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合併とは?種類・メリット・デメリット、手続き・事例・買収との違いを解説

合併とは?種類・メリット・デメリット、手続き・事例・買収との違いを解説

合併は、買収などの手法に比べると、大事な会社を売買対象にしているマイナスイメージは少ないでしょう。

「効果に乏しいのではないか?」
「実施しにくいのではないか?」

といった疑念もあるのではないでしょうか。

この記事では、合併の概要について、種類やメリット・デメリット、手続き、事例などをわかりやすく解説します。

合併とは

合併とは

合併とは、M&Aのスキームの一つで、2つ以上の会社を1つの会社に統合する形で行うものをいいます。ほかの会社を完全に支配下におくM&Aが実施でき、一般的にまず完全子会社化してから後に合併に至るケースが多くあります。

そのほか、グループ企業内での機能統合などの組織再編、業績が悪化している企業の支援、繰越欠損金の引き継ぎを行うことなどによる節税対策など、目的は多岐にわたります。ちなみに英語ではmergerと訳されます。

合併の種類

合併の種類

合併の手法は大きく吸収合併と新設合併の2種類があります。合併を実施した後、法人格を失う会社を消滅会社、残存する会社を存続会社と呼びますが、この存続会社がどういう会社かによる分類となっています。

すなわち既存の会社が消滅会社を吸収して存続会社となるものを吸収合併、消滅会社をまとめる形で合併する会社を新たに立ち上げて存続会社とするものを新設合併と称します。

この2つは存続会社以外にも大きな違いがあります。新設合併の場合は、新しく会社を立ち上げる必要がありますので、設立手続きや許認可申請、公開会社とするなら上場申請など多くの手続きを要します。吸収合併では既存の会社が存続するのでそういった手続きはいりません。

また新設合併の方が登録免許税が高くなる傾向もあり、M&Aの実務面では吸収合併が選択されることが非常に多くなっています。

吸収合併とは

吸収合併の定義は「合併によって消滅する会社が有していた権利義務のすべてを、合併後に存続する会社が承継する手法」(会社法第2条27号)です。つまり、合併後に法人格を持って存続している会社が、法人格を失って消滅する会社をまるごと手に入れる、まさに吸い込む形での合併となります。

消滅会社の資産や権利などはもちろん、負債や義務など、いわば負の側面もすべて存続会社が引継ぎます。

吸収合併のメリット・デメリット

吸収合併は新設合併よりも多く取られる手法で、メリットが多くあります。しかしデメリットがないわけではありません。それぞれ解説していきます。

メリット

まず、吸収合併によって消滅会社のすべてを引き継ぐわけですから、そのぶん会社の規模が大きくなります。販路や取引先などが広がり、事業拡大によるスケールメリットが期待できます。

また消滅会社の許認可や免許もそのまま引き継げることも大きなメリットです。異業種の会社を吸収合併すれば、その事業を引き継ぐことで新規事業開拓も容易にできるわけです。

子会社化を目指すスキームとしては株式譲渡などもありますが、これには譲渡対価としての多額の資金を要します。その点吸収合併では、自社の株式を交付することで対価をまかなえます。資金調達は不要で、M&Aによってキャッシュフローが悪化したり債務リスクを抱えたりする心配がありません。

さらに消滅会社に繰越欠損金があった場合には、それを引き継ぐことが可能です。欠損金の合計額に法定実効税率を乗じたぶん、節税効果が期待できます。

さらに吸収合併では、消滅会社の法人格を失わせる手続きのみで実施できるので、比較的手続きが容易なのもメリットとして挙げられます。

デメリット

最大のデメリットは、合併後に消滅会社の従業員の就業意欲が低下する可能性があることです。消滅会社は、まるごと存続会社に取り込まれるので、従業員の雇用は維持されます。

しかし愛着ある会社の消滅は、心理的な不安を呼び、リストラが行われるのではないか、などの疑心暗鬼に駆られれば、モチベーションを大きく損じる可能性は否定できません。そうなれば業績そのものが影響を受け、合併の効果が得られなくなりかねません。

メリットとして挙げた株式交付による対価の支払いですが、これができない場合があるのが2つ目のデメリットです。それは存続会社が非上場会社の場合です。この場合、対価として支払われる株式は市場での売却ができません。

一般に流動性が低く現金化が困難な非上場株式は敬遠され、現金での支払いを要求されることがあります。

新設合併とは

一方、新設合併は「合併によって消滅する会社が有していた権利義務のすべてを、合併によって設立する会社が承継する手法」(会社法第2条28号)と定義されています。つまり、合併後に新しく設立された会社が、消滅するすべての会社をまるごと引き継ぐ存続会社となる手法です。

いったん消滅会社がすべて解散し、それぞれが持っていた権利義務を新設する会社に改めて移管すると考えることもでき、新たな一回り大きな会社としてスタートする合併手法です。

新設合併のメリット・デメリット

新設合併は吸収合併よりも用いられる機会は少なく、メリットは少ないと思われがちです。しかし会社としてのリスタートをイメージできることから有利な点もあります。

メリット

最大のメリットは、すべての会社が対等と受け止めやすく、肯定的にM&Aを受け入れられる点です。合併前にすべての会社は消滅するので、その意味で対等合併と見なされるわけです。そのためそれぞれの会社の取引先や従業員にとって、合併後の会社についての不安感や不信感を少なくでき、社会的にもネガティブな評価を受けにくいことが期待できます。

それぞれの消滅会社にとって、会社の規模は大きくなります。そうしたスケールメリットは大きく、引き継がれた取引先などの信頼感が増す可能性があります。そうしたことで取引の活性化が図られ、業績向上につながります。

スケールメリットによるシナジー効果も大きな利点です。仕入高の増加やストックコストの削減などが期待でき、コスト削減が可能になります。技術力や商品開発力の向上による売上増加や、異業種への新規参入なども促進される可能性が生まれます。

デメリット

最大のデメリットは、先にも述べましたが手続きの煩雑さです。まずすべての会社が消滅するので、それぞれの会社の債権者保護手続きや株主総会における特別決議などが必要になります。

また、許認可等は新設会社は引き継げないので、必要に応じて許認可や免許等の再申請、再取得が求められます。法人の消滅にかかわる印紙代や専門家への手数料、新設会社の設立にかかわる定款の認証や登録免許税などの負担もあり、コスト面で割高になることも問題です。

合併後のPMI(経営統合)も難航が予想されます。吸収合併の場合は、存続会社のシステムに合わせていく形で方向性は明確ですが、対等合併による新設会社ですから、ルール作りも一からのスタートとなります。その手間と時間が膨大なものになるのは想像に難くないところです。

合併と買収との違い

合併と買収との違い

合併と同じM&Aの手法として買収があります。買収は、ほかの企業を支配下に置くことをねらって議決権株式の過半数を取得したり、特定の事業を買い受けたりすることをいいます。具体的な手法としては株式譲渡、事業譲渡、会社分割などの手法が用いられます。

この2つの最大の違いは、消滅会社があるかどうかという点です。買収では経営権を支配されて完全子会社化したり、事業が買い手側に移管したりしますが、売り手企業は法人格を持って存続します。(子会社化され他社の傘下に入るとしても会社はなくなりません)

しかし合併では売り手企業は解散し、そのすべてを存続会社に引継ぎます。売り手企業は消滅会社となり、法人格を失います。

ちなみにM&AはMergers and Acquisitionsの略で「合併と買収」という意味です。このことからも、合併と買収はいわば対置される概念であることがわかります。

合併の目的

合併の目的

吸収合併にせよ、新設合併にせよ、合併は当然に企業の規模拡大が図れます。企業が拡大を目指すのは言わば本能的ではありますが、企業経営の観点で見ればそこには合理的な目的があリます。主な目的は3つ挙げられます。

規模拡大の恩恵

規模が大きくなると自ずから得られる恩恵、いわゆるスケールメリットがあります。単純に仕入れコストが下がるのが一番大きい利点でしょう。事業規模が大きくなると仕入れの絶対量が増えます。そうなれば取引先との交渉のカードとして利用することで、仕入れ単価を下げられます。

また、輸送費をとってみても、より大きな車両を用いることや、一度に搬送する量を増やすことでコスト削減が図れます。

こうした生産コストの減少は、売上に占める利益の幅を広げられるうえ、大量出荷、販売を行う営業戦略の実施を可能とし、総体としての売上高の増加にも資するものです。結果として、競合相手からのシェア獲得にもつながります。

競争力向上

スケールメリットを有効に活用することで、業界におけるシェアは拡大します。会社規模の拡大による資本の増強などで、会社の体力としての財務状況も強化されることになります。

商品開発や販路拡大の地道な経営努力は大切ですが、その成果として売上高や利益を伸ばすのはなまなかなことではありません。しかし合併によってそうした成果を非常に得やすくなります。

また業界内での合併であれば、競合相手そのものも減り、業界順位も大きく上げることが可能です。

シナジー効果

どんな企業にも得手、不得手があります。得意分野を伸ばし、不得意分野をカバーするような努力が求められます。例えば開発力は高いが営業力が乏しい場合、営業力を強化すれば大きな成長が見込めますが、これを単独の企業努力で実現するのは容易ではありません。

ところが、これを一気に解決する可能性があるのが合併です。つまり、営業力の高い会社との合併によって、その人材や販路を獲得すれば、もともと持っていた高い開発力と相まって売上高は相乗効果で上昇するはずです。合併相手も開発力の面で企業強化が図られるわけですから、単なる規模拡大を超えた効果、シナジー効果が期待できるのです。

合併のメリット

合併のメリット

企業が合併を目指すのは、どんなメリットを期待してのことなのでしょうか。目的と直結するものを含めて5つ考えられます。

資金調達が不要

一般にM&Aには多額の資金が必要となります。会社を買い上げるというのですから、その金額の大きさは想像に難くありません。しかし、合併では資金調達が不要となる場合があるのです。会社法には、合併の際の対価として金銭でなく株式やその持ち分の交付も認められているからです。(第749条1項2号)

合併契約において支払い対価を自社の株式とすれば、金融機関等を頼っての資金集めは必要ありません。買い手側に資金がない場合でも売り手企業を手に入れられるのです。

包括的な承継が可能

例えば事業譲渡の場合は、事業そのものや関連資産までは取得できても、従業員との雇用契約などは承継されません。しかし合併においては、原則的に会社をまるごと譲り受ける形になるので、そうした契約関係や許認可等、取引先との関係に至るまで包括的な承継が可能となります。(会社法第750条1項、第754条1項)

会社自体の登記移転によって、事業にかかわる資産や保有株式など、まとめて引き継げます。個別な契約や取引関係の移転は要しないため、大幅な負担削減が期待できます。ただし新設合併では雇用契約などは承継されないので、新たに結び直す必要があります。

対等なM&Aの印象

株式譲渡や事業譲渡では、売り手企業がその全部または一部を買い手に買い取られるという印象があります。過去にはM&Aを会社の身売りと称し、買い手側が一方的優位に立つ悪印象があり、今でも売り手側の立場が弱いという先入観を拭えない人は少なくありません。

しかし新設合併では、対等合併という名称を用いて複数の会社を統合することが行われます。対等合併は法的定義はありませんが、売り手と買い手が対等な立場であることをアピールして、株主などのステイクホルダーや社会的な不安を回避する効果があります。

具体的には合併上の比率を1対1に設定することや、消滅会社の社名や主なブランド名を合併後も残すことなどによって印象づける手法が取られます。

スケールメリットの獲得

合併では消滅会社の既存の事業、関連資産、人材、販路などをまるごと取得できます。これは事業規模の拡大を意味しますので、それだけでも仕入れコストの削減や売上高の上昇などの成長要因となります。それ以上に、より大きな企業としての信用力、ブランド力の上昇は、会社の成長を支える大きな基盤となり得ます。

得やすいシナジー効果

合併前の企業が、それぞれ個別に上げていた業績の総計が合併後の企業の業績となるわけではありません。互いの弱みを補い合い、強みを強化することで新たな事業展開が可能となります。こうした相乗効果をシナジー効果と呼び、主に3つが考えられます。

売上シナジー

互いのブランド力の活用、クロスセルなどで売上が増加する

コストシナジー

生産機能の効率化や価格交渉力向上による仕入れ単価の抑制などでコストが削減できる

財務シナジー

M&Aにおけるのれんの償却や信用力向上による資金調達の円滑化などで財務の改善が図れる

株式譲渡などによる子会社化、グループ化に比べて、合併では単一の企業として規模拡大を図れるので、M&A後の一体性が強くより高いシナジー効果を生むと考えられます。

合併のデメリット

合併のデメリット

合併の良い面だけを見ていると、これ以外の選択肢はないかのように感じてしまいます。しかし、やはり合併にも負の側面はあります。実際のM&Aではこうした正負のバランスをよく考えてスキームを選択していく必要があります。ここでは4つのデメリットを挙げます。

煩雑な手続き

なんといっても最大のネックとなるのが、非常に煩雑な手続きを要する点です。例えば株式譲渡が、株式の譲渡承認の手続きや株主名簿の書き換えなど、社内手続きで完了するのに比べて、対外的にも多くの手続きを要します。

必ず消滅する会社があるわけですから、事前や事後における開示資料の備置や債権者保護手続きが必要になりますし、株主総会においても組織再編に伴う特別決議が必要です。会社の内外を問わず、神経を使う手続き作業が続き、労力や経費は馬鹿になりません。

株価の下落リスク

合併の対価には多く株式が用いられます。これは資金調達を要しないというメリットともつながるのですが、反面、株価の下落リスクの要因ともなるのです。

存続会社は消滅会社の株主に対して対価として新株を発行します。これは資本増強を意味し、一見有益に見えます。しかし、発行する新株の数によっては、一株あたりの配当が下がることになり、存続会社の株主から見れば株式の価値の希薄化が起きます。これが合併によって株価が下落する危険因子となるわけです。

これ以外にも、合併による業績向上が見込めないと思われた場合や、シナジーが期待どおりでなかったり遅れたりした場合、投資家の企業評価に影響して株価が下がることもあります。合併は株価に関しては下落リスクが高いといわざるを得ません。

取引規模の縮小リスク

これはある意味で特殊なリスクですが、同業同士の合併の場合、互いの顧客に重複がある場合、その顧客にとっては取引が一元化されることになり、取引の量や頻度において実質上減少する可能性があります。合併は基本的に事業拡大が見込まれるのですが、重複があった場合にこうした縮小リスクが存在します。

PMIの負担

PMIは、M&A完了後に、それぞれの企業の人事制度や業務等のフロー、ITなどのシステムの統合を図る作業です。これがうまく行かないと事業展開がうまく回らなくなったり、従業員に業務上の不満や不安が生じたりして、シナジーが期待通りに得られないなどの弊害が生じます。

合併は株式譲渡などと違い、会社組織が完全に一つになります。もともと別な企業で働いていた従業員の戸惑いはそれだけ大きく、取引先も関係が円滑に承継されるかなどについてどうしても不安が大きくなります。それだけにPMIはより困難で、かつ迅速に進められなければならないとされます。

合併に必要な手続き・流れ

合併に必要な手続き・流れ

合併ではその手続きが非常に煩雑であることを解説しました。では実際の手続きがどのように進むのか見ていきましょう。

M&Aの手続きとしては、相手企業とのマッチングから始まり、基本合意書の締結からデューデリジェンスの実施と一定の流れがありますが、ここでは合併についての合意が得られたところから解説します。

合併契約書

合併に向けた合意ができた段階で行うのが合併契約書の締結です。これはM&Aにおいては最終契約書にあたるもので、いわば最終段階なのですが、合併の場合はここからが正念場といえます。合併契約書の締結にあたっては、売り手、買い手双方で取締役会の承認を得ておく必要があります。

吸収合併の場合に契約書に記載すべき事項は次のとおりです。(会社法第749条)

  • 存続会社および消滅会社の商号と住所
  • 対価に関する事項(株式、社債、新株予約権の数、金額、算定の方法など)
  • 株主に対する割当に関する定め
  • 新株予約権者に対する対価、割当
  • 効力発生日

新設合併の場合の契約書記載事項は会社法第753条にその規定があります。

  • 消滅会社の商号と住所
  • 新設会社の目的、商号、本店所在地及び発行可能株式の総数
  • 新設会社設立時の取締役氏名
  • その他役員の氏名または名称
  • 対価に関する事項
  • 新設会社における新株予約権または金銭に関する事項(内容、数、算定方法など)

上記は法定記載項目ですので欠くことはできません。実務上、以下のような任意記載事項を盛り込むことがよく見られます。

  • 株主総会の開催期日
  • 定款変更についての事項
  • 役員選任についての事項
  • 退任役員の退職慰労金についての事項
  • 効力発生日までの財産管理についての事項
  • 効力発生日までの剰余金配当の禁止、制限
  • 契約の解除、変更についての事項
  • 従業員の処遇についての事項

事前開示書類の備置

合併契約書の締結に伴い、その内容、及びその他法令などで定める事項を記録した書類を、効力発生日から6カ月の間(消滅会社にあっては効力発生日まで)、本店の所在地に備置しなければなりません。(会社法第782条、第794条、第803条)

開始日は、株主総会開催日の2週間前、または株主や債権者への通知、公告等を行う日のいずれか早い方となります。

株主総会の実施

原則として、存続会社と消滅会社の双方で株主総会の特別決議が必要になります。これは効力発生日の前日までに行われ、合併契約に関して承認を取り付けなければなりません。(会社法第783条、第795条、第804条)

ちなみに特別決議とは、会社の組織再編など重要事項の採決に求められるもので、議決権株式の過半数の株主を定足数とし、出席株主の議決権数の2/3以上の賛成を必要とします。(会社法第302条2項)

債権者保護手続きの履行

存続会社、消滅会社双方において、その債権者は合併に対する異議を申し立てる権利が保障されています。双方の会社は、この権利の行使を可能とするために、債権者に対して官報に公告し、知れたる債権者(会社が把握している全債権者)には各別の催告が求められます。(会社法第789条、第799条、第810条)その内容は以下のとおりです。

  • 合併を実施する旨
  • 会社の商号及び住所
  • 会社の計算書類についての事項
  • 債権者が一定期間に異議を申述できる旨(最低1カ月以上)

なお、官報以外に会社が定款で定めている日刊新聞紙での公告や電子公告を実施する場合、格別の催告は省略できます。

反対株主による買取請求

債権者と同様に株主も異議を申し立てる権利があります。これは保有している株式を公正な価格で買い取ることを請求する形で行われます。合併当事者の会社は、この反対株主からの買取請求に応じる手続きをしなければなりません。(会社法第785条、第797条、第806条)

会社は効力発生日の20日前までに、株主に対して合併する旨の通知をしなければなりません。買取請求の期間はこの日から効力発生日の前日までとなります。買取請求があれば会社は株価の決定や対価支払いの手続きも必要になります。

また消滅会社が株券発行会社であった場合、効力発生日の1カ月前までに、効力発生日までに株券の提出を求める公告を行う必要があります。(会社法第219条1項6号)

合併契約の効力発生、登記

ここまでの手続きを遺漏なく進めたうえで、契約に定められた効力発生日をもって正式に合併が成立し、消滅会社の権利義務等は存続会社にまるごと承継されます。効力発生日は、吸収合併の場合は契約書に記載のとおりとなりますが、新設合併の場合は新設会社の登記申請日をもって効力発生となる点が異なります。

吸収合併の場合、効力発生日から2週間以内に、本店の所在地の管轄法務局において、消滅会社の解散登記と存続会社の変更登記を同時に行わなければなりません。(会社法第921条)

新設合併の場合は消滅会社の解散登記は同様ですが、新設会社の本店所在地の管轄法務局で会社の設立登記が必要になります。(会社法第922条)

事後開示書類の備置

存続会社は、効力発生後、速やかに承継された権利義務等やその他定められた事項を記載した書面、または電磁的記録を作成します。これは効力発生日から6カ月の間(つまり事前開示書類と同じ期間)本店に備置して閲覧、謄写に供さなければなりません。(会社法第801条、第815条)

以上をもって合併にかかわるプロセスは終了となります。

手続きが簡略化される場合 1.簡易合併

存続会社の規模が大きく、消滅会社の規模を顕著に上回る場合、簡易合併によって手続きを簡略化できます。具体的には存続会社が合併に伴って支払う対価がその純資産の2割を下回る場合です。この場合、株主総会の特別決議は必要とせず、取締役会の決議のみで合併を実施でき、債権者保護等も通常ほど厳格に求められずに済みます。

ただし、存続会社の総株式数の1/6を超える反対株主がいる場合や、存続会社が譲渡制限会社で譲渡制限株式を割り当てようとしている場合、また存続会社に差損を生ずる場合は、株主総会は省けません。

平成26年の改正会社法では、簡易要件を満たす場合は合併存続会社の株主には株式買取請求権を認めないこととなりました。(会社法第797条1項但書)

手続きが簡略化される場合 2.略式合併

親子関係にある企業間で、親会社が9割以上の議決権を有する子会社を合併しようとする場合が略式合併にあたります。この場合、子会社における株主総会の決議を省略できます。また、特別支配会社(親会社)の株主の株式買取請求権も認められません。(会社法第782条2項2号カッコ書、第797条2項2号カッコ書)

ただしこれに該当しない場合もあります。消滅会社である子会社が公開会社で種類株式発行会社であり、存続会社である親会社の譲渡制限株式を割り当てる場合が一つです。また子会社が存続会社であり、非公開会社であってその譲渡制限株式を割り当てる場合も該当しません。

略式合併による株主総会決議の省略は、あくまでも子会社のみであり、親会社の株主総会決議は省略できないことにも注意が必要です。

合併の仕訳・会計処理

合併の仕訳・会計処理

合併した存続会社は、そのスキームや財務状況に応じた会計処理を求められます。この処理は大変高度に専門的な知識を要しますので、専門家である公認会計士などに依頼して進める必要があります。ここでは基本的な内容について解説していきます。

この会計処理にあたって「のれん」について理解しておく必要があります。のれんはM&Aにおける買収価額から売り手企業の純資産額(資産から負債を減じたもの)の時価との差額をさします。いわばブランド力を価値化した無形固定資産であり、貸借対照表では資産となります。これがマイナスになる場合は、負ののれんと呼ばれ負債として計上されます。

計上したのれんは、20年以内の定められた期間に、定額法などで算定して規則的に償却することとされています。当初見込んだほどの収益が得られなかった場合、回収可能価額までのれんの減損処理を行い、大きな損失として計上される場合もあります。

通常取得の場合

取得とは、ある企業がほかの企業の経営の支配権を得ることをいいます。合併によって消滅会社の支配株主が、存続会社の支配株主と入れ替わる「逆合併(逆取得)」というスキームがありますが、これを除いて、他社の支配権を獲得することを通常取得と呼びます。

通常取得の合併では、存続会社は消滅会社の資産と負債を時価で譲り受けます。ここから算定した純資産額と買収価額の差額は、のれんとして計上されます。例えば、買収価額を8,000万円とし、資産時価が7,000万円、負債時価が2,000万円とすると、その仕訳は以下のとおりです。

借方
受入資産:70,000,000、のれん:30,000,000

貸方
受入負債:20,000,000、資本金:30,000,000、資本準備金:50,000,000

買収価額の8,000万円は貸方の資本の部(資本金や資本準備金)として計上されます。

負ののれんが発生した場合

買収価額が純資産額を下回ると、その差額はマイナスとなり、負ののれんが計上されます。これは、売り手企業が何らかのリスクを抱えるなどして、低い価額での買収を受け入れた場合に生じます。この場合、負ののれんは負債の部に計上されます。

前記の合併において、買収価額が4,000万円だったとします。純資産額は「資産時価7,000万円ー負債時価2,000万円」の5,000万円ですから、1,000万円の負ののれんが生じます。この場合の仕訳は次のようになります。

借方
受入資産:70,000,000

貸方
受入負債:20,000,000、資本金:40,000,000、負ののれん:10,000,000

親会社が完全子会社を吸収合併する場合

親会社が完全子会社を吸収合併することは、会計のルール上は共通支配下の取引となります。これは同じグループ企業内のM&A取引を指すものです。この場合、存続会社と消滅会社の関係性やどんな種類の対価が支払われるかによって会計処理が違ってきます。

すべてのケースを取り上げるのは煩雑になりますので、ここでは親会社による完全子会社化の吸収合併に解説を絞ります。これはグループ内組織再編ばかりでなく、株式譲渡でいったん売り手企業を子会社化してから合併する場合にも用いられます。この種の合併の会計処理は、取得を目的とするものと大きく2点で違っています。

  • 消滅会社(完全子会社の売り手企業)の資産と負債は時価ではなく簿価を用いること
  • 消滅会社の純資産と存続会社の子会社株式の差額は、抱合株式消滅差損益として計上すること

抱合株式消滅差損益は特別損益として計上されます。例えば資産簿価(時価ではない)が7,000万円、負債簿価(時価ではない)が3,000万円の完全子会社の株式を親会社が2,500万円保有していた場合、仕訳は以下のとおりです。

借方
受入資産、70,000,000

貸方
受入負債:30,000,000、子会社株式:25,000,000、抱合株式消滅差益:15,000,000

簿価による純資産額が親会社の持っている子会社株式を上回っていますので、差額が抱合株式消滅差益として貸方に計上されています。

合併の税務

合併の税務

合併においては、それが適格合併なのか、非適格合併なのかによって税務の取り扱いが変わってきます。

適格合併とは、基本的には、承継会社が消滅会社を一方的に買収するのではなく、共同事業や組織再編を目的とする場合が該当します。具体的には、まず対価として株式や出資以外の資産交付をしないことが前提です。それ以外に以下の3つのうち1つを満たす必要があります。(法人税法第2条12の8)

  • 合併する側が被合併側の発行済み株式の100%を保有している(完全支配関係にある、完全子会社である)こと(法人税法第2条12の7の6)
  • 合併する側が被合併側の発行済み株式の過半数を保有している(支配関係にある、子会社である)こと(法人税法第2条12の7の5)
  • 合併に関係する当該当事者間で共同事業を行うための合併であること(財務省発行の組織再編財政に関する資料)

ただし2つ目の要件(支配関係下、子会社)に該当する場合、次の2つの要件を満たさなければなりません。

  • 消滅会社の従業員のおおむね8割以上が承継会社で業務に従事する見込みがあること
  • 消滅会社の主たる事業が、合併後の承継会社においても継続される見込みがあること

さらに第3の要件(共同事業)の場合、上記の支配関係下に該当する場合の2要件に加えて、次の3つの要件も満たし、合わせて5つの要件を満たさなければなりません。

  • 合併する当事者間の事業において相互に関連性があること
  • 合併によって発行される株式を、支配株主が継続的に保有する見込みがあること
  • 被合併事業と合併事業の各々の事業規模(売上高、従業員数、資本金など)の比率が5倍以内、または合併当事者双方の役員が合併後も共同で経営参画することが見込まれていること

以上の要件に照らして適格と認められなければ、非適格合併となります。

適格合併の税務

適格合併では、税負担を軽減できるメリットが、消滅会社、承継会社の双方にあります。

まず消滅会社ですが、譲渡損益に伴って追加される税金を免れることが可能です。適格合併においては資産や負債を帳簿上の価額、簿価で引き継ぐという規定があるからです。(法人税法第62条の2)株式のみが対価となるので、みなし配当の課税も発生しません。会社も株主も節税できるわけです。

存続会社は、消滅会社の繰越欠損金を引き継げるのが大きなメリットです。税法上の赤字である欠損金を、一定の条件に該当する場合に以後の事業年度の所得から控除できる制度を繰越欠損金といいます。消滅会社から引き継いだ繰越欠損金は、課税所得を減じる効果があり、そのぶん節税となるわけです。

ただし、特定資本関係(50%超の資本関係)が生じてから5年以内の適格合併では繰越欠損金の引継ぎや利用に制限が加わるなど、繰越欠損金を十分に利用できない場合が規定されていることには注意が必要です。

これは見かけ上の合併を繰り返して租税回避を図ることを防止する目的からです。そのため、合併は買収から5年以上経過してからにする、みなし共同事業の要件を満たす、などの対策が求められます。

非適格合併の税務

非適格合併の場合は、資産や負債の譲渡の価額について、合併時点での時価をもとにすることとされています。したがって、消滅会社は譲渡損益が生じるため課税されますし、存続会社では繰越欠損金の引継ぎができなくなります。

非適格合併では税務面で大きなデメリットが生じます。厳しい要件はありますが、できる限り適格要件を満たす合併を考えることが望ましいでしょう。

合併の注意点

合併の注意点

合併はM&Aの手法の1つですが、資金調達を必要とせずに包括承継できるなどメリットが多い反面、手続きの煩雑さは大きなネックとなります。税務上も複雑な要件をクリアしないと、この手法のよさが活かしきれません。ここでは特に注意すべきポイントを3つ押さえておきます。

簡易合併や略式合併を目指すとき

簡易合併や略式合併では、株主総会の決議を省略できるのは大きなメリットです。しかしそれを省略できない場合もあるので注意が必要です。

簡易合併において、以下の3つの場合は決議を省略できません。

  • 存続会社が譲渡制限会社であって、その譲渡制限株式を割り当てる場合
  • 消滅会社の財務状況が劣悪で、存続会社に合併による差損が生じる場合
  • 存続会社の株式総数の1/6超(例外規定あり)の反対株主が存在する場合

また一見、略式合併に見えても、以下の場合は非該当となります。

  • 消滅会社(子会社)が公開会社、かつ種類発行株式会社であって、存続会社の譲渡制限株式を割り当てる場合
  • 子会社が存続会社であって、存続会社が非公開会社でその譲渡制限株式を割り当てる場合

要件を満たしているように見えても、簡易合併の例外であったり、略式合併に該当しなかったりする場合があるので、専門家などの助言も得ながら十分に確認する必要があります。

不適当な合併等に該当しないか

不適当な合併等とは、上場企業と非上場企業が合併するときに、上場企業が存続会社と認められない場合をいいます。このケースが生じるのは、合併後に該当する上場企業が、実質的に存続しておらず、一定期間のうちに新規上場審査に準ずる審査に通らなかった場合に上場廃止となることによります。

この規定は、非上場企業が取引所の審査を経ることなく上場企業となってしまう、いわゆる裏口上場を防止するためのものです。自社よりも事業規模で上回る非上場企業と合併しようとする上場企業は、合併後に上場廃止となってしまい、不適当な合併等に該当しないよう十分な注意が必要です。

逆取得に該当しないか

消滅会社の株主が合併後に存続会社の支配株主と入れ替わるケースなどで、存続会社が株式の取得企業とならない場合、逆取得といいます。この場合、消滅会社の資産や負債の受入は、通常所得の時価評価ではなく、簿価で行われる会計処理となる点に注意が必要です。(企業結合に関する会計基準第34項)

この逆取得を避けるには、いったん株式譲渡によって消滅会社を子会社化してから吸収合併する手法が有効です。売り手(消滅会社)の株主は現金で対価を受け取れ、買い手(存続会社)は適格合併の要件を満たせる点で、双方にメリットがあります。

合併の事例

合併の事例

合併によるM&Aで企業としての成長を果たした事例は多く見られます。ここでは特に大型の合併の事例を3つ紹介します。

1. 三菱UFJリース

三菱UFJリースが存続会社、日立キャピタルが消滅会社となる吸収合併を2021年4月に行うことが発表されたのは2020年9月のことでした。これは日本キャピタル1株に対して、三菱UFJリースの株式を5.1株割り当てる形で行われました。

長期化する低金利やリースをめぐる会計基準の変更などで収益性を落としていたリース業界は、コロナの影響なども受けていました。そこで経営基盤の強化を図り、社会環境の変化に適応することを目指した両者の思惑が一致したのです。

合併により、ネットワークの活用などから収益シナジーの見込みは年間に100億円程度と見込まれています。市場成長が見込まれる欧米や中華圏へと事業を拡大するグローバル化も期待されています。

2. オリンパス

電子機器メーカーであるオリンパスは、経営資源の効率的活用、中長期的な成長戦略として子会社であるオリンパスイメージング(OIMC)の吸収合併を模索していました。また知的財産権に関する業務の効率化を目指しオリンパス知的財産サービス(OIPS)についても合併を目指していました。

2015年4月、オリンパスを存続会社とする吸収合併が実施されました。グループ内の組織再編が目的であったので、株式や金銭の割り当ては行われず、オリンパスは簡易合併、OIMCとOIPSは略式合併に該当し、株主総会は開催されませんでした。

3. 富士ゼロックス

グループの組織再編を目指した機械メーカー富士ゼロックスは、2010年に富士ゼロックスマニュファクチュアリングと富士ゼロックスアドバンストテクノロジーという2つの会社を新設し、そこにグループ内企業を統合する新設合併を行いました。

前者には生産機能を担う3社が統合され、後者には複写機などの受託開発にあたっていた富士ゼロックスエンジニアリングが統合されました。この合併で富士ゼロックスは、生産面でのコストシナジーの獲得と、開発力の強化という目的を果たしました。

会社買収・M&A相談ならウィルゲートM&A

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簡易合併や略式合併、適格合併に非適格合併など、スキームによって手続きや税務に大きな差異がある合併は、特に実施に専門性が求められるM&A手法といえます。専門家もやはり経験豊富で、実績のある方が的確な進捗が望めます。

30例近いM&A成功実績をもつウィルゲートM&Aはまさにうってつけです。完全成功報酬制ですので、無駄な出費となる不安もありません。M&Aそのものの是非からお悩みの企業も、ぜひ利用をご検討ください。

合併 まとめ

合併 まとめ

合併は企業そのものの規模を拡大し、特にスケールメリットに優れたM&A手法です。煩雑な手続きさえクリアできれば、事業拡大や組織再編の手法として効率的でシナジーも得やすく、成功確率の高いM&Aが可能です。M&A実施に向けて、信頼できるビジネスパートナーをお探しなら、ウィルゲートM&Aにご相談ください。

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