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株式の無償譲渡とは?かかる税金や手続き・会計処理を解説

株式の無償譲渡とは?かかる税金や手続き・会計処理を解説

株式の無償譲渡はM&Aの一種で、売買契約や事業譲渡を伴わないため、主に同族会社に事業譲渡する際に実施されます。株式を譲受された側だけでなく無償譲渡した側にも税金がかかるなどの注意はありますが、手続きを簡略化できるのがメリットです。

この記事では、株式の無償譲渡の意味や税金関係、手続き・会計処理を解説します。

株式譲渡とは

株式譲渡とは

株式譲渡とは、文字通り株式を有償または無償で他社に譲り渡す行為です。株式とは会社がお金を出資してくれた人に発行する証券であり、会社の所有権でもあります。通常の株式はお金と引き換えに発行され、株式市場でも売買されますが、譲渡されるのはどのような場合でしょうか?

株式譲渡は、M&Aの一環として行われます。M&Aの手法には新株引受や株式交換もありますが、手続きが複雑で時間を要します。手続きを簡素化して一刻も早く事業譲渡を完了させたい場合に行われるのが株式譲渡であり、株式の名義を変更するだけの行為です。

株式譲渡には有償と無償の2種類があります。有償の株式譲渡は株式、つまり会社の所有権を他者に売却する行為ですから、M&Aで一般的に用いられる手法です。一方で、無償での株式譲渡が実施される場合もあります。文字通り無償で株式を他者に譲るため、通常は家族・親族や友人に対して行われる行為です。

ただし、株式を無償譲渡する場合にはさまざまな手続きが必要です。譲り渡すのが現金や動産であれば、たとえ口約束でも手続きなしに譲渡が成立します。それに対し株式は株主総会または取締役会が株式譲渡承認請求を承認しなければ無償譲渡できませんし、株主名簿の書き換えも必要です。

さらに、株式を無償譲渡された側は税金を支払う必要がありますが、譲渡する側とされる側が個人か法人かによって4パターンに分かれます。それぞれの事例を具体的に見ていきましょう。

株式の無償譲渡を行う際にかかる税金

株式の無償譲渡を行う際にかかる税金

株式の無償譲渡にかかる税金について確認する前に、現金や動産を譲渡するケースを考えましょう。現金や動産、つまり腕時計や家電などの物品を他者に譲り渡すと、どのような税金が発生するでしょうか。

個人間の譲渡には贈与税が発生しますが、受け取った金額が年間110万円以下なら控除されます。仮にある人が年間合計で200万円の現金や腕時計などをプレゼントされると、110万円を控除した90万円分に対して贈与税が課税されるのです。

個人から法人への贈与は寄付となり、贈った個人には所得税が、贈られた法人には法人税がかかります。法人から個人にお金を贈与した場合も、かかる税金は法人が法人税、個人が所得税です。法人間で贈与した場合は、双方に法人税が課せられます。いずれの場合も消費税はかかりません。

株式を無償譲渡した際にかかる税金も、基本的には現金・動産の場合と同様です。ただし株式には損益通算や時価の計算が必要なため、現金などの贈与よりも手続きは複雑になります。

個人から個人へ譲渡を行った場合

個人から個人へ譲渡を行った場合

個人から個人への株式無償譲渡を行うと、受け取った側に贈与税が課せられます。なお、株式の無償譲渡にかかる贈与税は現金やその他の物品と合算され、110万円が基礎控除された上で税率が算出される仕組みです。

株式を無償譲渡した側の個人が税金を支払う必要はありません。ただし、税法上の損失とは認められないため、無償譲渡した株式の額にかかわらず損益通算や控除の適用は不可能です。

たとえば、ある年にAさんがXさんから300万円の株式を無償譲渡され、Yさんから200万円の現金を、Zさんから100万円の高級腕時計をプレゼントされたとします。この場合、贈与税を支払う必要があるのは受け取ったAさんのみであり、合計600万円から110万円を控除した490万円が贈与税の課税額です。

また、贈与税は1月1日から12月31日までに受けた贈与に課せられます。極端にいえば、2020年12月31日に100万円、翌日の2021年1月1日に100万円もらった人にその他の贈与が一切ない場合は、2020年と2021年に受けた贈与の額はそれぞれ基礎控除額の110万円を下回るため、贈与税は発生しません。

贈与税の税率は、基礎控除後の課税価格が200万円以下ならば10%、300万円以下ならば控除額10万円をさらに引いた上で15%であり、3,000万円超ならば控除額400万円・税率55%で固定されます。

贈与が直系尊属から直系卑属に対して行われた場合は、贈与を受けた直系卑属が支払う贈与税に「特例贈与財産用」の課税価格が適用され、4,500万円以下の贈与税が安くなります。直系尊属は親や祖父母、直系卑属は子や孫などです。「親や祖父母など、自分と直系の血縁がある人から贈与されると贈与税が安くなる」と考えるとわかりやすいでしょう。

贈与税はほかの税金とあわせて毎年3月頃に確定申告する必要があります。個人事業主など、すでに確定申告している人ならば贈与の欄に記入するだけで済みますが、それ以外の人は贈与税を納付するための確定申告が必須です。

個人から法人へ譲渡を行った場合

個人から法人へ譲渡を行った場合

個人から法人へ株式の無償譲渡を行うと、譲渡した側の個人にも所得税を納める義務が生じます。この制度は「みなし譲渡所得課税」と呼ばれるものです。株式を無償譲渡した人は価値の分だけ損したはずですが、なぜ所得税まで支払わなければならないのでしょうか?

例として、Aさんが自身が所有するX社に対し、Y社株式を無償で譲渡したケースを想定します。所得税は個人に対して課せられるため、Y社株式を無償譲渡されたX社が所得税を支払う必要はありません。つまりAさんはX社を所有しているにもかかわらず、税金を払わずに名義を変更できてしまいます。

個人間で株式を無償譲渡すれば贈与税が発生するのに、個人から法人への譲渡には税金がかからないのは不公平ですね。そこで、株式を無償譲渡された法人にかわって譲渡した側の個人が納税する制度が「みなし譲渡所得課税」です。

たとえば、Aさんが600万円で購入して現在は1,000万円の価値がある株式を、X社に売却したとします。みなし譲渡所得課税がかかるのは400万円の値上がり益に対してです。復興特別所得税を含む譲渡所得税の税率は20.315%ですから、このケースでは約80万円の税金が生じます。

株式を無償譲渡された法人にとって、株式の価値は受贈益となり、法人税を支払う必要があります。ただし、法人は受贈益を含む売上から仕入・経費を引いた分が利益になるため、仮に利益がマイナスになれば法人税を支払う必要がありません。

法人から個人へ譲渡を行った場合

法人から個人へ譲渡を行った場合

法人から個人へ株式の無償譲渡が行われるのはどのようなケースでしょうか。考えられるのは、役員報酬として現金ではなく株式を支給することです。役員以外の従業員でも、給与の一部として株式を無償で譲渡されることはあり得ますね。

先にポイントを述べると、法人から個人への株式無償譲渡では、譲渡した側の法人に法人税が、譲渡された側の個人に所得税が課せられます。

法人が同じ法人の役員または従業員に株式無償譲渡をした場合は、ボーナスなどと同じ賞与として扱われます。ただ、法人が支払った賞与でも経費のように売上からマイナスできるとは限らず、「役員給与の損金不算入」に該当する可能性があるのです。

中小企業などでは法人の株主と役員が同一人物である事例も多く、賞与や株式無償譲渡に課税されないとなれば、無制限に法人から役員に資金を移動させられます。そのため、定期同額給与や株主総会で決議して税務署に届出を行ったなどの例外を除き、法人が役員である個人に株式の無償譲渡をすると法人税が課せられます。

法人が、役員でも従業員でもない個人に株式の無償譲渡をしたらどうなるでしょうか。無関係の個人に株式を無償で譲渡するとは考えにくいですが、同族会社での親族への譲渡はあり得る事例です。その場合は無償譲渡した株式が寄付金扱いになり、法人税がかかります。

次に、株式無償譲渡を受けた個人の側を見ていきましょう。法人から株式の無償譲渡をされた個人には、所得税を納める義務が生じます。ただし、役員・従業員であれば給与所得に、それ以外ならば一時所得に区分されるので、確定申告の際には注意が必要です。

無償で株式譲渡した法人の仕訳処理は、借方が賞与または寄付金として株式の全額、貸方が取得価格は「有価証券」、値上がり分は「売却益」となります。

法人から法人へ譲渡を行った場合

法人から法人へ譲渡を行った場合

法人から法人への株式無償譲渡には、譲渡側・譲受側のいずれにも法人税が課せられます。まず、譲渡側では無償譲渡した株式の時価が寄付金として扱われますが、「損金算入限度額」を超えた分には課税されます。

また、株式の無償譲渡を実施した際の時価と取得価格の差である値上がり益にも課税されます。たとえば600万円で取得した株が900円に値上がりした際に無償譲渡すると、値上がり益の300万円が課税対象です。

譲受側には無償で譲渡された株式の時価を受贈益として会計処理する必要があり、決算時に売上から経費を引いた利益に対して法人税がかかります。

株式の無償譲渡のメリット・デメリット

株式の無償譲渡のメリット・デメリット

株式無償譲渡のメリットは、手続きがシンプルであることです。M&Aのために株式を有償で売却・買収しようとすると、上場企業であれば株式公開買付を行う必要があります。非上場企業では特定の株主と直接交渉しなければなりません。

株式の売却に手間がかかるなら、事業の一部や不動産などの資産を無償譲渡した場合はどうなるでしょうか。事業譲渡の場合は、譲渡側・譲受側のみならず契約先の同意も必要になるため、手続きに時間がかかります。不動産を譲渡する場合には法務局での登記も必須です。

これに対して株式無償譲渡は所有者を変更するだけで、譲渡の対象となる法人自体の事業や資産には変更がありません。従業員は働き続けられますし、契約先の同意も特別な条項がない限りは不要です。株式総会での決議や株主名簿の書き換えこそ必要ですが、納税なども現金の贈与とほぼ同様のかんたんな手続きで行えます。

もっとも、株式無償譲渡にはデメリットも存在します。譲渡する側から見れば、売却すれば得られる利益を手放すことになり、納税義務まで生じるため株式無償譲渡は損失同然です。さらに、たとえ無償譲渡する株式でも企業価値は正確に算出しなければならないため、税理士などに報酬を支払う必要も生じます。

株式無償譲渡における譲受側のデメリットとして挙げられるのは、資産のみならず負債まで引き継ぐ可能性があることです。株式を無償譲渡されて利益を得られたと思ったら、企業が債務超過に陥っており、株式の再譲渡先が見つからず保有し続けなければならないこともあり得ます。

株式無償譲渡によるトラブルを避けるためにも、通常のM&Aと同じく譲渡側・譲受側および譲渡の対象となる企業が事前に話し合い、可能な限り情報を公開することが必要です。

株式の無償譲渡を行う際の手続き

株式の無償譲渡を行う際の手続き

株式の無償譲渡を行う際は、まず譲渡側と譲受側の契約が必要です。法律上は書面の締結が義務付けられておらず、口約束でも有効ですが、トラブルを避けるために「株式譲渡契約書」を作成・交付してください。

株式譲渡契約書にはお互いの住所・氏名や譲渡する株数および株式の価値を記載します。無償譲渡であっても税金を計算するために株式の時価を算出する必要があるため、税理士などの専門家に相談してください。また、無償での譲渡であること、株式無償譲渡後に株式名簿を書き換えることも記載しなければなりません。

株式譲渡契約書を譲渡側・譲受側の間で取り交わしたら、次は無償譲渡される株式を発行した会社の許可を受ける必要があります。上場企業では不特定多数が株式を売買するため許可を受ける必要はありませんが、中小の非上場企業では無償譲渡か有償譲渡かを問わず、株式譲渡の制限が定款で定められている場合があるためです。

株式会社には取締役会設置会社と非設置会社があります。株式無償譲渡を行う際は、取締役会設置会社では取締役会の、非設置会社では株主総会に譲渡承認を請求しなければなりません。通常は株式無償譲渡を承認する際も議事録が作成されますが、念のために作成を依頼しましょう。請求後2週間以内に譲渡側・譲受側に承認が通知されるか、期限内に通知がなければ承認されたとみなされます。

株主総会または取締役会の承認を受けて正式に株式無償譲渡契約を締結したら、株主名簿の書き換えが必要です。現在の会社法では原則として株券の不発行が定められているため、紙の株券の有無にかかわらず、株式無償譲渡の譲受側を株主名簿に記載してもらえば、株主の地位を証明できます。

株式の無償譲渡を行う際の契約書の書き方

株式の無償譲渡を行う際の契約書の書き方

株式無償譲渡の契約書は法律で義務付けられていないため、書式は自由です。ただ、一般的には取引の安全のために以下の3点を明記すべきとされています。

  • 株式が無償譲渡されること
  • 株主総会または取締役会の承認まで譲渡側が譲受側以外に株式を売却・無償譲渡しないこと
  • 株式無償譲渡の後に株主名簿書き換えを行うこと

また、契約を交わした日付に加え、双方の住所・氏名と無償譲渡する株式の数も契約書への記載が必要です。株式無償譲渡は売買契約を伴わないため、用紙にするとA4サイズが1枚程度の非常にシンプルな内容となります。

株式の無償譲渡を行う際の注意点

株式の無償譲渡を行う際の注意点

最後に、株式の無償譲渡を行う際の注意点を解説します。繰り返しになりますが、譲渡側と譲受側の双方が個人である場合を除けば、株式無償譲渡を行う側にも所得税または法人税が課せられる点に注意が必要です。

納税のためには無償譲渡する株式の価値を計算しなければなりませんが、時価が株券の額面と同一であるとは限りませんし、2001年の商法改正以降は無額面株式しか発行できないとされています。そのため、弁護士や税理士、中小企業診断士などへの株式価値算出依頼が必要です。

2006年の新会社法施行までは株式会社の資本金は1,000万円以上でなければならないとされていたため、資本金が1,000万円前後の中小企業は少なくありません。しかし年商が10億円程度ある企業の株式に1,000万円の価値しかないとは考えにくく、無償譲渡の際にも数千万円分の価値を基準に税金を計算される可能性があります。「無償譲渡だから株式にはあまり課税されないだろう」と考えるのは禁物です。

また、新会社法施行以前に設立されたか定款で株券の発行が定められた企業の株式を無償譲渡する場合は、株券を名義変更する必要があります。株券の名義変更は会社が委託する証券会社か信託銀行で行うことがほとんどですので、無償譲渡する株式を発行した会社に問い合わせてください。

企業買収・M&A相談ならウィルゲートM&A

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株式の無償譲渡にはM&Aに準じる手続きが必要です。M&Aの知識がある弁護士や税理士が身近にいない場合は、M&A仲介会社への相談を考えてください。

ウィルゲートM&Aは2019年のサービス開始以来、9,100社以上の経営者ネットワークを通じてM&Aを支援してきました。着手金・相談料無料の完全成果報酬制で、IT業界など幅広い分野の仲介実績が強みです。株式無償譲渡を検討中の方は、ぜひウィルゲートM&Aにご相談ください。

株式の無償譲渡 まとめ

株式の無償譲渡 まとめ

同族会社同士でM&Aを行う際は、手続きがかんたんな株式の無償譲渡が選択肢となります。譲渡側にも税金がかかる場合もありますが、基本的には株式価値の算定と名義変更のみで手続きを終えられるのがメリットです。

比較的かんたんな株式の無償譲渡ですが、トラブルなく手続きを終えるには専門家への相談が欠かせません。M&Aの仲介に加えてマッチングや契約書作成までサポートする、相談・着手金無料のウィルゲートM&Aへの相談がおすすめです。

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