合併における資本金の決め方・仕訳・会計・税務処理を解説

合併における資本金の決め方・仕訳・会計・税務処理を解説

M&Aでもよく行われる合併ですが、2つ以上の会社が合併すると当然資本金も変わってきます。

この記事では、存続会社や消滅会社の経営状態や合併の条件などで変わる資本金への割り振り方や会計、財務処理などについて詳しく解説していきます。

合併における資本金の関係

合併における資本金の関係

会社を設立するときに必要なのが、資本金です。資本金は企業が事業活動を行ううえで必要な元手のお金です。資本金には2種類あり、経営者が準備した資金と投資家からのお金があります。資本金が大きければ企業の体力があり、規模が大きいと判断されます。

M&Aでよく使われる合併の手法を取る場合、2つ以上の会社が統合されるため、単純には資本金も増える計算になります。ただし、どちらかの会社の経営状態が悪化している場合や、救済のための合併を行う場合は、会社が持つ負債も統合されるため、資産が減ってしまうことも考えられます。

合併する場合、どちらかの会社が存続し、どちらかは消滅します。存続会社は、消滅会社の資産や権利、義務、契約などすべてを引き継ぎます。

資本金と株主資本の違い

資本金と株主資本には大きな違いがあります。株主資本とは、会社の資産のうち、株主が持っている分をいいます。資本金は株主資本の中に含まれており、資本金以外にも資本剰余金、利益剰余金などから株主資本は構成されています。また純資産は、株主資本に新株予約権を加えたものをいいます。

合併する場合、消滅会社の株主資本も存続会社に引き継がれます。株主資本の評価や株主資本の中の資本金への割り当て分などは、合併する会社やケースごとに異なります。

一般的には合併の話し合いをする中で、M&A仲介会社などから専門的なアドバイスをもらいながら双方で決めていくことになります。

合併の手続き

合併の手続き

合併の手続きについて詳しくみていきます。

合併には吸収合併と新設合併があります。吸収合併は、合併後存続する会社が、合併を機に消滅する会社の権利や義務、契約などすべてを引き継ぐやり方です。M&Aの合併では吸収合併が多く取られます。

一方、新設合併は、合併する2つまたは2つ以上の会社を消滅させて新しく会社を設立し、2つの会社の権利や義務などをすべて引き継ぐやり方です。新しく設立された会社が、存続会社となります。

合併するすべての会社を消滅させ、新しい会社の会社設立の手続きや許認可申請、上場申請などが必要になり、非常に手間がかかるので現在ではほとんどM&Aでは使われていない手法です。

吸収合併する場合の、存続会社と消滅会社の手続きはほぼ同じですが、合併の効力発生日を過ぎて登記を行ったあとに、存続会社が事後開示を行う点が異なります。

合併契約書の締結

吸収合併する場合、合併契約書を作成します。合併契約書には、存続会社や消滅会社の詳細、合併の効力発生日、合併により交付する株式や金銭など合併の内容について詳しく書かれています。存続会社と消滅会社は、合併契約書の締結を行います。

事前開示書類の公開

合併契約書の締結を行なったあとに、合併契約内容が書かれた事前開示書類を公開します。株主や債権者に対して、合併の話が進んでいることやその詳細の情報を提供して合併の承認を得るためです。また、株主や債権者は、事前開示書類を見て合併に異議がある場合は申し立てることもできます。

株主総会での承認

合併の効力が発生する日の前日までに、株主総会を開き、合併の承認を得ます。株主総会には議決権を保有する株主が過半数以上出席し、出席した株主の議決権の2/3以上が賛成しなければ合併できません。

債権者保護の手続き

合併を行う場合は、債権者保護の手続きを取る必要があります。合併が、債権者にとって不利になるケースもあるためです。

たとえば、今まで取引をしていた債務者が、業績の悪化している企業を救済するために合併すると、債権回収が難しくなる恐れがあります。合併では債権者の利益を守るために、債権者保護の手続きを行うことが定められています。

債権者保護の手続きは、官報で合併を公告したり、債権者に個別に催告したりして合併の詳細を伝えます。もし債権者が合併に意義を申し立てた場合は、債権者が不利にならないよう、債権またはそれに相当するものを用意しなければいけません。

登記

合併の効力発生日が来ると会社は合併します。その発生日が過ぎてから2週間以内にが合併による変更の登記を行います。登記が済んだあと、存続会社が事後開示書類を作成し公開します。これは、合併の効力発生日から6カ月間、法定の記載事項を開示する義務があるためです。

事後開示によって、株主や債権者などがいつでも合併の状況を知り、合併無効の訴えを起こすかどうか判断できるようにします。

合併後の存続会社の資本金の決め方

合併後の存続会社の資本金の決め方

合併してから存続会社がどのように資本金を決めるかやり方を紹介します。消滅会社の資本金も存続会社が引き継ぎますが、どのくらいの割合の金額を資本金に加えるかは、会社計算規則で決められているので、そちらにのっとって割り振りします。

グループ内の合併

同じグループ内の企業同士が合併する場合、共通支配下での合併と呼ばれます。親会社と子会社、または子会社同士の合併、兄弟会社同士の合併などが該当します。

共通支配下の合併の場合は、資産や負債を簿価換算します。簿価換算した株主資本を基準にして変動する資本金を決めます。存続会社の株主資本が1,000万円増えるとすると、その中から資本金をいくらにするか取り決めます。

共通支配下での合併の資本金の割り振りは自由に決められます。また、基本的に共通支配下の合併は、株式を対価とするため、合併対価がすべて株式だった場合は、資本金や剰余金額をそのまま引き継ぐことも可能です。

グループ外の合併

グループとは関係ない会社と合併する場合、支配取得目的の合併と呼ばれます。新規分野や事業へ参入するためなどの理由で、外部の会社を合併します。

支配取得目的の合併の場合、存続会社が受け継ぐ資産や負債を時価に換算して、変動する株主資本を決めます。たとえば消滅会社の資本金が1,000万円で時価が500万円の場合は、存続会社の株主資本には500万円分を増加して、その中から資本金や剰余金へ割り振ります。

支配取得目的の合併でも、資本金の振り分けは自由に行えます。会社の信用度を上げ、合併により体力が強化されたことを示したい場合は全額を資本金に振り分けたり、税務上のメリットを考えて資本金を1円にしたりすることもできます。割り振りの仕方は経営者や株主などで決められます。

合併に伴い課せられる税金は、登録免許税です。資本金増加額の1,000分の7の金額が課せられます。

また、資本金が1億円以上になると法人税法上の優遇税制等が適用されなくなります。節税を考えるなら、資本金は1億円以下に抑えるといいでしょう。ただし、合併しても資本金が少ないのも信用度が下がり、対外的にデメリットになるため、バランスを考えて資本金を決定する必要があります。

対価なしの合併

子会社同士で合併する場合は、対価を支払わない場合もあります。無対価合併の資本金に関しては、会社計算規則に規定があります。消滅会社の資本金や資本剰余金はその他資本剰余金へ、利益剰余金はその他利益剰余金に振り分けます。また、無対価合併の場合は、新株を発行せず資本の増加を行いません。

そのため資本金や剰余金を増加させない会計処理が必要になります。

債務超過の合併

債務超過した会社と合併をする場合、存続会社の株主資本は減ってしまいます。債務超過会社とは、負債額が資産額を上回っている状態で、経営状態が大変厳しくなっている会社です。合併によって存続会社の資本金が減ってしまうので、その他資本剰余金を減額して相殺します。

合併による資本金の仕訳・会計処理

合併による資本金の仕訳・会計処理

合併による資本金の会計処理を説明します。ここでは、子会社同士の合併のケースを詳しく解説していきます。一般的に合併した場合、会計処理と税務処理は分けて行い、その差額や違いは申告調整で対応します。

基本的な会計処理

存続会社は、合併効力発生の日の前日に消滅会社の適正な帳簿価額による株主資本の額を資本金もしくは資本剰余金として会計処理します。内訳の項目については、会社法の規定にのっとり決めます。

増加する払込資本の内訳項は、合併契約の中で増加する株主資本の範囲内で定めるとあり、資本金または資本準備金として計上せずに、全額をその他資本剰余金に計上することも可能です。

例外的な会計処理

存続会社は、合併効力発生日の前日に消滅会社の資本金、資本準備金、その他資本剰余金、利益準備金、その他利益剰余金の内訳科目を、そのまま引き継ぐことが可能です。消滅会社の適正な帳簿価額で株主資本の額がマイナスになる場合でもそのまま引き継げます。

また、合併する場合、株主資本の計数の変動手続も行われます。合併効力発生日に、会社の意思決定機関で決定した結果に従って、株主資本の計数を変動させられます。ただし、株主資本の計数の変動をする際には、資本剰余金と利益剰余金が一緒にならないよう注意しましょう。

消滅会社の資本金や資本準備金を存続会社には引き継がずに、存続会社でその他資本剰余金を計上する場合は、資本金や準備金の減少の手続きを行う必要があります。これは、消滅会社の利益準備金を存続会社に引き継がずに、存続会社でその他利益剰余金を計上する場合も同じです。

合併による資本金の税務処理

合併による資本金の税務処理

資本金の税務処理は、適格合併か非適格合併に分類されるかによって処理が違います。

適格合併の場合、存続会社は、消滅会社のその年度の始めから合併有効発生日の前日までの最後事業年度の利益積立金額を簿価で引き継ぎます。また、消滅会社の最後事業年度の資本金などと同額の資本金の額の増加を行います。

被合併法人の場合、資本金などの増価額は合併対価である株式の時価で計上します。また利益積立金額は引き継げません。

そのほか、合併前の繰越欠損金や資産の含み損なども適格合併か非適格合併かによって処理の仕方が変わります。複雑なので、M&A仲介会社などにアドバイスを仰ぐといいでしょう。

合併で変動する株主資本の割り振り

合併で変動する株主資本の割り振り

合併のときの株主資本の割り振りは、ケースバイケースです。別の業界への新規参入やシェア拡大などを狙った他会社との合併の場合でも、親会社や子会社同士などによる合併でも資本金の割り振りの仕方は、基本的に自由で経営者や株主に委ねられています。

合併によって会社の規模や体力を大きく見せたい場合は、資本金を増やした方がいいでしょう。ただしあまり資本金が大きくなってしまうと、法人税の優遇税制がなくなってしまいます。合併後の会社の規模や、合併による取引先や世間へのイメージの見せ方、節税効果などを考えて、ベストな割り振りをしてください。

グループ会社同士での合併の場合で、合併対価がすべて株式ならば資本金や剰余金額をそのまま引き継ぐこともできます。ただし無対価による合併の場合は、会社計算規則に割り振りの仕方が規定されているので、従ってください。

会社買収・M&A相談ならウィルゲートM&A

会社買収・M&A相談ならウィルゲートM&A

吸収合併はM&Aの中でも比較的手続きが簡易なため、よく行われる手法です。しかし、合併後の資本金の割り振りや会計処理などは、経験したことのないものなので、専門的な知識のあるM&A仲介会社などに相談するといいでしょう。

会計処理や税務処理の仕方によっては、資本金が減ってしまったり税制の優遇を受けられなくなったりします。

ウィルゲートM&Aなら、M&A事業を始めてから2年で買い手企業が、1,400社以上と豊富な実績を持っているので、合併に関するさまざまな知識やノウハウをアドバイスしてくれます。数多くの有名企業の経営者と太いコネクションがあるので、希望条件に合う最適な企業とのマッチングの提案もしてくれます。

M&A仲介会社に多い、相談料や着手金などは一切なく、M&Aが成立したときだけ報酬を支払う完全成果報酬システムなので、何度でも無料で合併や資本金についてなどを相談できます。

合併の資本金 まとめ

合併の資本金 まとめ

合併するときの資本金は、グループ内の合併なのかグループ外の合併なのかによって、内訳などが変わってきます。また資本金をどのくらい増やすと、もっとも合併の効果をアピールできるかなどは、それぞれのケースによって異なります。M&Aの実績が豊富なM&A仲介会社に相談しながら、合併を進めるといいでしょう。

M&Aのご相談ならウィルゲートM&Aがおすすめです。9,100社を超える経営者ネットワークを活用し、ベストマッチングを提案します。Web・IT領域を中心に、幅広い業種のM&Aに対応しているのがウィルゲートM&Aの強みです。M&A成立までのサポートが手厚く、条件交渉の際にもアドバイスを受けられます。事業規模を今後さらに拡大したいと考えている方は、完全成功報酬型で着手金無料のウィルゲートM&Aに相談してみましょう。

無料相談・お問い合わせはこちらから ※ご相談・着手金無料

無料相談・お問い合わせは
こちらから

ご相談・着手金は無料です。
売却(譲渡)をお考えの際はお気軽にご相談ください

お電話からのお問い合わせはこちら

050-3187-7449

受付時間:平日 9:00 ~ 17:00