M&AにおけるMBO(マネジメントバイアウト)の事例一覧!目的とメリット・デメリットも解説

M&AにおけるMBO(マネジメントバイアウト)の事例一覧!目的とメリットとは?

M&Aを検討していて、「MBO」という言葉を耳にした方はいませんか。MBOも株式買付を行って会社の経営権を移す面ではM&Aと似ていますが、中身は少し違います。

この記事では、実際にあった5つのMBO事例と、MBOの目的、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。

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MBO(マネジメントバイアウト)とは

「MBO」とは、Management Buyout(マネジメント・バイアウト)の略で、企業の経営者、経営陣、あるいは従業員が戦略的に自社の株式や事業部門を買い取り、経営権を獲得することです。子会社が親会社から独立するために株式の買い付けを行うこともバイアウトといい、日本語では「のれん分け」という言い方もします。

MBOを行うと、会社のすべての株式を経営陣が所有することになり、結果的に株式市場から上場廃止されます。それによって利害関係者が少なくなり、事業経営の自由度が高くなるメリットがあります。逆に、経営権の集中によって事業自体が傾いてしまうケースもあります。

また主に第3者が自社を買収するM&Aとは違い、現経営陣がそのまま経営権を持つことが多いMBOは、今までの経営方針が継続し、従業員に安心感を与えるというメリットも持っています。

このようにMBOにはメリットもデメリットも存在するので、自社にとってMBOが効果的な選択肢なのか、慎重に検討し見極める必要があります。

過去のMBO事例5 選

実際日本国内で行われたMBOの中で、過去の有名例と最近注目を集めたMBOを5つ厳選して紹介します。

幻冬舎のMBO事例

出版業界で有名な「幻冬舎」のMBOは2011年3月に成立し、同年の3月16日には上場廃止となりました。その背景には「イザベル・リミテッド」というファンドからの株式買い占めがあり、経営への脅威だと判断した見城社長がMBOに踏み切ったのでした。TOB(株式公開買い付け)額は1株24万8,300円でした。

TOB額が実際の資産価値より安いという指摘もあり、イザベル側の抗議もありましたが、MBOは無事成立しました。その後、幻冬舎はデジタル書籍などへ大きく舵を切り、今では縮小していく出版業界でも成長し続ける数少ない会社となっています。

CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)のMBO事例

2011年、もう1つのMBOが連日ニュースなどで大きく取り上げられました。「TSUTAYA」を運営する「CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)」の創業者・増田社長により、MBO計画が発表されたのです。その背景には、今後のため中高年層をターゲットとする次世代店舗への投資や新規事業への積極的な進出が必要だとの判断がありました。取引の総額は約700億円でした。

CCCは2011年12月に代官山蔦屋書店をオープンしたことをはじめ、国内外に複合型の大型店舗を展開し、業績を順調に伸ばしてきました。2013年には子会社のIMJをMBOによって上場廃止するなど、今でも非上場主義のスタンスを取っています。

オンリーのMBO事例

オーダースーツ専門店である「株式会社オンリー」が2021年の8月、MBOによる株式非公開化を目指していると発表しました。中西社長の長男が新設した「紳士服中西」が株主を買い付ける形でMBOが進みました。近年のスーツ需要下落や、コロナ禍により業績に大きく打撃を受けたことがその背景にありました。MBO後は不動産投資拡大や新事業参入などで、売り上げ低迷からの脱却を図っています。TOB価格は1株当たり765円でした。

EPSホールディングスのMBO事例

医薬品の臨床試験支援事業を行う「EPSホールディングス」は2021年9月、MBOが成立したことを発表しました。業績成長が鈍化している現状から脱却し、中長期的な視点で将来の製薬会社向けのサービス、そしてバイオベンチャーを対象にした投資型治験支援を拡大することがその目的です。TOB価格は1株1,800円で、最大取引額は約625億円と予想されました。

シャルレのMBO事例

最近の事例ではありませんが、MBOの失敗事例も1つ紹介します。女性下着を中心とするアパレル商社「シャルレ」の事例です。

2016年当初、シャルレはMBOを目的とするTOBを実施していました。MBO実施の際、経営陣は株主に不当な不利益を与えないため「善管注意義務」があるとされています。しかしシャルレの場合、創業者が利益相反行為を行っているという内部告発がありました。その結果、創業者を含め彼の行為を黙認していた取締役5名が起訴され、5億円の損害賠償が請求されました。結局、MBO計画も失敗に終わりました。

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MBOを実施する主な目的

MBOを行う目的について、大きく4つに分けて説明します。

非上場化による積極的な事業改革・再建

上場企業の中には、従来の経営スタイルから脱却を考えていても、利害関係者が多く事業改革に踏み出せない企業もあります。そういった場合、MBOを通じて非上場化すると、経営権が集中し、今までより大胆な事業改革を行えます。

経営者家族以外への事業承継

経営者の家族を後継者とするのではなく、専門経営者など、第3者に自社の経営権を渡す目的としてもMBOを使用します。この場合、株式を評価額より大幅に低い価格で売却すると、評価額と実際の買収額の差を贈与としてみなされるケースもあるので、注意が必要です。

親会社から子会社の独立

子会社が親会社から独立して事業をさらに成長させたいときにも、MBOが活用されます。親会社と子会社の双方合意を通じて円満にMBOが行われた場合は、「のれん分け」という言い方もします。のれん分け後も元親会社との良好な関係を維持するためには、MBO検討の段階でお互いの認識や利益関係を一致させておく必要があります。

現経営陣の経営権強化

現経営陣が大株主などから経営判断に口を出されることなく、強い経営権を持つためにMBOを実施する場合もあります。このとき、経営陣は異なる2つの立場の間でうまくバランスを取る必要があります。1つは現企業の経営陣として、今の株主に最大の利益を与えたいという立場です。もう1つは、新しい会社を設立するにあたって、少しでも安く株式を購入したいという立場です。両方のバランスを取り、適正な価格でMBOを行うことを心掛けるべきでしょう。

MBOを実施するメリット・デメリット

MBOに伴うメリット・デメリットは、結局株式市場への上場が廃止されることによるメリット・デメリットでもあります。それぞれ代表的なメリット、デメリットを4つずつ紹介します。

メリット

MBOを実施する4つのメリットは次の通りです。

経営権の自由度と経営判断スピードが向上する

上場企業だと、会社の今後のための改革だとしても株主総会などを通じて、利害関係者に同意を得る必要があります。しかしMBOで非上場化するとそのステップがなくなり、経営判断がよりスピーディーになります。

情報開示の義務なくなり、競合他社に経営戦略を読まれにくい

株式上場しているときは情報開示の義務があるため、毎年の業績をホームページなどに掲載する必要がありました。しかし、MBOによって非上場化されるとそのような義務がなくなり、競合他社の方に自社の状況や今後の戦略に関する情報が入りにくくなります。

これまでの社風や従業員の雇用を守れる

M&Aと違い、MBOでは経営陣は今までと変わらないため、今まで進めていた経営方針や社風をそのまま守れることも大きなメリットです。またケースバイケースではありますが、人員整理するよりは現従業員の雇用をそのまま継続するケースの方が多くあります。

他社に買収されるリスクが下がる

創業者の経営方針が固く、M&Aによって他社に経営権を握られたくない場合はMBOがいい選択肢になるかもしれません。上場されている場合、投資ファンドなどが敵対買収を目的に株式の半数以上を買い占め、会社を乗っ取るケースもあるためです。

デメリット

一方、MBOを行うデメリットには以下の4点があります。メリットとともに把握しておきましょう。

負債が増える

MBOを行うと株式を買い付けするので、当たり前ではありますが、新会社としての負債が増加します。経営陣が持っている自己資金ですべての株式を購入できるなら問題ありませんが、多くの場合、不足額を投資家などから出してもらったり、金融機関から融資を受けたりします。これらの負債は今後の経営判断において、無視できない存在になるでしょう。

信頼性の低下

株式市場に上場されるためには、長年の努力と事業実績が必要です。その分、上場企業はその安定性を認められているという話でもあります。そのため、非上場化以降は金融機関から事業資金調達が困難なケースもあります。また、事業再建後に再上場を目指しても、かなりの時間を要する場合もあります。

MBO実施後、短期間で成果を出すことを求められる

MBOは多くの場合、事業再建のためのものでもありますので、経営陣は3~5年程度の短期間で成果を出さなければなりません。場合によっては、当初の計画から大きく外れ、むしろ経営集中により経営が悪化することもあり得ます。

資金調達先によっては、MBO後の経営に投資家などの意見が入る

敵対的買収を主に行う外資系ファンドなど、MBOの資金調達先によっては、その後の経営にも影響が出てきます。経営再建計画なども投資家主導になり、場合によっては人員整理によって従業員の雇用が継続されない可能性もありますので、注意が必要です。

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MBOに踏み切る理由とは?

上記で一度述べたことのまとめにはなりますが、企業がMBOに踏み切る理由には次のようなものがあります。

  • 利害関係者を減らし、経営権の自由度を上げる。
  • 事業改革をスムーズにする。
  • 事業を第3者に継承して、存続させたい。
  • 他企業に買収されたくない。
  • 株式上場に伴う手続きが負担になっている。
  • 親会社から独立したい。

企業によっておかれている状況や、最適な戦略はそれぞれでしょう。MBOが自社にとってベストな選択なのか、必ず社内外の専門家との慎重な議論のうえで決めてください。

MBOに関するQ&A

MBOについて、よく聞かれる質問をピックアップしました。

MBOとEBOの違い

MBOは経営陣が会社の株を買い付けることでありますが、EBOはEmployee Buyoutといい、従業員が投資ファンドや金融機関の力を借り、経営陣から株式などを買い取ることです。そして経営陣と従業員が一緒に株式を買い取る場合はMEBOともいいます。

ほかにも投資家主導で株式の買い取りを行うIBO(インスティテューショナル・バイアウト)、投資家と専門経営者が共同で株式を買い取ることをMBI(マネージメント・バイイン)といい、これらもバイアウト投資の一種です。

MBO時、少数株主への対応にどう注意すべきか

MBOにおいて、株主を大株主のみにするためにスクイーズアウトという方式を使用します。少数株主に金銭などの対価を渡し、株主から退いてもらうことです。

このとき、株式の評価額より対価が大幅に少ないと、少数株主からは批判の声が上がるでしょう。少数株主の中には会社への愛情を持って投資している人もいるので、社会的批判を受ける可能性もあります。少数株主が不公平感を抱かないように、対価のバランスを考慮すべきです。

まとめ

MBOは経営陣が自社の株式を全部買い取ることで、経営権を集中させ、さらなる事業改革を狙う側面を持っています。しかしそこにはメリットだけでなく、経営破綻のリスクや負債の増加などのデメリットも存在します。MBOが自社の未来戦略として効果的かを見極めるためには、専門家との綿密な相談が必要です。

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