会社をたたむ費用はいくら?手続き方法・流れ・必要書類を解説

会社をたたむ費用はいくら?手続き方法・流れ・必要書類を解説

この記事では、会社をたたむ費用や流れについて紹介します。

どのような経営状況になったら会社をたたむべきか、タイミングがわからない方は自社の現状を第三者に判断してもらうことも大切です。会社をたたむ前に検討したい方法もあるので、気になる方はチェックしましょう。

会社をたたむとは?

会社をたたむとは?

会社をたたむとは、すべての事業を終わらせて廃業することです。会社をたたむ方法はいくつかの方法がありますが、事業の規模にかかわらず会社を消滅させるといった意味で理解するとわかりやすいでしょう。

会社をたためば従業員も退職しなければなりません。経営者自身の生活はもちろんですが、従業員の生活もかかっているため、極力会社をたたむことがないように努力しているのではないでしょうか。

どのような会社も経営がよい状態がいつまでも続く保証はありません。資金繰りに困り会社をたたむ方もいれば、後継者がいない理由から廃業せざるを得ない方もいます。会社をたたむ理由にはさまざまな背景がありますが、致し方なく廃業を決断する方が多いのが現状です。

会社をたたむべきかの判断基準

会社をたたむべきかの判断基準

財務的な問題で会社をたたむべきか悩んでいる方は、まず自社の資産や負債を整理することをおすすめします。会社をたたむ際も負債を完済することになるため、負債よりも資産が多ければ比較的スムーズに会社をたためます。

現状資金繰りに困っていない場合は、今すぐ会社をたたむ判断をするには早計です。ただし、経営者の体調不良など、事業の進行が難しい場合は後継者を立てるなどしながら事業継承の準備をする必要があります。

反対に負債が資産を上回っている会社で負債を完済できる目途が立たない場合は、会社をたたむべきかもしれません。経営状況の立て直しが困難な状態であれば、残念ながら会社をたたむことも視野に入れましょう。

会社をたたむタイミングは?

会社をたたむタイミングは?

会社をたたむタイミングは、経営状況が芳しくなく、慢性的に赤字が続いているときです。従業員の給与の支払いが難しくなったり、取引先への支払いができなくなったりした場合は、会社をたたむべき段階にあると考えましょう。

今はなんとか従業員や取引先への支払いができている状態でも、負債が超過しており完済が難しいと判断できる状態であれば会社をたたむべきタイミングです。会社をたたむにも費用がかかるので、一文無しになってから会社をたたもうと考えている方は注意が必要です。会社をたたむ際は、計画的に行動するようにしてください。

従業員の給与や取引先への支払いを、「会社をたたむから支払えない」といった理由で支払わないのは基本的に通用しません。従業員や取引先、その家族に資金面で迷惑をかけない段階で、会社をたたむ判断をするようにしましょう。

会社をたたむ方法

会社をたたむ方法

会社をたたむ方法は大きく分けて3つの手段があります。会社をたたむ理由や自社の状況から、以下3つの方法のどれに該当するのかチェックしましょう。

倒産

倒産とは、債務超過など、債権者に支払いが難しくなった場合の会社をたたむ方法です。資金繰りが苦しく会社の経営を続けるのが難しくなった場合に、倒産といった形で会社をたたみます。「倒産=借金などの負債を支払えない状態」と理解している方も多いのではないでしょうか。

倒産には、破産と民事再生の2つの方法があります。破産は会社を消滅させる手続きで、裁判所で行います。破産手続きを行うと借金などの負債の支払いは免除されるといったメリットがありますが、費用もかかるので、経営状況が厳しい方は破産手続きに必要な資金を残しておくようにしましょう。また破産手続きでは資産の清算を行い、財産を換価して債権者に分配される仕組みとなっています。

一方、民事再生は会社の存続を前提として行う手続きです。ただし、民事再生は債権者の同意を得られなければ手続きを行えません。支払いきれない債務がある会社は、債権者に少しでも財産が分配される倒産を望むからです。著しく経営が困難になっている場合は、倒産を選ぶ会社が多い傾向にあります。

廃業

廃業とは、経営者が自主的に会社をたたむ際に使われる手段です。倒産とは違い、経営がうまくいっていても後継者がいないなどの理由から廃業を選択する会社が多く存在します。廃業を選ぶ会社の中には経営が順調なケースも多く、借金もまったくないといった状況も珍しくありません。

経営者の高齢化や体調不良により致し方なく、廃業を選択するケースが多い傾向にあります。廃業にもさまざまな手続きがあり、費用もかかることから、余力があるうちに廃業を選択するケースもあります。

会社の後継者問題や人材不足、経営者の高齢化や体調不良によって会社をたたむ場合は、廃業手続きをしましょう。もしも何らかの形で会社の存続を希望するのであれば、M&Aを検討するなどしながらほかの手段を考えてみてはいかがでしょうか。

解散

解散とは、すべての事業の進行を止めて会社を消滅させる方法です。倒産と同じく、会社の経営状況が悪い場合に選択する会社をたたむ方法です。倒産するほどまで経営状況は悪化していないものの、今後事業を続けていくのが困難と判断された際に解散の手続きを行います。

解散の場合、従業員を解雇してから資産を清算する流れとなります。倒産の場合は資産を清算しても負債が残っている場合がほとんどですが、清算で負債を返しきれる場合に解散といった形で会社をたたみます。

これ以上事業を続けていくのが困難と考えている経営者は、解散の形を取るのか倒産させるべきなのかじっくり検討しましょう。どちらの選択をするにせよ、財務的に余力を残しておかないと手続きが難しくなるので留意しておいてください。

会社をたたむために必要な手続きの流れ

会社をたたむために必要な手続きの流れ

会社をたたむ際の手続きの流れについて紹介します。会社をたたむ方法によって手続きの流れや方法は異なりますが、大まかな流れは以下の6つのポイントとなるので、要点をしっかりチェックしてください。

会社をたたむ準備

会社をたたむとなれば、事業を終わらせる準備が必要です。取引先がある場合は、会社をたたむ旨をきちんと先方に伝えておき、極力迷惑がかからないように配慮しましょう。最後の営業日を決めている方は、早めに取引先へ終了日を伝えておくことも大切です。

現在進行している業務をどのタイミングで終了させるべきなのかも重要なポイントとなります。また、従業員に会社をたたむことをきちんと伝えておくことで、再就職先を考えるなどの時間の猶予を与えられるといった配慮ができます。

どのような理由であれ、会社をたたむとなれば取引先や従業員に少なからず迷惑をかけることになるので、きちんと説明しておくようにしましょう。

株主総会で特別決議や清算人選任決議を行う

株式会社の場合は株主総会を開き、特別決議を行う必要があります。特別決議は解散決議と呼ばれる場合もあるので、覚えておきましょう。特別決議では全株式の過半数以上の株を持っている株主が出席するのが条件です。

決議は出席した株主の3分の2以上の賛成がなければ会社をたたむ承認は得られません。また、特別決議では会社をたたむために必要な清算人の選出も行います。清算人とは会社をたたむ手続きを行う人のことを指し、一般的に会社の代表者が選出されます。

株式会社をたたむ際は、特別決議での承認と清算人の選出の2つが決定してからはじめて手続きを行う流れになります。清算人は特別決議が行われてから2週間以内に登記を行う必要があるので、覚えておきましょう。

会社たたむのに必要な各種届出

会社をたたむ場合、さまざまな手続きや届出の提出が必要です。まず、清算人の手続きと同時に解散登記と呼ばれる法務手続きを行うのが一般的です。解散登記が完了したら、税務署や県税事務所、各市町村役場で「異動届出書」と呼ばれる解散したことを伝える届出を提出します。期限は特に決められていませんが、なるべく早く提出するようにしましょう。

「健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届」は、解散登記を行ってから5日以内に年金事務所に提出しなければなりません。従業員がいる会社では「被保険者資格喪失届」の提出も必要になるので、忘れずに届出を行ってください。

また、会社をたたむと従業員は退職となるため、ハローワークへ「雇用保険被保険者資格喪失届」や「雇用保険被保険者離職証明書」を提出します。ハローワークの手続きは解散登記が行われてから10日以内です。従業員全員の退職手続きが終わったら、ハローワークに「雇用保険適用事業所廃止届」を提出します。

会社解散の公告

会社を解散したら、「官報」と呼ばれる国が発行する機関誌で公告を出します。広告は債権者が会社の解散を知らず、債権を回収できなくなるのを防ぐために事実を告知するものです。広告は2カ月以上の期間掲載しなければならず、公告を行わないと次の手続きに進めないので注意が必要です。

株主総会の特別決議で解散が決定した場合は、解散日以降に公告を出します。公告日は掲載期間された翌日から計算されるため、2カ月間の計算を間違わないように注意しましょう。

決算報告書や確定申告の作成・提出

会社解散日の資産を把握するため、「財産目録・貸借対照表」を作成します。事業を開始した日から解散した日までの損益計算書も作成しますが、財産の評価は解散日の時価で計算されることになります。これらの決算報告書で資産と負債を把握し、有価証券や不動産などの会社資産をすべて売却してから債権回収を行うのが基本的な流れです。

清算した資産や現金で債権者に弁済を行いますが、負債が資産を上回った場合は倒産の手続きに移ります。債務を弁済しても財産が残った場合は、財産株主に分配することになります。また、決算報告書をもとに法人税の申告書も作成します。確定申告では、解散日から2カ月以内に行って法人税の計算で算出された税金を支払います。

清算結了登記の登記と確定申告

会社をたたむ手続きを行う清算人は「清算結了決算報告書」を作成し、株主総会で承認を得ます。清算結了決算報告書が承認されてから2週間以内に決算結了登記を行うこととなり、受領されたその日に会社の登記簿が消滅します。

清算結了が終わってから1カ月以内に、解散の日から清算結了日までの確定申告をしなければなりません。解散日までの確定申告とはまた異なるので、間違えないように注意してください。確定申告で所得税が発生した場合は、きちんと納税を済ませましょう。

会社をたたむときに必要な書類

会社をたたむときに必要な書類

会社をたたむ際に必要な書類をわかりやすく箇条書きでまとました。会社の形態や事業の規模などによって必要な書類が変わる場合もあるので、その都度確認するようにしてください。

  • 株主総会議事録
  • 定款
  • 清算人の就任承諾書
  • 印鑑届出書
  • 株主名簿
  • 株主総会議事録
  • 決算報告書

倒産や廃業、解散など会社をたたむ方法によっても必要書類が異なりますので、どのように事業を終わらせるのかを明確にしてから必要書類をチェックすることをおすすめします。

会社をたたむときにかかる費用はいくら?

会社をたたむときにかかる費用はいくら?

会社をたたむ際は各種手続きで費用がかかります。それぞれに必要な費用をチェックし、予算を見積もっておきましょう。

  • 解散登記:30,000円
  • 清算人の選任登記:9,000円
  • 官報公告の掲載:1行3,524円(10行約36,000円)
  • 清算結了の登記:2,000円

官報については、10行ほど掲載するケースが多いので、予算は約36,000円を見積もっておきましょう。各種手続きにかかる費用はさほど高くはありませんが、税理士や弁護士に依頼をする場合は手数料が加算されます。

手続き代行を専門科に依頼する場合の費用の相場は20~30万円が目安なので、予算を立てる際の参考にしてください。

会社をたたむ費用を抑える方法

会社をたたむ費用を抑える方法

会社をたたむ費用を抑えたい方は「休眠」といった選択を取ることも可能です。休眠は一時的に事業をストップさせる方法で、会社をたたまずに一旦すべての活動を休むことを宣言する手続きです。

会社を休眠させれば、資金繰りの問題や後継者問題が解決できれば事業を再開できるメリットがあります。会社をたたむ費用もかからないため、予算を抑えたい方で休眠の手続きを行うケースが多くあります。また、会社が休眠中の間は法人住民税が免除されたり減免されたりするので、維持費が心配な方は各自治体の窓口に問い合わせてみましょう。

ただし、事業を完全にストップして収入や支出がない状態にならないと、会社を休眠させることはできません。会社の電話が繋がったり郵便物が届いたりする状態だと、休眠とはみなされない可能性があるので注意しましょう。

休眠の手続きは税務署や各都道府県税事務所、市町村役場に「異動届出書」を提出します。会社が休眠中の間も役員の変更は登記が必要なので、忘れずに行ってください。

会社をたたむ期間はどのくらい?

会社をたたむ期間はどのくらい?

会社をたたむには、最低でも2カ月の期間が必要です。官報で公告を掲載する期間は最低でも2カ月以上と定められているため、少なく見積もっても会社をたたむには2カ月はかかる計算です。公告の掲載は義務化されているので、この手続きを飛ばして会社をたたむことはできません。

官報のほかにもさまざまな手続きを終えなければならないので、会社をたたむ日を決めたい方は長めに期間を見積もっておきましょう。また、事業を急にストップさせるのは現実的ではありません。取引先との調整や従業員への説明など、多くの人の生活が関わる問題ですので早めに行動に移すことをおすすめします。

株式会社では株主総会で特別決議を行わなければならないため、会社をたたむまでの期間はより長く見積もっておいてください。特別な事情がない限り、会社をたたむ準備や手続きは時間に余裕を持って行動しましょう。

会社をたたむ前に検討したいこと

会社をたたむ前に検討したいこと

会社をたたむべきかどうか迷う方は、M&Aを検討してみてはいかがでしょうか。M&Aとは合併(Mergers)と買収(Acquisitions)の略です。2つ以上の会社が1つになって企業の規模を大きくしたり、ある会社が対象の企業を買収して事業を継承したりする際に使われる方法です。

売り手側は自社の抱える負債を含めた課題を別の会社に託せるのがメリットです。M&A後も自身や従業員は事業に関われるケースも多いので、本音では会社をたたみたくないといった方に向いています。ただし、あまりにも負債が大きすぎる企業など経営状況が悪い会社は買い手がつかない場合もあるので注意してください。M&Aを検討している方は、経営状況が悪くなる前に売りに出すことをおすすめします。

M&Aの買い手は、自社の事業規模を拡大したい、合併により自社のブランド力や技術力を高めたいという希望で相手企業を探しているケースが多くあります。M&Aではお互いがWin-Winの関係で成り立つため、どちらか一方だけにメリットがあるわけではありません。

M&Aでは売り手と買い手の間で売却価格の交渉や条件の擦り合わせを行いながら契約を行います。すぐにマッチングするとは限らないので、M&Aを検討している方はなるべく早く行動しましょう。

会社売買・M&A相談ならウィルゲートM&A

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会社をたたむ費用 まとめ

会社をたたむ費用 まとめ

会社をたたむ費用は、自分で手続きを行う場合でも余裕を持って10万円くらいは見積もっておきましょう。税理士や司法書士、弁護士などの専門家に依頼する場合は、20~30万円ほど予算を立てておいてください。現時点で会社をたたむのをためらう気持ちや理由がある方は、M&Aを検討してから決断してはいかがでしょうか。

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