業には強みを持っています。譲渡価額は123億円です。

両者の提携により資生堂は、欧米をはじめさらなるグローバル化に向けた事業拡大や投資の機会増加を目指しています。

参考
https://www.nihon-ma.co.jp/news/20220209_4911-10/

会社買収・M&A相談ならウィルゲートM&A

会社買収・M&A相談ならウィルゲートM&A

吸収分割は、通常の事業譲渡と比べると手続きも簡易的でスムーズだといわれています。しかし、税務処理や登記申請については大変複雑で、判断に迷う場面も多く出てくることが予想されるでしょう。

ウィルゲートM&Aは、これまで15年に渡り6,700社以上の支援をおこなってきました。経営者とのコネクションは、9,100社以上にものぼります。ウィルゲートでも実際にM&Aの経験が合計6回あり、吸収分割を検討する企業にも適切なアドバイスが可能です。

M&A仲介や事業承継でお力になれることがありましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。相談料・着手金は無料で、報酬も完全成果報酬制です。

吸収分割 まとめ

吸収分割 まとめ

吸収分割は、M&Aの手法としてはメジャーではありませんが、通常の事業承継よりも手続きがスムーズであることや、資金調達が困難ではない点は大きなメリットです。また、会社を存続させたまま、組織を整理したい企業にとっては、利点の多い手法ともいえるでしょう。

ただし、税務や人材の労働契約など分割後の運営においては、入念に準備しておく必要があります。

ウィルゲートM&Aでは、9,100社を超える経営者ネットワークを活用し、ベストマッチングを提案します。Web・IT領域を中心に、幅広い業種のM&Aに対応しているのがウィルゲートM&Aの強みです。M&A成立までのサポートが手厚く、条件交渉の際にもアドバイスを受けられます。

完全成功報酬型で着手金無料なので、お気軽にご相談ください。

無料相談・お問い合わせはこちらから ※ご相談・着手金無料

無料相談・お問い合わせは
こちらから

ご相談・着手金は無料です。
売却(譲渡)をお考えの際はお気軽にご相談ください

お電話からのお問い合わせはこちら

050-3187-7449

050-3187-7449

受付時間:平日 9:00 ~ 17:00