株式譲渡の手続きに必要な書類とは?株式譲渡証書の雛形、注意点や記載項目を解説

株式譲渡の手続きに必要な書類とは?株式譲渡証書の雛形、注意点や記載項目を解説
この記事の監修:M&A専門家
四辻 弘樹
S M B C日興証券・みずほ証券の投資銀行部においてM&A、ファイナンス、I P O等に携わる。その後は上場企業のテモナにおいてCSOとして事業戦略、M&A、新規事業開発に従事。現在はM&Aアドバイザリーの他、資金調達支援、IPO支援に加えCFOとしての活動。

会社間のM&Aや事業継承などでよく使われる株式譲渡ですが、さまざまな関連法があり、必要書類のボリュームも大きいので手続きに注意が必要です。

今回は株式譲渡の流れや必要書類、注意点までわかりやすく解説します。

株式譲渡の手続きの流れ

株式譲渡の手続きの流れ

株式譲渡を行う前に、まずは該当会社が株式発行企業であるかどうかを確認する必要があります。2006年の会社法改定に伴うことで、どちらかによって株券発行などの手続きが変わるので、ご注意ください。

また、多くの場合は第3社の介入を防ぐため、株式譲渡を制限し、取締役会や株主総会などの承認の上で株式譲渡を行うような措置を設けています。譲渡制限がある場合、株式譲渡の流れは大きく4つに分かれます。

株式譲渡承認請求を発行する

株主が所有している株式を譲渡するため、会社に同意を求める書類です。譲渡する株数や譲渡の相手などを記載します。

取締役会または株主総会を開催する

会社側が株式譲渡承認請求を受けて、その可否を判断するため行う会議です。取締役会を設けている場合は取締役会を実施し、ない場合は株主総会を実施します。

株式譲渡契約を締結する

取締役会または株主総会で株式譲渡が可決すれば、株式譲渡契約を結びます。株式譲渡契約書の詳細は次項で説明します。

株主名義の書き換えを行う

契約書作成後、株式の譲渡手続きも完了したら株主名簿という書類の修正を行います。株主名簿書換請求書という書類を通じて、株主名簿の修正を行います。

株式譲渡の際に必要な書類

株式譲渡の際に必要な書類

株式譲渡に必要な書類は会社の形態などによって変わりますが、ここでは譲渡制限がある会社のケースについて紹介します。細かく見ていくと他にもいろいろな書類が必要ですが、今回は大きく6項目に分けて説明します。前項で説明した書類については説明を省略します。

株式譲渡承認請求書

取締役会招集通知、取締役会議事録

社内に取締役会を設置している場合に必要な書類です。取締役会を招集するための書類が取締役招集通知、そして取締役会で株式譲渡の合意が行われた内容を記録したのが取締役会議事録です。

株主総会招集通知、株主総会議事録

社内に取締役会を設置していない場合に必要な書類です。株主総会を行うための書類が株主総会招集通知、株主総会にて株式譲渡の合意が行われた内容を記録したのが株主総会議事録です。

株式譲渡契約書

譲渡額や譲渡のタイミングなど、譲渡合意の詳細を記載します。

株式名義書換請求書

株主名簿

名前のとおり、株主のリストです。会社が株主を管理するために作成、修正します。

株式譲渡契約書に記載する項目

株式譲渡契約書に記載する項目

株式譲渡はM&Aにより他社に経営権を渡す場合や家族に経営権を渡す場合など、いろいろな目的で行われます。そのため、ケースによって株式譲渡契約書に記載すべき項目も変わります。ここでは、株式譲渡契約書に入れるべき項目を6つにまとめて紹介します。

譲渡合意

株式譲渡に合意することを書類に明記するとともに、株式がどこからどこへ渡るのかとその規模などを記載します。

譲渡金の支払い方法

株式譲渡の対価について、いつまで、どの手段で支払いされるのかを記載します。

名義書き換え

譲渡手続き後、株主名簿を書き換えることを記載します。

株式譲渡の表明保証

売り手が買い手に対して提供している情報が間違いないことを保証し、買い手も売り手に対して株式を取得する対価を有し、反社会的勢力などでないことを保証する項目です。契約手続き中に起こり得るトラブルから売り手と買い手両社を守るための内容です。

契約解除

期日内に代金の支払いができなかった場合など、トラブルが発生した際に契約を取り消すように事前に取り決めておく項目です。

損害賠償

万が一、どちらかに損失を与えた時に損害賠償を請求することを明記する項目です。

株式譲渡契約書を作成する際の注意点

株式譲渡契約書を作成する際の注意点

上記でも説明しましたが、株式譲渡を行う前にまず該当会社が株式発行会社なのか確認しましょう。株式発行会社でも、株主が株券を持っていない場合は、株式譲渡手続きの際に株券発行も行う必要があります。

また、株式取引を自由に行える公開会社なのか、株式譲渡制限がある会社なのかもあわせて確認が必要です。公開会社は株式取引の自由度は高いですが、第3者が株式を取得し、ある日突然株主としての権利を主張してくるリスクも持っています。それを防ぐために、取締役会や株主総会での合意を通じてのみ株式譲渡を可能とするのが、株式譲渡制限です。

会社の形態により、必要な手続きや書類を準備しなかった場合は、株式譲渡契約が無効になる可能性もあるので、気を付けましょう。

株式譲渡契約書のひな形

株式譲渡契約書のひな形

株式譲渡契約書について、必要事項を盛り込んだひな形を紹介します。こちらはあくまでもひな形であり、各ケースによって追加で必要な項目がありますので、作成時は必ず仲介会社や弁護士などにご相談ください。

株式譲渡契約書

〇〇(以下「甲」という。)と△△(以下「乙」という。)とは,本日,甲が所有する株式の譲渡について以下のとおり契約する。

第1条(譲渡合意)
甲は,乙に対し,本日,甲の所有する下記の株式(以下「本件株式」という。)を譲渡し,乙はこれを譲り受ける。

発行会社  ________株式会社
株式の種類  普通株式
株式の数    株
譲渡価格  合計       円

第2条(譲渡価格の支払等)
1 乙は,甲に対し,本日,前条記載の譲渡価格全額を支払い,甲はこれを受領した。
2 甲は,平成  年  月  日までに,本件株式の譲渡につき,発行会社の承認を得るものとする。
3 甲および乙は,前項の発行会社の承認後直ちに,発行会社に対し,甲から乙へ株主名簿の書換えを行うよう共同して請求する。

第3条(保 証)
甲は,乙に対し,以下の点を保証する。
(1) 発行会社の発行済株式総数が  株であること
(2) 本件株式に,質権の設定等,株主権の完全な行使を妨げる瑕疵が存在しないこと
(3) 発行会社の財務内容は直近会計年度末の決算書類および
    平成  年  月  日現在の試算表のとおりであること。
(4) 発行会社に簿外負債がないこと。
(5) 発行会社の主要な資産は別紙資産目録のとおりであること。

第4条(解 除)
1 甲または乙が本契約に違反した場合,相手方は,相当期間を定めて催告の上本契約を解除し,違反者に対し,その蒙った損害の賠償を請求することができる。
2 前条の保証に相違する事実が判明した場合,乙は,直ちに本契約を解除し,甲に対し,その蒙った損害の賠償を請求することができる。

第5条(専属的合意管轄裁判所)
本契約に関する紛争については,______地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
本契約の成立を証するため本契約書を2通作成し,甲乙各記名押印の上,各1通を保有する。

平成  年  月  日

株式譲渡の手続きにかかる費用

株式譲渡の手続きにかかる費用

株式譲渡にかかる費用は大きく分けて専門家への相談費用と税金などがあります。株式譲渡には法律など、専門的な知識が必要で、多くの場合はM&Aの仲介会社や弁護士事務所、税理士などに相談を行うことが一般的です。ここでは専門家への相談費用を説明し、税金に関しては次項目で詳しく説明します。

専門家への相談費用はどこに相談するかやどこまで手続きをお願いするかによって大きく変わりますが、M&A仲介会社を例にすると譲渡対価の1~5%程度が手数料として請求されます。仲介会社によっては着手金や相談料、中間費用などが掛からない完全成功報酬型の会社もあるので、初期費用が心配な方はそのようなサービスを提供する会社を選ぶのがおすすめです。

相談分野によって法律は弁護士、税金は税理士と相談先を分けると、やり取りが煩雑になることはもちろん、費用もかさむ場合が多いでしょう。仲介会社は社内に専門家が在籍している、または専任の専門家とのコンタクトを持っています。また、専任の担当者が付くことも多く、やり取りの煩雑さもなくなるでしょう。

株式譲渡の際にかかる税金

株式譲渡の際にかかる税金

株式譲渡で売り手は株式を売り渡したことに対しての対価が発生するため、税金が発生します。売り手が個人の場合は所得税と復興特別所得税をあわせて15.315%、そこに住民税5%が加算され、計20.315%の税金が課せられます。

売り手が法人の場合は法人税、住民税、事業税が掛かり、税率は事業の規模によって変わります。また、買い手については税金が掛かりません。

税金はケースによってその内容や金額が変わるので、事前に専門家に相談する必要があります。M&A仲介会社や担当の税理士などに相談すると安心です。また、非上場株式の譲渡を相場より低い対価で行った場合など、税金に関するトラブルが生じる可能性があるので、こちらもあわせて事前相談しましょう。

株式譲渡の際の印紙税について

株式譲渡の際の印紙税について

法律に明記されているわけではありませんが、契約内容から一般的に株式譲渡契約書には印紙税を貼る必要がないとされています。

しかし、株式譲渡契約が締結する前に、対価の受け渡したことが契約書に記載されている場合は、印紙税を貼らないといけません。一般的には契約締結後に対価の受け渡しが行われますが、締結前に対価の受け渡しを行うと、契約書自体が領収書のような扱いになるため、印紙税も必要となるのです。

印紙税は株式譲渡の対価によって金額が変わり、10億を超える取引に関しては20万円の印紙税がかかります。株式譲渡によって得る対価に比べると小さい額ではありますが、まとまった金額になる可能性があるので、事前に確認しましょう。

サイト売買・M&A相談ならウィルゲートM&A

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株式譲渡を通じて資金調達をしたい、引退のために他社に経営権を譲りたいと思う方は、ぜひお気軽にご相談ください。相談料は無料です。

株式譲渡契約書 まとめ

株式譲渡契約書 まとめ

株式譲渡をするためにはまず会社が株式発行会社か、譲渡制限会社かなど事前確認が必要であり、その条件によって必要な書類や手続きも変わってきます。また、各種手続きに必要な専門的な知識も多いため、株式譲渡経験がない個人や会社単独ですべての手続きを行うことは大変難しいものです。

株式譲渡を考えている方はウィルゲートM&Aにご相談ください。

ウィルゲートM&Aでは、9,100社を超える経営者ネットワークを活用し、ベストマッチングを提案します。Web・IT領域を中心に、幅広い業種のM&Aに対応しているのがウィルゲートM&Aの強みです。M&A成立までのサポートが手厚く、条件交渉の際にもアドバイスを受けられます。

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