LOI(レターオブインテント)とは?MOUとの違いや締結目的を解説

LOI(レターオブインテント)とは?MOUとの違いや締結目的を解説
この記事の監修:M&A専門家
四辻 弘樹
S M B C日興証券・みずほ証券の投資銀行部においてM&A、ファイナンス、I P O等に携わる。その後は上場企業のテモナにおいてCSOとして事業戦略、M&A、新規事業開発に従事。現在はM&Aアドバイザリーの他、資金調達支援、IPO支援に加えCFOとしての活動。

LOI(レターオブインテント)は「Letter of Intent」の略称で、「意向表明書」という意味です。M&Aは約半年から1年ほどの長期間かけて行われるため、最終契約までを何段階かに分けて条件等を確認する文書を締結するのが一般的です。

この記事では、LOIの意味や記載内容、MOUとの違いなどについて紹介します。

LOI(レターオブインテント)とは

LOI(レターオブインテント)とは

「LOI(レターオブインテント)」という言葉は、近年よく見聞きするようになったものの、詳しい内容や用途については明確ではない人も大勢いるのではないでしょうか。LOIは、M&Aで取り交わされる重要な文書の一種です

今回の記事では、LOIについての基本的なポイントから記載内容、法的拘束力の有無まで広く深く解説していきます。M&Aを検討している、あるいは関心を持っている人は、ぜひポイントを押さえておいてください。

LOI(レターオブインテント)は「意向表明書」

LOI(レターオブインテント)は、「Letter of Intent」の略称です。日本語で「意向表明書」という意味です。M&Aにおいて、買い手から売り手へ提出します。

M&Aは通常、交渉開始から最終契約まで約半年から1年ほど長期間に及びます。そのため、最終契約までの間に何度も文書を締結するのが一般的です。LOIはその最初に締結されます。
売り手と買い手の当事者間でそれまで合意した内容を取りまとめ、お互いに確認するためです。

LOI(レターオブインテント)を締結する目的と意味

LOI(レターオブインテント)を締結する目的と意味

LOI(レターオブインテント)は、M&Aにおける基本的条件などを当事者間で確認しあい、その後の交渉を円滑にするための重要な文書です。実は売り手側と買い手側にとって異なる目的や意味を持っています

ここでは、それぞれがどのようなメリットのためにLOIを結んでいるのか解説します。

両者から見たLOIの目的と意味

「LOI(レターオブインテント)」は「意向表明書」と訳される通り、買い手と売り手の意向をそれぞれ確認する役割があります。交渉の比較的初期段階に締結されることが多い文書です。

これまでに取り決めた内容を一致させる役割はあるものの、金額や条件などについて「変わることがある」という認識で臨むのが一般的です。

売り手から見たLOIのメリット 買い手の意欲を確認

売り手がLOI(レターオブインテント)を締結する最大のメリットは、買い手の意欲を確認できることです。

M&Aには、売り手のリスクを買い手が事前調査する「デューデリジェンス」という作業があります。各種の決算書や株主総会議事録などを買い手に見られるため、売り手にとっては機密情報漏洩のリスクにもなりかねません。そのため、売り手はM&Aに積極的ではない相手とデューデリジェンスの取り決めはしたくないと考えます。

LOIは、そういったリスクを背負っている売り手にとって、買い手の意欲を確認できる基準になります。LOIを参考にして、数社ある買い手候補から絞り込んでいきます。

買い手から見たLOLのメリット 独占交渉権

買い手がLOI(レターオブインテント)を締結する最大のメリットは、「独占交渉権を設定できる」ことです。独占交渉権は、売り手が買い手以外と交渉することを法律で禁じています。

M&Aは、最短でも3カ月、長いと2年に及ぶ場合もあります。時間も費用もかかるため、買い手は「この会社を買いたい」と判断したら、絶対に失敗したくないものです。そのため、売り手がいつまでも複数の会社を比較し、その上で他社を選ぶリスクだけは避けたいと考えます。

また、ライバル社がいると、選ばれるために譲渡金額や条件も上げなければならなくなります。

ですが、LOIによって独占交渉権を得られれば、そのリスクを回避できるのです。

LOI(レターオブインテント)の提出タイミング

LOI(レターオブインテント)の提出タイミング

LOI(レターオブインテント)を提出するタイミングは、トップ面談(事業者面談)の後が一般的です。面談によって双方が譲渡金額や大枠の条件に合意し、LOIをベースにして本格的な交渉や協議に移るという意味も含んでいます。

売り手は、約1~2週間ほど内容を確認してから、買い手へ返答するケースが大半です。

LOI(意向表明書)とMOU(基本合意書)との違い

LOI(意向表明書)とMOU(基本合意書)との違い

M&Aにおいて必要となる文書の中で、違いがわかりにくいのが「LOI(レターオブインテント)」と「MOU(メモランダムオブアンダスタンディング)」です。ここではその違いについて、3点解説します。

MOU(基本合意書)とは

MOUとは、「Memorandum of Understanding(メモランダムオブアンダスタンディング)」の略語です。日本語で「基本合意書」と訳されます。

LOI(レターオブインテント)同様、売り手と買い手両者において合意している事項を記載した文書です。また、最終契約より前に締結される点も共通点です。「あまり使い分けされていない」と書かれていることもありますが、実際は提出のタイミングも記載内容も異なります。

1.内容を締結するタイミング
2.記載内容
3.双方の合意があるかどうか

1.内容を締結するタイミング

1点目は、内容を締結するタイミングです。

一般的なM&Aにおける締結の順番は、トップ面談の後でLOI(意向表明書)、次にMOU(基本合意書)、そして最後にDA(最終契約書)となります。トップ面談で双方が基本的事項に合意し、買い手に買収の意欲があることを示すために提出するのがLOIです。その内容を受け、本格的な交渉の後に双方の合意の上で締結されるのがMOUです。

2.記載内容

2点目は、文書の記載内容です。

LOI(レターオブインテント)には、希望条件や従業員の処遇、M&Aの手法などの大まかな条件が記載されます。また、この内容をベースにするものの、本格的な交渉を経て変わる点を考慮してあることが大半です。それに対して、MOU(メモランダムオブアンダスタンディング)の記載内容はより最終契約に近いものになっています。

3.双方の合意があるかどうか

3点目は、双方の合意があるかどうかです。

LOI(レターオブインテント)は、買い手が売り手に対し、買収意思があることを示すために提出する文書です。売り手は、LOIによって買い手を絞り込みます。そのため、LOIは買い手の「意向表明書」なのです。

一方、MOU(メモランダムオブアンダスタンディング)は、売り手と買い手の「両者が合意したことを表すため」に締結します。記載内容が最終契約書にとても近いこともあり、MOUは「基本合意書」と呼ばれます。

LOI(レターオブインテント)の記載内容

LOI(レターオブインテント)の記載内容

LOI(レターオブインテント)の記載内容は、案件によって大きく異なります。ここでは、特に記載されることが多い5点について解説します。

LOI(レターオブインテント)の書式

LOI(レターオブインテント)の書式は、最終契約のための文書とは異なり、かなりかんたんにまとめられることがほとんどです。特に定められた様式はなく、箇条書きもあれば本格的な契約書もあります。また、サインについても、片方だけがする場合と双方がする場合など、当事者によって異なります。

1.買い手の会社概要とM&Aの目的

最初に、買い手の会社概要を記載します。商名や本社所在地、代表者名、事業内容、資本金といった自社の情報とともに、今回のM&Aの目的を関連させて記載することが一般的です。

2.希望条件

LOI(レターオブインテント)はデューデリジェンスよりも前に締結されるため、金額面で変動があることも考えられます。双方でそれを認識した上で取り交わすことがおすすめです。希望条件は、下記のような記載内容が一般的です。

  • 買収金額
  • 各種費用負担
  • 株式譲渡、事業譲渡といったM&Aのスキーム
  • 締結のスケジュール

3.デューデリジェンスを行う権利

LOI(レターオブインテント)には、買い手が売り手をどのような方法でデューデリジェンスする(調査する)のかについて記載します。調査内容や方法、時期、担当者なども細かく決めておく必要があります。

デューデリジェンスによって、売り手は買い手に機密情報を知られる危険性があります。それによる情報漏洩のリスクを最小限に留めるために、調査範囲や実施方法について合意の上で行います。

4.守秘義務

M&Aを成功させるにあたり、情報を守秘することは非常に大切なポイントの1つです。M&Aを行おうとしていることも、ごく一部の関係者以外には伏せておく必要があります。知られることで従業員や取引先を動揺させ、デメリットにしかなりません。場合によっては、事業が存続できなくなります。

また、売り手を調査するデューデリジェンスによって、重要な機密事項が買い手に知られてしまうこともあります。それを外部に漏洩されないよう、LOIに守秘義務を記載する必要があります。

5.独占交渉権

案件の規模や内容によっては、LOI(レターオブインテント)で独占交渉権を設定します。独占交渉権を設定した場合、その後売り手は買い手としか交渉できなくなります。こういった法的拘束力に関する事項についても、必要があればLOIに盛り込みます。

LOI(レターオブインテント)の法的拘束力

LOI(レターオブインテント)の法的拘束力

基本的に、LOI(レターオブインテント)そのものに法的拘束力はありません。LOIはあくまでも買い手の「意向表明書」です。

また、そういった争いを避けるために、書面上に「法的拘束力を有するものではない」と記載することが多くあります。

ですが、法的拘束力を持たせることもできます

LOIが法的拘束力を持つ場合

LOI(レターオブインテント)は、ある一部の事項について法的拘束力を持たせるフレキシブルな設定もできます

前述の独占交渉権や守秘義務については、法的拘束力を持たせる企業が大半です。これらはM&Aを成功させるにあたって重要なだけではなく、事業運営そのものにも深くかかわります。そのため、LOIの段階から記載し、それに則ってM&Aを進めていきます。違反した場合は訴訟も考えられます。

上場会社のLOI(レターオブインテント)の開示義務

上場会社のLOI(レターオブインテント)の開示義務

上場企業によるLOI(レターオブインテント)の締結は、金融商品取引所に規定されている適時開示義務の対象になる場合があります。この基準になるのは、「取引実行される可能性が高いかどうか」です。

1.最終契約される可能性が高い
2.最終契約と近い記載内容
3.独占交渉権や守秘義務といった法的拘束力がある記載内容

金融商品取引所規則に基づく「取引実行に関する決定」は、3.のようによく記載される内容だけでは決まりません。最終契約書のように具体的な取引条件があり、その上で法的拘束力がある内容が記載されている場合は、開示義務が生じます。

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LOI(レターオブインテント) まとめ

LOI(レターオブインテント) まとめ

LOI(レターオブインテント)は、トップ面談後のタイミングに買い手から売り手へ提出される文書です。これをもとに、売り手は本格的に買い手を絞り込みます。記載事項は、ごく基本的な条件から法的拘束力を持たせたものまで多岐にわたります。

M&Aは、どの段階においてもノウハウや業界知識があるほうが有利です。特にWeb・IT業界でM&Aを成功させたい場合はなおさらです。ウィルゲートは完全成果報酬制で着手金がかからないため、M&Aについて検討したいことがある方は、まずご相談ください。

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