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吸収分割契約書とは?記載事項と書き方、ひな形を解説

吸収分割契約書とは?記載事項と書き方、ひな形を解説

吸収分割を行う際に、承継会社と吸収会社の間で吸収分割契約書を作成し、契約を締結する必要があります。吸収分割契約書には、法定記載事項などの記載しなければいけない項目があります。

この記事では、吸収分割契約書の概要や記載事項と書き方、ひな形について解説します。

吸収分割契約書とは

吸収分割契約書とは

M&Aでよく使われる「会社分割」は、会社の一部やすべての事業を他の会社に吸収させたり、新しく創設した会社に承継させたりする方法です。その中で、既存の会社に事業を承継させる方法を「吸収分割」、新しく創設した会社に承継させる方法を「新設分割」といいます。そのうち、吸収分割を行う際に会社同士で交わす契約書を「吸収分割契約書」といいます。

吸収分割契約書の記載項目

吸収分割契約書の記載項目

吸収分割契約書を作成する際は、決定記載事項や任意的記載事項を確認し作成をしましょう。吸収分割を行う際に、会社法に則った法定記載事項を欠いたり、記載培養が違法だったりする場合、吸収分割が無効となります。そのため、吸収分割に関する記載事項を理解するのが重要です。

法定記載事項

吸収分割を行う際は、会社法により記載が義務付けられている法定記載事項があり、内容は以下の通りです。

吸収会社と承継会社の商号と住所

吸収分割契約の当時会社を特定するため、吸収会社と承継会社の商号や住所を記載します。商業登記法により、営業所の所在地が同一の場合、同一の商号を登記することは認められていないので、商号と住所により当時会社が特定できます。住所は、その会社の本店所在地です。

承継する権利義務

吸収分割契約に定められた権利義務を明らかにするため、吸収会社から承継会社へ承継される権利義務を明確に記載します。吸収分割により承継される権利義務は、吸収会社が保有する権利義務の一部のことがあるため、承継される権利義務を明らかにする必要があります。

吸収分割により株式を承継する場合、株式数などの株式に関する事項

吸収分割を行う際に、吸収会社の株式も承継の対象となる場合、株式数などを記載する必要があります。承継会社が吸収会社の子会社の場合、株式の取得は、子会社による親会社株式の取得となります。

吸収分割の対価

吸収分割契約により吸収会社から承継会社に承継される権利義務の対価として金銭が発生する場合、金銭等に関する定めがあります。金銭等に関する財産の種類は、承継会社の株式や新株予約権付社債以外の社債、新株予約権等付社債などです。それぞれ吸収分割契約において定めるべき事項が規定されています。

新株予約権や社債を与える場合、それらに関する事項

吸収会社の新株予約権の新株予約権者に対し、吸収会社の新株予約権に代わる承継会社の新株予約権を交付する場合、取り扱いについて記載する必要があります。この場合、吸収会社の新株予約者が保有する新株予約権は承継会社に承継されず、吸収分割契約に定める方法に従い承継会社の新株予約権を交付します。吸収分割において、新株予約権が新株予約権付社債となる場合、社債部分と新株予約権を分けて記載する必要があります。

吸収分割の効力発生日

吸収分割契約書に定める吸収分割の効力発生日に、承継会社から吸収会社に吸収分割契約に定められた権利義務が承継されます。効力発生日を記載しないと、株主や債権者が動けずに混乱を招くため、契約書に明記する必要があります。

定めておいたほうがいい任意的記載事項

吸収分割を行う際に、法的記載事項以外にも記載しておいたほうがいい任意的記載事項には以下のものがあります。

従業員や役員の処遇

吸収分割を行う際は、基本的には従業員や従来の雇用条件通りに承継されます。役員に関しては、これまでの任期が維持されるケースが多数です。吸収分割後に双方の会社の従業員や役員に立場が不明確だと、吸収分割実行後に立場が不安定になる恐れがあります。自社の大切な従業員や役員を守るためにも、吸収分割契約書にそれぞれの従業員や役員の待遇を明確に記載しましょう。

契約の解除や変更

地震などの天変地異などによりどうしても契約の遂行が難しくなった場合、協議の上で契約を変更したり解除したりできる旨を記載しておくのがおすすめです。他にも、さまざまな要因で契約の遂行が難しくなるケースがあります。それらについても、契約内容の変更や解除ができる旨を契約書に明記しておくとよいでしょう。

善管注意義務

善管注意義務とは、吸収合併取引において双方の会社の社会的地位を考慮し、互いに被害にあうことがないよう、一般的に要求される注意義務のことです。善管注意義務を明記することで、吸収分割契約後、吸収分割効力発生日までに吸収会社が不適切な行動をとり、承継会社が被害にあう恐れを防止しています。

競業避止義務

競業避止義務とは、従業員や役員が競合の企業や組織への転職などの競業行為をしてはいけない義務のことです。吸収分割を行う際に、吸収会社が承継会社と競業の事業を行うことで承継会社が被害にあう恐れがあります。これを防止するために、競業避止義務を設ける企業が多数です。

株主総会について

会社分割を行う際は、双方の会社の株主総会決議が必要です。株主総会を行う日付も明記し、契約書に記載をしましょう。

秘密保持

吸収分割では、双方の企業に対して自社の機密事項を開示するので、秘密保持に関する事項を契約書に定める必要があります。

吸収分割契約書における承継権利義務明細票

吸収分割契約書における承継権利義務明細票

吸収分割を行う際、基本的に吸収会社より承継会社に承継する権利義務は、個別に決定する必要がありません。ただし、株主が対価の相当性を検討し法的救済方法を判断したり、より具体的な権利義務を特定したりしなければいけない場合があります。その場合は、承継権利義務明細表により内訳を記載するとよいでしょう。

吸収分割契約書における承継権利義務明細表には、一般的には承継する資産や負債、知的剤専権や契約内容、雇用契約や許認可記載します。承継権利義務明細表のひな形は以下の通りです。

株式会社~(以下「甲」という)は株式会社~(以下「乙」という)は、甲が保有する事業に関する権利義務の一部を乙に承継させる目的で吸収分割を行うことに合意し(以下「本件吸収分割」という)、効力発生日における乙が甲から承継する資産や債務、雇用契約やその他権利義務は以下の通りとする。

なお、乙が甲より承継する権利義務のうち、資産や負債に関しては、令和~年~月~日現在の貸借対照表の同日の計算を基準として、これに効力発生日までの増減を調整し確定するものとする。

承継権利義務明細表

1.資産
本件吸収分割により、乙が甲から承継する資産は、吸収分割効力発生日において本件事業に属する以下の資産のうち、法令上承継可能なものとする。
・流動資産:現金や預金、受取手形や未収入金、繰越税金資産、仮払金など本件事業に関する流動資産の一切を承継可能なものとする。ただし、承継する契約上の地位または当該契約に基づく権利義務の定めにより、甲が乙より承継されない契約上の地位や付随する権利義務に関する流動資産を除く。
・固定資産:有形固定資産や無形固定資産、投資やその他資産等、本件事業に関する固定資産の一切を承継可能なものとする。ただし、承継する契約上の地位または当該契約に基づく権利義務の定めにより、甲が乙より承継されない契約上の地位や付随する権利義務に関する固定資産を除く。

2.債務
本件吸収分割により、乙が甲から承継する負債は、吸収分割効力発生日において本件事業に属する以下の資産のうち、法令上承継可能する。
・流動負債:未払い金などの本件事業に関する流動負債の一切を承継する。ただし、承継する契約上の地位または当該契約に基づく権利義務の定めにより、甲が乙より承継されない契約上の地位や付随する権利義務に関する流動負債ならびに短期借入金を除く。
・固定負債:本件事業に関する固定負債の一切を承継する。ただし、承継する契約上の地位または当該契約に基づく権利義務の定めにより、甲が乙より承継されない契約上の地位や付随する権利義務に関する固定負債や社債、長期借入金を除く。

3.知的財産
本件吸収分割における特許権や実用新案権、商標権や著作権、知的財産権の取り扱いは以下の通りとする。
・効力発生日における本件事業に属する知的財産権は、乙が承継する
・甲が有する知的財産権において、乙が承継する知的財産権のうち、本件事業以外の甲の事業に必要な権利については別途甲乙間で締結する契約において乙が甲の使用を許可する
・乙が承継する甲が有する知的財産権以外の知的財産権のうち、本件事業に必要な権利については別途甲乙間で締結する契約において乙が甲の使用を許可する
・乙が承継する甲が有する知的財産権に関する発明者や考案者、捜索者に対する報償債務に関しては、乙が甲から承継する

4.雇用契約を除く契約
本件吸収分割により、効力発生日における本件事業に属する売買契約、業務委託契約、リース契約や共同開発契約、リベート契約賃貸仮契約などにかかる契約上の地位や当該契約に基づき権利義務を乙は甲から承継する(雇用契約および乙に承継されない資産や負債に関する契約を除く)。
ただし、甲乙間で協議の上、当該契約上の地位や権利義務を承継対象権利義務から除外できる。

5.雇用契約
本件吸収分割により、効力発生日における本件事業に関する甲の従業員および甲が乙に承継する必要があると判断した従業員との雇用契約と地位、権利義務、甲と甲労働組合が効力発生日に締結している労働協約のうち甲と甲労働組合との間で乙に承継することを合意している労働協約などは、乙が甲より承継する。

6.許認可
本件吸収分割により、乙が甲より承継する許認可や補助金は、効力発生日における本件事業に関する免許や認可、許可や承認、登録や届出、補助金のうち法令上承継可能なものとする。

7.その他
承継対象権利義務のうち、法令その他の規制、当局等の要請により承継困難なものは、承継対象権利義務より除外する。

吸収分割契約書の書き方

吸収分割契約書の書き方

吸収分割に関する法定記載事項や任意的記載事項は明確に記載します。法定記載事項や任意的記載事項を明確に記載しないと、後々大きなトラブルにつながる恐れがあります。詳しい書き方を知りたい方は、弁護士などの専門家に相談をして、正しく記載をしましょう。

吸収分割契約書のひな形

吸収分割契約書のひな形

吸収分割契約書のひな形は以下の通りです。

会社分割契約書

株式会社~(以下「甲」という)は株式会社~(以下「乙」という)は、甲が保有する事業に関する権利義務の一部を乙に承継させる目的で吸収分割を行うことに合意し(以下「本件分割」という)、以下の通り会社分割契約(以下「本契約」とよぶ)を締結する。

第1条(目的・方法)
甲は、会社法に定める吸収分割の方法により、乙に甲の保有する事業のうち、~に関する事業(以下「本件事業」という)に関する権利義務の一部を乙に承継させ、乙はこれを承継する。

第2条(定義)
本件事業は以下の通りである。~

第3条(商号および住所)
本件分割の当事会社となる甲乙それぞれの商号および住所は以下の通りである。
・甲(分割会社):商号 株式会社~ 住所 東京都~区~
・乙(吸収会社):商号 株式会社~ 住所 東京都~区~

第4条(定款変更)
甲は次の通り定款を変更する。
定款第~条を、「当会社の発行する株式の総数は~株とする」を「当会社の発行する株式の総数を~株とする」と改める。

第5条(本件分割に対する発行する株式数)
乙は、本件分割に対し普通株式~株を発行し、そのすべてを承継対象権利義務に代えて甲に割当て交付する。

第6条(増加すべき資本金の額および準備金)
本件分割により増加する乙の資本金および準備金は次の通りである。ただし、効力発生日において本件事業に関する資産や負債の状態により、甲乙間で協議の上、変更できるものとする。
・増加する資本金の額:本件分割後の乙の資本金は~万円となる。
・準備金:乙が甲より承継する資産合計額から負債額および資本金額の合計を控除した金額

第7条(会社分割承認総会)
甲および乙は令和~年~月~日に株主総会を開催し、それぞれ本契約の承認および本件分割に関する必要な事項の決議を求める。ただし、分割手続きの進行上の必要性やその他の事由があれば、甲乙協議の上、期日の変更が可能である。

第8条(効力発生日)
本件分割の効力発生日は、令和~年~月~日とする。ただし、分割手続き進行上の必要性やその他の事由があれば、甲乙協議の上、期日の変更が可能である。

第9条(善管注意義務、財産管理義務)
甲は本契約締結後効力発生日まで、善良となる管理者の注意をもち業務執行および財産の管理を行う。

第10条(競業避止義務)
甲は本件分割の効力発生後、本件事業に関する競業避止義務を負う。

第11条(権利義務の承継)
乙が甲より承継する権利義務は次の通りとする。
・資産~
・債務~
・契約~
資産および債務の評価は、令和~年~月~日現在の貸借対照表およびその他の計算書類をもとに、これに効力発生日前日までの増減を加え確定する。

第12条(従業員の処遇)
乙は、本件事業に関連する甲のすべての従業員を、甲との契約条件で承継する。

第13条(分割前に就任した乙の役員の任期)
本件分割前に就任した乙の取締役および監査役の任期は、本件分割が行われない場合の任期と同様とする。

第14条(分割交付金)
甲および乙は、本件分割に対し分割交付金を支払わない。

第15条(分割条件の変更および本契約の解除)
本契約締結日より効力発生日前日までにおいて、天変地異やその他の事由により、乙の資産状態や経営状態に重大な変更が生じた場合、甲乙協議の上合意により本契約条件を変更または解除できるものとする。

第16条(本契約の効力)
本契約は第7条に定める甲および乙の会社分割総会における承認が得られない場合、効力を失うものとする。

第17条(秘密保持)
甲および乙は本契約に基づき知り得た情報を厳密に管理し、第三者に漏洩をしない。

第18条(協議事項)
本契約に定めるもの以外、本件に関し必要な事項は、甲乙それぞれが誠実に協議し定めるものとする。

本契約成立を証明するため、本契約書を2通ずつ作成し、甲乙が1通ずつ所持する。

・甲:株式会社~ 住所~ 代表者代表取締役~ 印
・乙:株式会社~ 住所~ 代表者代表取締役~ 印

吸収分割契約書作成時の注意事項

吸収分割契約書作成時の注意事項

吸収分割を行う際、印紙税額や取引先との再契約などの契約書作成にあたり注意すべきポイントがあります。事前に確認しておきましょう。

吸収分割契約書の印紙税額

吸収分割契約書を作成する際は、1通につき4万円の印紙税がかかります。また、吸収分割で不動産登記変更を行う場合は、それに対し印紙税や手数料が別途かかります。事前にどの程度かかるか知りたい方は、税理士などの専門家に相談をしてみましょう。

取引先との契約の再締結は必要?

吸収分割で承継する権利義務に関しては、包括的に承継するので基本的には取引先との契約の再締結は必要ありません。ただし、「チェンジオブコントロール条項」などの例外があります。チェンジオブコントロール条項とは、対象会社の株主や代表者が変更された場合、事前・または事後に契約先に対し通知や届出をしなければいけない条項です。

銀行との取引などにほとんどチェンジオブコントロール条項が付いていて、他にもこの条項が入れ込まれている場合があります。取引先との契約にチェンジオブコントロール条項が付いていると、承継会社は契約の再締結を行わなければいけないケースがあります。チェンジオブコントロール条項がついているか確認したい方は、弁護士などの専門家に相談してみましょう。

会社買収・M&A相談ならウィルゲートM&A

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吸収分割契約書の作成に不安がある方は、M&A仲介会社などの専門家に協力を仰ぎましょう。ウィルゲートM&Aは着手金や相談料無料のおすすめの仲介会社です。これから吸収分割を検討している方は、ウィルゲートM&Aに気軽にご相談ください。

吸収分割契約書 まとめ

吸収分割契約書 まとめ

吸収分割を行うときは、承継会社と吸収会社の間で吸収分割契約書を作成し、契約を締結する必要があります。吸収分割契約書には法定記載事項など明記しなければいけない項目があり、不足していると契約が破棄される恐れがあります。

吸収分割を進めていく上で、契約書作成だけでなくさまざまな面で専門知識が要求されます。すべて自社だけで進めていくのは困難なので、M&A仲介会社などの専門家に依頼をして効率的に進めていきましょう。

ウィルゲートM&Aでは、9,100社を超える経営者ネットワークを活用し、ベストマッチングを提案します。Web・IT領域を中心に、幅広い業種のM&Aに対応しているのがウィルゲートM&Aの強みです。M&A成立までのサポートが手厚く、条件交渉の際にもアドバイスを受けられます。

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