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【2022年】人材派遣業界のM&A動向・事例・売却相場を解説

【2022年】人材派遣業界のM&A動向・事例・売却相場を解説

少子高齢化による人材不足が深刻化する人材派遣業界では、近年、M&Aによる業務再編が加速しています。

この記事では、人材派遣業界におけるM&Aの動向、M&Aを成功させるポイントとともに、具体的な事例と売却相場について解説します。

人材派遣業界の概要

人材派遣業界の概要

「働き方改革」の影響もあり、多様で柔軟な働き方が社会的に認められつつある昨今、正社員や契約社員といった安定的な雇用形態にこだわらず、ライフスタイルに合わせて、派遣社員という働き方を選ぶ人が増えています。

世界的に見ても、日本は需要の高さから人材派遣業企業が多く、広告業界に匹敵する巨大市場を持ちます。

ただ市場規模が大きく、比較的容易に事業が立ち上げやすい業界でありながら、利益率が低いこともあり、今後、安定的に事業を継続していくには、営業利益率を補える新たな事業の展開や業務再編が必要になるでしょう。

人材派遣企業とは

人材派遣企業とは、雇用関係にある労働者を派遣先の事業所へ派遣する企業のことを指します。就職先の企業と労働者が雇用契約を結ぶ斡旋を行う人材紹介業とは異なり、人材派遣業は雇用契約を結ぶ企業からではなく、派遣する会社から給与が支払われます。

人材派遣業は法律的に正式名称を労働者派遣事業といい、労働者派遣とも呼ばれます。労働者派遣業者として人材派遣会社を営むには、労働者派遣法に基づいて、厚生労働大臣から許可を受けなければなりません。他にも、社内に1人以上の派遣元責任者が必要となりますが、全国で定期的に実施される派遣元責任者講習を受講することで資格は取得できます。

人材派遣業は1986年に労働者派遣法が施行されるまで、職業安定法第44条の規定により、一部の例外を除いて全面的に禁止されていました。

人材派遣業界の市場規模や市場動向

規制緩和や生産人口の減少、女性の人材不足など、1986年の労働者派遣法の施行からさまざまな社会情勢を背景に、人材派遣業界の市場規模は拡大していきました。2008年に急成長を遂げた派遣業界の市場全体の売上高は、7兆7,892億円と一時ピークに達します。

同年秋のリーマンショックの影響で景気が後退したことを受けて、業績悪化・経営不振になる企業が増加しました。一方的な契約の打ち切りを行う「派遣切り」が社会問題となるほど売上は大きく落ち込み、2013年には5兆1,042億円まで減少しました。

その後はアベノミクスなどの影響で景気は回復し、2018年には6兆3,816億円と勢いを取り戻し始めます。2019年度には東京オリンピックの影響で7兆8,689億円と多くの業種で需要の高まりを見せました。

その後コロナ渦で人材需要が大きく減少しましたが、企業の事業拡大などで、どの業界においても慢性的な人材不足に陥っていることもあり、今後も人材派遣業界の需要は高まっていくと予想されています。

参考:一般社団法人 日本人材派遣協会

人材派遣業界のビジネスモデル

人材派遣業界のビジネスモデルは、就業を希望する労働者に派遣社員として登録してもらい、求人者が求めるスキルを持つ適任の登録スタッフを紹介して、 面談後、派遣社員と派遣先企業が双方合意に至れば、事業所へ派遣するという仕組みです。

人材派遣を大きく分けると、一般的に派遣社員と呼ばれる形態で、有期雇用契約を結ぶ一般派遣(登録型派遣)と一定期間派遣社員として就業後に、直接雇用に切り替わる紹介予定派遣に分類されます。一定のスキルを要する労働者を派遣する特定派遣は、派遣法改正により、一般派遣と一本化されました。

労働者の就職先が決まった時点で派遣会社との雇用契約は結ばれ、派遣契約期間のみ雇用関係は成立します。

人材派遣企業にとって、派遣先企業から受け取る収益から労働者の人件費を差し引いた金額が粗利となりますが、おおよその粗利率は30~40%とされています。そこから社会保険料やその他諸経費が控除され、派遣会社や職種により異なりますが、営業利益率は2~6%ほどが充てられます。

マージン率の高さから、ピンハネのイメージのある派遣事業ですが、実際は薄利多売のビジネスであり、より利益率を上げていくためには、事業の多角化や事業規模の拡大が求められます。

人材派遣企業の一例

人材派遣業界のM&Aは、大企業や上場企業が中心となって業務再編が行われると想定されており、買い手と成り得る大手人材派遣企業の一例は次の通りです。

事務系の求人を多く持つ総合派遣サービス

リクルートホールディングス、パーソルホールディングス、パソナグループ、キャリアリンク、ヒューマンホールディングス、マイナビなど

製造業系の人材派遣企業

ワールドホールディングス、アルプス技研、アウトソーシング、フルキャストホールディングス、日総工産、UTグループなど

技術系の人材派遣企業

テクノプロ・ホールディングス、夢真ビーネックスグループ、トラスト・テック、販売系ではエスプール、ヒト・コミュニケーション・ホールディングス、ウィルグループなど

人材派遣業界のM&A最新動向

人材派遣業界のM&A最新動向

2008年以降、リーマンショック後の景気悪化を受けて、会社を売却する中小規模の人材派遣企業が増加し、M&Aが活発化しています。

近年では事業規模の拡大や派遣職種の多角化を目指すM&Aだけでなく、大手派遣会社による海外企業やエンジニア・技術者領域の買収といったBPOや業務請負・業務受託系の専門分野獲得、後継者問題解決を目的とした買収も多くなっており、業界再編がますます加速していくと考えられます。

特に専門分野に特化した人材派遣に人気が集まり、業界内での競争はますます激化しています。事業の専門性を高めることが生き残りに有効だと捉える経営者が多く、効率よく優秀な人材を確保する手段としてM&Aが活用されています。

各業界の人材不足を補うべく人材派遣業界への需要が増加する一方で、派遣人員の確保が大きな課題であり、今後は好業績であっても、M&Aによる事業売却を行って、大手派遣会社へ集約される中小企業が急増していくでしょう。

参考:人材派遣・紹介業界のM&Aと事業承継の動向・案件情報(2022年最新版)

人材派遣企業をM&A・買収するメリット

人材派遣企業をM&A・買収するメリット

人材派遣企業をM&A・買収することで得られるメリットを紹介します。

事業規模拡大によるスケールメリットの享受

M&Aにより人材派遣会社を買収することで、事業規模の拡大・強化、事業の多角化が図れるうえに、事業規模が拡大すれば、さまざまなスケールメリットが享受できます。

正しくスケールメリットを得るためには、対象会社の経営状況が好調であることが重要であり、知名度向上による広告費用や採用コストの削減、ブランド力の向上、サービス提供エリアの拡大による売上の増加などの恩恵が受けられます。

短期間で経営戦略が遂行できる

買い手にとってM&Aを活用する最大のメリットは、企業の成長にかかる時間を短縮できて、スピーディーに経営戦略が遂行できる点です。事業や会社を始めるのに必要な経営資源を一から集めるとなると、相当な時間を要します。

例えば優秀な人材を育成するにも、ノウハウや知識を培うにも、短期間で成し遂げるのは難しいでしょう。一からコツコツ作り上げていては、競争が激化する業界では勝ち残れません。事業規模の拡大や多角化、自社の弱点の補強といった経営戦略を実行する際に、スピーディーさは何よりも重要です。

M&Aにより人材派遣会社を買収すると、時間や労力をかけずに競争優位性が構築でき、場合によっては将来的にかかるコストの節約につながります。

経験豊富な登録スタッフと社員の一括確保

人材派遣事業や会社を買収すれば、対象会社の経験豊富な登録スタッフと社員を一括で確保することが可能です。人手不足が深刻化する人材派遣業界では、かんたんに優秀な人材を確保することは難しい状況にある中、まとめてスキルの高い人材を獲得できるのは大きなメリットです。

また、自社の人材ストックが増えることで、労働者と派遣先とのマッチング率が高くなり、派遣社員の稼働率を上昇させて、利益率の高い人材を派遣できるようになります。

節税になるケースも

M&Aにはスキーム次第では買い手企業が節税できるメリットがあります。

買収対象企業が負債を抱えていた場合、繰越欠損金も引き継ぐことになり、赤字が発生してから10年間(平成30年4月1日以前は9年間)は毎年繰り越すことが可能で、自社の黒字売上と相殺することもできます。マイナスが発生した分のみ、法人税額が抑えられるため、結果的にM&Aが税金対策になるケースもあるようです。

繰越欠損金はうまく利用すれば税務上のメリットが受けられますが、利用には条件があり、繰越欠損金の控除限度額も資本金ごとに定められています。

人材派遣企業をM&A・売却するメリット

人材派遣企業をM&A・売却するメリット

人材派遣企業をM&A・売却する際に売り手側が得られるメリットを紹介します。

主力事業への集中

M&Aにより不採算事業を譲渡することで、主力事業や次の事業に集中できる環境が整います。

主力である人材派遣事業の他に赤字が続いている事業があった場合、不採算事業だけ売却すれば会社全体の収益性は高くなり、採算が取れない事業にかかっていたコストを減らせます。絞り込んだ事業に経営資源を注げるようになれば、新設備やシステムの導入が可能となり、サービスの質が向上して事業の価値も高まるでしょう。

事業譲渡では不要となった事業だけを選別して売却できるので、事業拡大や新規事業をスタートさせる場合にも新事業に余った資源を投入できるようになり、高い成長性が見込めます。

従業員雇用の維持存続

後継者不足による廃業や経営不振による倒産などが発生した場合、従業員は解雇となり、仕事を失うことになります。

M&Aで自社の人材派遣会社や事業を売却できれば、会社の休廃業や倒産をせずに、従業員は引き続き買い手企業の下で働くことが可能です。会社の維持存続はもちろん、従業員の雇用も維持され、買い手が現在より大手の人材派遣企業であれば、売却前と比べて、従業員の労働条件や待遇が良くなる可能性もあるようです。

派遣社員への教育体制や経営基盤の強化

有力な企業の傘下に加わることで、安定的で効率的な事業経営が可能となるため、経営基盤が強化されます。グループ企業となれば、大手企業が持つノウハウや知名度といった経営資源を活用して、派遣事業が行えるので、経営に関する先行きの不安がなくなり、急速なステップアップと売上増加が期待できます。

自社にはないノウハウや人材を新たに手に入れるには多くの手間も時間、資金が必要になります。また、会社を強固なものにするために投資すべきなのは事業だけでなく、人材の強化も会社の成長には重要なファクターです。

M&Aで教育制度や資金が整えられることで、派遣社員への教育体制も強化され、スキルの高い人材が育ちます。

後継者問題の解消

M&Aにより人材派遣事業を売却することで、後継者不足が解消できるメリットもあります。中小企業白書によれば、経営者の高齢化や後継者問題で、年間4万以上もの企業が休廃業・解散しているといいます。それらの企業の半数以上が黒字経営であるにもかかわらず、後継者不在を理由に事業から手を引かざるを得ない状況になります。

軌道に乗っている企業を後継者不足で廃業させずに、存続させるのに有効なのが、M&Aによる事業承継です。人材派遣会社へのニーズが高まる中、M&Aであれば、業界に関するリテラシーが高い企業に株式譲渡で支配権を譲渡し、外部の経営者や企業に事業を承継してもらえます。

創業者利益の獲得とアーリーリタイヤの実現

売り手側のオーナー経営者がM&Aで事業承継を行えば、休廃業を回避して、まとまった額の売却利益を買い手から受け取れます。人材派遣企業の規模や売上高によって譲渡価格の相場は異なりますが、純資産に利益の数年分を加算した金額が企業価値とされているため、獲得できる売却金額は大きな金額になると考えられます。

多額の利益が得られればアーリーリタイヤも可能で、悠々自適な老後が送れるでしょう。また取得した売却利益はさまざまな使途に自由に利用できるため、新規事業の立ち上げ資金や主力事業への投資、老後資金などに使えます。

個人保証・担保の解消

中小規模の人材派遣会社では、経営資金を融資で調達するのに経営者が個人保証や個人資産を担保とすることがほとんどです。人材派遣事業がうまくいかず失敗しまうと、経営者個人が自己資産から弁済していく必要があるため、大きな精神的負担となります。

人材派遣会社の経営者は、株式譲渡によるM&Aで会社ごと売却する場合、債務も買い手に引き継がれるので、負債や借入金の連帯保証から解放されます。ただ連帯保証や担保は自動的に引き継がれるわけではなく、事前に金融機関と個人保証を解除について交渉しておく必要があります。

「経営者保証に関するガイドライン」により、経営者が引き続き対象企業と深く関わる場合などを除いて、個人保証や担保が解除できる可能性は高いでしょう。

人材派遣企業の売却金額の相場

人材派遣企業の売却金額の相場

人材派遣業界のM&Aで用いられることの多い手法は、株式譲渡と事業譲渡で、用いる手法により相場は変わります。

人材派遣企業の売却金額の相場は、株式譲渡の場合は、「時価純資産額+(営業利益+役員報酬)×2~5年分」、事業譲渡の相場は、「事業資産+事業利益×2~5年分」で算出された金額とされています。掛け合わせる年数は一般的に2~3年のケースが多く見られます。

労働者派遣許可の有効年数や連絡の取れる登録者の有無、ノウハウやビジネスモデル、顧客数などによって譲渡価格は大幅に異なり、およそ300万円~1億円前後で売買されています。あくまでも簡易的に算出する計算式ですが、企業価値評価を行う前に、おおよその相場を判断する際に用いられます。

企業価値の評価には数多くの算定方法がありますが、コストアプローチ、インカムアプローチ、マーケットアプローチなどで評価を導き出しています。

人材派遣企業の買収を成功させるポイント

人材派遣企業の買収を成功させるポイント

人材派遣企業の買収を成功させるには、売り手側だけでなく、買い手側にも気を付ける点がいくつかあります。M&Aをスムーズに行う上で押さえておくべきポイントを紹介します。

デューデリジェンスをしっかり行う

買い手側にとって、対象会社について詳しく知らぬままM&Aを進めることは、M&A失敗の確率を高めてしまう要因になります。売り手企業が投資に見合う価値があるか判断するには、デューデリジェンスでしっかりとした調査を行う必要があります。

買収を行うにあたって、売り手企業のリターンやリスクの有無、事業環境、自社との違い、M&Aにより得られるシナジー効果などをあらゆる観点から実状を把握して、適切な企業価値を算出していくことになります。

M&Aの規模に関わらず、特に財務・税務、法務領域のデューデリジェンスに関しては、自社だけで実施するのは難しい側面があるため、外部の専門家に依頼することをおすすめします。デューデリジェンスはM&A実行時だけでなく、経営統合をうまく進めていくためにも、重要な役割を担います。

買収後の経営統合作業であるPMIが成功しなければ、M&Aは失敗ともいわれる重要な局面なので、事前に徹底して準備を行うことが大切です。

良好な人間関係を構築する

経営者としての生き方や企業理念、企業文化が近い場合、M&A実行時だけでなく、その後の統合プロセスがうまく引き継げる可能性が高まります。特に経営者同士で直接顔合わせを行うトップ面談は、決算書などの書類だけでは判断できない経営者の人間性や経営理念を把握して、相互理解を深める上で重要なフェーズといえます。

売り手企業は1社だけでなく、複数の候補企業と並行して交渉を行うことがほとんどで、トップ会談後に提出する提示条件を記した意向表明書だけではなく、トップ会談での印象がM&Aの成功を左右します。多数の候補の中から譲受企業に選定されるためには、自社の魅力や本気度をアピールする必要があります。

買い手側だからといって、偉そうな態度は控え、後継者問題解消などの救済的なM&Aであっても、譲っていただくという意識で、良好な人間関係を構築していくことが重要です。

経営者同士の関係性はもちろん、人材派遣企業の財産である従業員や取引先との関係性も大切にしなければなりません。

金融機関から理解と協力を得る

買い手が買収資金を自己資金で賄えるのであれば問題はありませんが、M&Aでは多額の資金を用意しなければならず、多くの場合には融資が必要となります。

融資にはさまざまな方法がありますが、主な融資元は銀行などの金融機関であり、融資の申し込みが通らない場合は、M&Aの機会を見送らざるを得なくなり、売り手企業にも大きな迷惑をかけてしまいかねません。

会社の信用力が高いほど、低コストで借り入れができるため、日頃から取引金融機関との関係を良好なものにしておきましょう。自社の評価や信用力を高める努力を行い、有利な条件で資金調達ができるよう、早い段階から協力関係を築いておくことが不可欠です。

銀行との取引は借り入れだけでなく、口座開設を行って、決済を行うことも含まれます。借り入れを行う銀行を選ぶ際も、信用力によって借りるべき銀行が異なってくるので、自社の信用力に合わせた適切な銀行との取引履歴を積むことも、資金調達が成功する可能性が高まります。

人材派遣企業の売却を成功させるポイント

人材派遣企業の売却を成功させるポイント

人材派遣企業の売却を成功させるということは、希望する価格で売却できる、自社の従業員がM&A後も安定的な雇用が継続できる、自社の法人格を残して事業を引き継げるかどうかがポイントになります。M&Aによる企業売却を滞りなく行っていくには、徹底した事前準備が必要になってきます。

売り手側が人材派遣企業を売却するうえで、心に留めておきたいポイントを見ておきましょう。

優秀な社員や派遣人員の離脱を防ぐ

人材派遣企業の売却を成功させるには、M&Aにより優秀な社員や派遣人員が自社を辞めてしまわないよう、離脱を防ぐ対策を講じる必要があります。

人材派遣業では、登録スタッフや安定的に派遣先を確保できる営業担当者は経営資源であり、労働者が働くことで収益が生み出されるビジネスモデルから、M&A後も社員や派遣人員に契約を継続してもらうことが何より重要なポイントとなります。

買い手は買収しようとする企業が持つサービスや人材の質などを踏まえて、企業価値を算出します。優秀な人材が離脱してしまえば、本来享受できたはずのメリットがなくなるので、当初より安い譲渡価格となってしまうか、最悪の場合、合意に至らず破談となる可能性も考えられます。

人的資源はM&Aによる事業承継で喪失されるケースが多いため、人材派遣企業の売却を行う際は、登録スタッフや営業担当者の引き継ぎは時間と労力をかけてしっかり進めることが大切です。

複数の買い手と交渉を進める

人材派遣企業におけるM&Aでできるだけ高値で自社を売却するには、買い手企業とのシナジー効果や自社が持つ資産価値の評価について知っておく必要があります。

買い手企業は、自社の弱みの補完や強みをより強くできる企業の買収を検討しています。自社が持つ資産価値に対する評価は交渉相手によって異なりますが、売却価格もまた、交渉相手次第で変動します。

買い手によって評価はまちまちのため、売却したい企業や事業を高く評価してくれる相手を見つけることが重要です。最適な買い手に高い価格で買収してもらうためには、複数の買い手候補と並行して交渉を進めるようにしましょう。

日頃から企業価値を高めておく

M&Aを有利に進めていくには、日頃から企業価値を高めておくことが重要です。企業価値を高めるためには、財務状況や会社の現状を細かく分析し、自社の強みとなる要素も整理しておくとよいでしょう。

買い手企業は対象企業の技術力や従業員、取引先の質、専門性や知名度、ブランド力の高さ、事業の将来性といった無形資産の価値も考慮して売り手企業の評価を行います。業績に何かしらマイナスの要素があった場合でも、買い手側のニーズに適応した経営資源を所持していれば、相場以上の価格で取引されることもあります。

顧客リストや将来性を証明したものなど、客観的に自社が持つ資産を分析したデータを資料にまとめておくことで、買い手に信頼感を与えることが可能です。

人材派遣企業をM&Aする際の注意点

人材派遣企業をM&Aする際の注意点

人材派遣企業をM&Aする際に気を付けておくべき注意点を事前に確認しておきましょう。

事業譲渡では経営資源や許可が承継できない

M&Aのスキームとして株式譲渡と事業譲渡が一般的に使われることが多いですが、人材派遣企業の買収では事業譲渡より、株式譲渡が推奨されています。

株式譲渡でM&Aが行われれば、株主が変わり、経営権が譲受企業に移行するだけに留まりますが、事業譲渡では譲渡企業が有する経営資源や許可といった契約関係の事柄に関してはそのまま承継できません。買い手が労働派遣業許可を持たない場合は、新たに労力と時間をかけて許可を取得する必要があるため、スムーズな売却が難しくなります。

また、多数いる登録スタッフや営業担当などの社員との雇用契約を再度締結し直す必要もあり、これらの人的資源は事業承継では喪失されるリスクが高いことから、引き継ぎや手続きを行う際には丁寧に対応していかなければなりません。

売り手は事業譲渡で競業避止義務が課される

事業譲渡では会社法第21条により、売り手側に対して競業避止義務が課されます。競業避止義務とは、同一市区町村および隣接市区町村内で、事業譲渡日から20年間に渡り、当事者間での意思表示がなされない限り、競業避止義務を負うものです。

事業譲渡後に売り手が新たに事業を再開するとなると、ノウハウや経験が蓄積された売り手に買い手は敵わず、損失を被る恐れがあります。売り手側が将来的に人材派遣業を再度行う予定がある場合は、買い手との交渉次第では期間の短縮やエリア縮小を打診することは可能です。

労務問題や法令違反が生じやすい

売り手側の管理不足などで派遣労働者に対して未払い賃金や保険料があると、事業の売却後にそれらが発覚した場合は、買い手企業が支払い義務を負うことになり、労働者と大きなトラブルに発展する可能性があります。

長期雇用の派遣就業であれば、社会保険の未加入や賃金の未払いが発生しにくいですが、1日や数カ月の就業といった短期的な人材派遣を行う事業では、M&Aを実行する前に社会保険の加入や賃金の支払い状況を改めて確認しておきましょう。

労働者派遣法改正後は社会保険に未加入の労働者を派遣する際には、派遣先に未加入である理由を説明する義務が発生します。労務問題や法令違反が生じやすい企業を積極的に買収しようとする買い手企業はほとんどいないので、事前に解決しておく必要があります。

人材派遣業界のM&A事例16選

人材派遣業界のM&A事例15選

人材派遣企業のM&A・買収・売却への理解を深めるには、過去のさまざまなM&A事例を参考にしてみるといいかもしれません。人材派遣業界のM&A事例を16例紹介します。

株式会社リクルートスタッフィング

リクルートホールディングスの連結子会社である株式会社リクルートスタッフィングは、2016年4月に「株式会社データリンクス」の人材派遣事業の一部を譲受するに至りました。リクルートスタッフィングは人材派遣や紹介予定派遣、アウトソーシング事業を展開する人材サービス企業です。

データリンクスは人材派遣許可を取得後、順調に事業を拡大していましたが、リーマンショック以降、労働法改正や同業他社との価格競争の煽りを受けて、人材不足に陥り、売上も減少傾向にありました。コスト削減や営業所閉鎖など、さまざまな施策を講じてきましたが、これ以上収益性やコストの改善は困難と判断し、主力のIT派遣や受託業務以外の人材派遣事業を譲渡しました。

データリンクスは不採算事業を売却できたことで、情報サービス事業に特化することが可能となり、リクルートスタッフィングも、人的資源と営業力の強化を図り、譲渡会社の通信業界向けネットワークを活用して、更なる就業機会の創出を目指すとしています。

テンプホールディングス株式会社

2013年4月、人材派遣の「テンプスタッフ」を傘下に持つテンプホールディングス(現株式会社パーソルホールディングス株式会社)は、人材サービス大手の「株式会社インテリジェンスホールディングス」の全株式を取得し、子会社化しました。

テンプとインテリジェンスは同業ではありますが、インテリジェンスは正社員向けの人材紹介事業と求人情報サービスなどのメディア事業に強みを持ち、女性の一般事務派遣が主なテンプとは事業領域の重複が多くありません。

テンプが主力とする人材派遣は規制強化から市場も縮小傾向にあったため、需要が高まりつつある転職支援や人材紹介のノウハウや経験豊富なインテリジェンスに傘下入りを打診したのです。

テンプホールディングスは今回のM&Aにより、互いのブランド力やインフラが結びつくことで、多様化する労働市場のニーズに応えられるとともに、ビジネスの相乗効果が大きいと判断して、M&Aを実施しました。今後は、アジアを中心としたグローバル市場への展開と地域戦略の強化を目指す方針です。

株式会社マイナビ

総合人材サービスを展開する株式会社マイナビは、2019年2月に、同じく人材派遣企業の「株式会社ブレイブ」の株式を買収し、子会社化しました。

ブレイブは、介護士や看護師、保育士、コールセンター・事務向けの人材派遣サービスを全国に18拠点運営しており、介護・医療・保育現場の人材不足を受けて、2011年に設立された会社です。特に介護業界では少子高齢化による人材不足が深刻化しており、今後需要が高まる一方で、介護人材の確保が課題となっています。

ブレイブでは2018年時点で、約2,300名の稼働スタッフを抱えていて、成長率も目覚ましく、事業も好調に拡大しています。マイナビはブレイブをグループに加えることで、さらに成長し続ける介護派遣事業に参入し、人材サービス企業として総合力の強化を目指しています。

また、ブレイブにとっても、グループに加入することにより、採用力の強化や拠点拡大、業績向上につながるとしています。

エンジャパン株式会社

エンジャパン株式会社は、2019年7月に「株式会社JapanWork」が発行する株式51%を取得し、子会社化しました。

JapanWorkは、外国人専用の求人サービスを展開する会社で、外国人向け求人一括サイト「JapanWork」や「チャットコンシェルジュ」サービスを運営しています。一方、エンジャパンは、人材派遣会社と求人情報サイト「エン派遣」や「エン転職」、新卒学生向けスカウトサイト「iroots」などを展開する企業です。

エンジャパンはJapanWork側から出資の打診を受けていましたが、テクノロジー分野のM&Aに力を入れていたこともあり、出資という形ではなく、M&Aを実施するに至りました。宿泊業界や飲食業界の慢性的な人手不足を解消する外国人労働者事業に着手し、企業価値の向上と人材サービス事業の拡大を目指します。

第一段階の株式譲渡価格は2億2,900万円で、2022年までに株式交換で残りの株式を追加取得し、完全子会社化するとしています。

UTグループ株式会社

UTグループ株式会社は、2020年3月に製造業向け人材派遣が主力の「株式会社サポート・システム」の自社株式を除く全株式を約11億円で取得し、子会社化することを決議しました。

UTグループは製造工場向けの人材派遣、ITや設計・開発、建設分野への技術者の派遣事業などの人材サービスを提供しています。サポート・システムは関西地域を基盤とする人材派遣企業で、近年では関東地域にも積極的に進出し、工場・製造業以外にも、食品加工業界に高品質なサービスを提供する企業として強い信頼を得ています。

今回のM&Aを通じて、サポート・システムが関西と関東に有する多くの顧客基盤とUTグループの採用と人材育成の基盤を融合させて、より質の高いサービスを顧客に提供できる企業を目指すとしています。

株式会社ウィルグループ

人材派遣業を中心に、さまざまな事業を展開する株式会社ウィルグループは、シンガポールにある子会社を通じて、2019年4月にオーストラリアの人材サービス会社「U&U HOLDINGS PTY LTD」の株式を60%取得し、子会社化することを決定しました。

ウィルグループは、国内での人材派遣や人材紹介、アウトソーシング事業を展開していて、2014年にシンガポールに設立したWILL GROUP Asia Pacific Pte. Ltd.(WAP)を活動拠点に、オセアニア地域や東南アジアを中心としたM&Aによる海外展開を積極的に進めています。

2010年設立のU&Uは、エグゼクティブサーチ(ヘッドハンティング)やIT 、経理、ヒューマンリソースなど、12分野の人材派遣と人材紹介事業を行っており、大手企業や公的機関に人材を派遣しています。

中期経営計画「Will Vision 2020」では、HR領域でのグローバルネットワークの強化を戦略目標として掲載していて、今後成長が見込まれるオセアニア・ASEAN地域の人材事業の拡大を目的に今回のM&Aが行われました。

株式会社パソナグループ

株式会社パソナグループは、2017年8月、自社の連結子会社である株式会社パソナを通じて、NTTグループの人材サービス会社「NTTヒューマンソリューションズ株式会社」と「テルウェル・ジョブサポート株式会社」の2社を子会社化しました。

他にも、NTTグループから株式会社エヌ・ティ・ティ エムイーサービス、NTTソルコ&北海道テレマート株式会社、テルウェル西日本株式会社、ドコモ・データコム株式会社の4社人材派遣事業を譲り受けています。

パソナは今回の株式譲渡、事業譲渡によるM&Aで、譲受した企業の店舗網を活用して、地方圏での営業強化を積極的に進めていくのに加えて、NTTグループへの人材派遣、委託・請負、教育・研修といった多種多様なサービスの提供拡大につなげていくとしています。

株式会社フルキャストホールディングス

2018年8月に、株式会社フルキャストホールディングスは、家事代行業者である「ミニメイド・サービス株式会社」を子会社化することとなりました。

グループ傘下のフルキャストは、物流・倉庫、製造、飲食、コールセンターなどへ短期アルバイト紹介を行っており、短期人材市場のシェアNo1の人材サービス会社です。

他にもグループには株式会社トップスポットや株式会社フルキャストアドバンス株式会社などの短期人材サービスがあり、それぞれの特長を活かして、企業の人材不足解消や生産性向上のためのサービスを展開しています。

ミニメイド・サービスは、日本の家事代行サービスのパイオニアとして30年以上経営を続けてきましたが、自社の成長戦略と後継者問題の解消という観点から、M&Aによる譲渡を決意しました。

今回のM&Aは同業ではありませんが、成長の足かせである人材不足の解消とフルキャストの事業戦略がマッチしていたこともあり、トップ同士で面談が実現しました。軽作業の人材派遣を得意とするフルキャストの事業と家事代行サービスの親和性の高さからシナジー効果を見込んで、M&Aが実行されました。

株式会社クイック

株式会社クイックは、2019年10月に「株式会社クロノス」の全株式を取得して、完全子会社化することを決定しました。

クイックは、人材紹介事業と広告の取り扱いを主力とするリクルーディング事業を中心に、さまざまな事業を展開しています。クロノスは、システム開発事業と教育事業を行う企業で、AIシステムの開発・導入支援に積極的に携わり、IT・AI分野のエンジニアの教育・育成にも力を注いでいます。

今回のM&Aにより、クイックが培った人材ビジネス分野におけるノウハウと、クロノスが持つIT・AI分野のテクノロジーとを融合させ、人材採用や労務管理のシステム開発、IT・AIエンジニア教育事業の拡充を強化し、顧客企業の人手不足の解消やIT化推進を支援していくことで、今まで以上の企業価値の向上を目指していくとしています。

デルタホールディングス株式会社

デルタホールディングス株式会社は、2018年7月に「株式会社エヌジェイホールディングス」の子会社であるエンジニアの人材派遣・紹介を行う「株式会社トーテック」の株式70%を譲受し、子会社化しました。

デルタグループは、総合人材派遣と人材紹介事業、請負サービスなど、幅広い人材サービスを提供する企業です。

エヌジェイHDは、2015年に技術分野の人材確保を目的にトーテックを買収し、その後トーテックはエヌジェイHD子会社である、携帯電話販売店に特化した人材派遣会社「株式会社ネプ口サービス(現シーズプロモーション株式会社)」と吸収合併しました。

若年労働者不足から人材需要が増加する中、人材確保に苦戦していたこともあり、人材派遣事業の拡大、認知度の向上を課題としていました。

デルタHDは人材サービス業の他に、Webマーケティングによる企業のブランディングにも定評があり、訴求力や認知度向上の助けとなるノウハウを取得するべく、資本業務提携が行われました。トーテックの顧客ネットワークとブランディングノウハウを掛け合わせて、両社の更なる成長と事業価値の向上を図るとしています。

株式会社日輪

人材派遣業を営む株式会社日輪は、施設警備などを手掛ける「株式会社ライフ・コーポレーション」の株式を取得し、完全子会社化することを決定しました。

日輪は愛知県を拠点に人材サービス事業と複数の求人サイトを展開し、高い採用力を持つ企業です。ライフ・コーポレーションも愛知県にて、施設常駐警備を中心とした高品質なサービスを提供する警備事業を行っていましたが、後継者不足による事業承継が課題となっていました。今後の事業経営への不安を抱えていたこともあって、M&Aによる事業承継を検討するに至りました。

2019年7月に実施されたM&Aでは、100%の取得比率で株式譲渡の手法が用いられました。ライフ・コーポレーションにとっては、後継者問題と人材確保の不安解消、事業拡大を目的に、日輪側はシニア人材の新たな働き先の獲得というシナジー創出が狙いにあります。

株式会社ウイルテック

株式会社ウイルテックは、2020年12月にIT技術者の人材派遣を行う「株式会社パートナー」の全株式を取得して、子会社化することを決議しました。

ウイルテックは、製造工場や建設業へ技術者を派遣する人材派遣サービスを提供し、高い技術力を活かして、技術・修理サービス事業や海外事業も展開する企業です。パートナーは1996年の設立以来、システム構築分野の技術者を多数派遣してきており、高度なスキルや経験を有するシステムエンジニアが在籍しています。

今回のM&Aに至った背景には、ウイルテックが抱える取引先の多くがシステム開発へのニーズが高く、既存顧客だけでなく、新規顧客に対しても新たな営業機会を創出する目的で実施されました。

売り手側はIT技術者派遣事業を分社化して譲渡したこともあり、グループ傘下に入ることが目的ではなく、経営者のリタイヤ、または他事業に集中する目的でM&Aが行われたと推測できます。

ライクスタッフィング株式会社

ライクスタッフィング株式会社は、「株式会社クリエアナブキ」の事業の一部を2018年3月に譲受しました。

クリエアナブキは、中国・四国エリアを基盤に、インテリアコーディネータなどの専門スタッフも抱える、人材派遣や人材紹介、アウトソーシングを手掛ける総合人材サービスを展開しています。ライクスタッフィングも、東京・大阪を中心に全国に総合人材サービスを提供する企業で、経験が少ないスタッフに独自の研修制度を実施する採用・教育支援も行っています。

2016年にクリエアナブキは、競争が激しい首都圏における東京支店の人材派遣事業を売却し、中国・四国向けのUI ターン転職・採用支援に営業力を集中して、安定的な収益の確保体制を整備しました。

このM&Aで、大阪支店の人材派遣事業を買収したライクスタッフィングは、近畿圏の事務案件の拡充を目的にM&Aが行われました。事業譲渡によってクリエアナブキは、中国・四国重視の事業への集中を図ります。

株式会社廣済堂

2021年4月、株式会社廣済堂は、「株式会社エヌティ」と「株式会社Neo」の全株式を取得して、完全子会社化しました。取得価額は総額4億1,900万円で、エヌティが3億6,900万円、Neoが5,000万円です。

廣済堂グループは、東北・北陸エリアにて事務や製造スタッフの人材派遣事業と求人広告業を運営しており、ITやBPOサービス、印刷・出版などの情報ソリューション事業や葬祭事業も手掛けています。

エヌティとNeoは、物流倉庫が多い埼玉県北部エリアに物流分野に特化した人材派遣事業と輸入事業を行う企業です。エヌティとNeoを傘下に加えて、廣済堂グループの人材派遣事業エリアの拡張を行い、他事業との連携による売上の創出と需要が増加する物流倉庫業へのニーズに対応していく方針です。

株式会社ディア・ライフ

不動産事業と不動産業界向けの人材派遣を手掛ける株式会社ディア・ライフは、2021年1月に「株式会社DLXホールディングス」の株式51.22%を第三者割当増資の引き受けで取得して、子会社化することを決定しました。

DLXホールディングスはNFCホールディングスが全額出資の新会社で、今回のM&Aのための持ち株会社として設立して、NFCホールディングスの子会社であったN-STAFFを完全子会社化しています。

N-STAFFは保険に関する受付コールセンター向けの人材派遣事業を展開しており、今回のM&Aにより、ディア・ライフの傘下にN-STAFFを置くことで、コールセンターの保険契約取次業務を担う人材派遣事業を取り込むのが狙いです。

DLXホールディングス側も、不動産部門への派遣事業の進出を目指しているため、互いのリソースを活用して、業績を拡大する目的でM&Aが行われました。

株式会社メディカルリソース

日本調剤の連結子会社であるメディカルリソースは、2020年11月に産業医業務提供事業を営む「株式会社WORKERS DOCTORS」の株式を取得して、子会社化しました。

メディカルリソースは、医師や看護師、薬剤師といった医療従事者向けの人材派遣・紹介事業、転職支援の運営、求人情報の提供を行っています。WORKERS DOCTORSは、30年以上にわたる産業医のノウハウや経験をもとに、首都圏を中心に企業の労働衛生管理をサポートしています。

今後、労働人口の減少や高齢者の増加で医師不足が懸念されており、産業医の需要が増加することを見越して、医師の紹介事業を強化していく方針です。

日本調剤グループでは、WORKERS DOCTORSが有するノウハウやネットワークを活用して、産業医業務提供事業の全国への展開と拡大を図るとともに、企業の労働衛生管理へのニーズに対応できるものと捉えています。また、WORKERS DOCTORSは、日本調剤グループが目指す社会的課題解決の考えと親和性が高いこともあり、共に成長して産業界や医療業界に貢献できる企業を目指します。

人材派遣企業をM&A・売買する方法

人材派遣企業をM&A・売買する方法

人材派遣会社のM&Aでは、主に株式譲渡または事業譲渡のスキームを用いて、会社や事業を統合していきます。

株式譲渡は、会社の株式を譲受企業に現金対価で譲渡し、会社の経営権も譲り渡すことになります。事業譲渡は、譲渡の対象となる事業や資産の一部や全てを選択して、比較的自由に譲渡できる手法です。どちらの方法にもメリット・デメリットが存在し、M&Aを行う目的に応じて決定します。

株式譲渡や事業譲渡以外でも、会社分割や第三者割当増資、株式交換といった方法で、人材派遣企業のM&Aが行われたケースが多数あります。

M&Aでは目的や状況によって適切なスキームは異なり、判断が難しい場合もあるので、M&A仲介会社や外部の専門家に相談してみるのも、一つの選択肢です。

株式譲渡の場合の手続き・引き継ぎ方法

人材派遣企業の株式譲渡では、会社の権利や義務なども包括的に引き継ぐことになるため、特別な手続きや引き継ぎは不要です。従業員の雇用契約や取引先との関係もそのまま維持されるので、改めて契約を結び直す必要がありません。株式譲渡の手続きが比較的かんたんなことから、中小企業のM&Aにおいて事業承継を行う際によく用いられる手法です。

株式譲渡の手続きの流れは以下の通りです。

1.株式譲渡承認の請求
2.取締役会または株主総会の開催
3.株式譲渡契約の締結
4.株主名義の書換、証明書交付

株式譲渡の手続きは、会社法に則って手順で行わないと、無効になる恐れがあるため、他の手法に比べてかんたんとされていますが、複雑な手続きも存在します。手続きは少々複雑ではありますが、事業譲渡や会社分割のように各省庁への申請の必要がない点においては、中小企業のM&Aに最適な手法といえます。

また、第三者による取引の公正さをチェックする公的機関がないことから、株式譲渡を行う際には、専門家の助けが必要になります。

事業譲渡の場合の手続き・引き継ぎ方法

事業譲渡では、株式譲渡とは異なり、個別承継となるため、権利や契約をそのまま維持することはできません。包括的には引き継げないことから、再度従業員の雇用契約や取引先との契約を結び直す必要があり、手間や時間がかかりやすい手法です。

人材派遣業の許認可も譲受企業は引き継げないので、人材派遣業を経営していくには、事前に労働者派遣事業許可が必要になります。

事業譲渡の手続きの手順は大まかにまとめると以下の通りです。

1.事業譲渡の準備開始
2.基本合意書の締結
3.デューデリジェンスの実施
4.取締役会による決議
5.事業譲渡契約の締結

M&Aにおける事業譲渡は、主に不採算事業の解消、事業の選択と集中の手段として活用されています。事業譲渡のメリットは譲渡対象を個別に選択できる点にありますが、手続きが煩雑で時間がかかる手法のため、手続きが完了するまで3カ月、長期化する場合は1年ほどかかることを念頭に、準備を進めていきましょう。

会社売買・M&A相談ならウィルゲートM&A

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M&Aにおける失敗のリスクを減らし、スムーズに手続きを進めていくためには、人材派遣業界やM&Aに精通した専門家に相談するのが得策です。

「ウィルゲートM&A」では、契約まで着手金や中間手数料などが一切なく、完全成果報酬(ご相談・着手金は無料)でM&A仲介・支援を行っています。長年培ってきたIT・Web領域のノウハウや経験を活かして、個々に合わせた販路開拓やマッチング、交渉を進めてくれます。

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人材派遣業界のM&A最新動向 まとめ

人材派遣業界のM&A最新動向 まとめ

人材派遣業界では、事業所の数が増え続けていますが、人手不足や法規制の強化によって、業界全体の景気は好調とはいえません。先行きが不透明な状況だからこそ、投資先の一つとして、または安定的な経営や事業の撤退を実現する手段として、M&Aが今後も活発に行われていくと考えられます。

ウィルゲートM&Aは、事業売却の仲介実績が豊富で、9,100社以上の会社と独自のネットワークを形成しているM&A仲介会社です。完全成功報酬型で相談料や着手金も無料なので、M&A仲介、会社売買をご検討の方は、「ウィルゲートのM&A」にまずは無料でお問い合わせください。

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