アパレルD2Cとインフルエンサー事業がM&Aで1つに。100年残るブランドへ
- 売却した会社
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株式会社Fun(ファン)・株式会社JOINT LABEL(ジョイントレーベル) 様
- 買収した会社
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株式会社BitStar(ビットスター) 様
Instagramでの発信からフォロワーを増やし、多くの支持を集めるファッションブランド「FASHIRU(ファシル)」。SNSへの投稿を趣味で始め、インフルエンサーとなり、その後、2018年にインターネットでのファッション販売を事業化させ、Fun設立。
多くのフォロワーに支持されるアパレルブランドの成長を実現し、さらにその先を見据えてM&Aを考えたきっかけ、株式会社BitStarへの譲渡に至る経緯、そして将来への展望など、金沢ご夫妻と渡邉氏に伺いました。
インフルエンサーとして注目され、ECサイトでファッション販売
FUNとJOINT LABEL、2社の事業について教えてください
金沢吉治 氏:
株式会社Funの事業内容は「FASHIRU」(ファシル)と「JISTORY」(ジストーリー)というレディースアパレルを EC サイトで販売しています。株式会社JOINT LABELでは、新しくブランドを立ち上げたい方とブランドを立ち上げる事業を展開しています。
ファッションブランド「FASHIRU」の立ち上げについて伺えますか
金沢裕香 氏:
初めはInstagramで趣味程度に自分のファッションを投稿していました。将来洋服を扱うお仕事ができたらいいなとは思っていたので、フォロワーさんが3,000人ほど集まったタイミングで思い切って事業化しました。
お客様に1円でも出していただけるのがうれしく、その感謝の気持ちを大切に
Instagramでのコミュニケーションを見ていても、フォロワーさんに相当愛されているブランドに育っていると思います。そこに至るための秘訣や、運営において何を大切にされてきたのか聞かせてください。
金沢裕香 氏:
無我夢中で一生懸命にやってきた、というその言葉に尽きます。フォロワーさんがあってこそのブランドで、フォロワーさんに1円でもお金を出していただくのが本当にありがたいです。その感謝の気持ちをしっかりと表現してきたことが、今に繋がっているのではと思っています。Instagram上でのやりとりなので直接顔合わせでのやり取りではないですが、心からの感謝を元にした対応を通じてしっかりと気持ちは伝わるものなのだと感じました。
当時、Instagramの市場を見渡した際に類似のブランドはいましたか?
金沢裕香 氏:
今となっては多数いらっしゃいますが、始めた当初類似のブランドはほとんどなかったです。特に、弊社のようなディレクター自らが洋服を着て、販売しているブランドはそれほど多くなかったように思います。タイミングにも恵まれていたと、今となっては思っています。
ご夫婦のブランド運営における役割分担について聞かせてください。
金沢裕香 氏:
私がファッションブランド「FASHIRU」のディレクターをしており、商品のセレクトやPR業務を担当しています。裏方業務を、代表取締役社長を務める夫の金沢吉治が行っております。
夫は建築業に従事していましたが、FASHIRUの注文が増え、1日50件を超えるようになった頃から私一人での対応が難しくなり、ジョインしてもらいました。
金沢吉治 氏:
BitStarの社員の方々と一緒にブランドディレクターを支える業務と、新ブランド立ち上げに伴う採用活動にも携わっています。また、取引先との価格交渉なども私が行っています。
夫婦二人でできる範囲に限界があり、M&Aを検討
M&Aを考え始めたきっかけや背景は何ですか?
金沢吉治 氏:
まず知り合いから話を聞く中で、M&Aという選択肢があることを知りました。
金沢裕香 氏:
当時売上が伸びていく中で夫婦2人の対応できる範囲を超えてしまっていました。そこで今後のことを考えた時に、やはり大きな会社に支援頂きながら事業を進めていくほうがいいのではと考え、M&Aを検討するに至りました。
「これから一緒に成長しよう」という熱意が決め手
BitStar様とお会いになるまでに悩まれていたこと、苦労されたことはありますか?
金沢裕香 氏:
とても思い入れのあるブランドなので、どこの会社でもいいというわけではありませんでした。
これから更なる成長するにあたり、絶対に売却しなければならない理由もなかったので「素敵な会社が現れたら」と思っていましたが、中々出会えなかったことが一つ苦労したことかなと思っています。
そんな中、初めてBitStarさんに出会ったときに「これから一緒に成長しよう、伸ばしていこう」という熱意と活力を感じ、また拡大するにも今までのフォロワー様を大切にしていきたい気持ちを応援いただける会社様でしたので、「ぜひBitStarさんなら」とM&Aで一緒になることを決断しました。
M&Aが成立した現在の心境やお気持ちを教えて下さい。
金沢裕香 氏:
渡邉社長、執行役員の安原さんを筆頭にすごく温かい対応をしてくださっていることに感謝をしております。フォロワーさんに対して尽力していただいてますし、「もっとがんばりたい」という気持ちや熱意も日々引き出していただいています。
BitStar様との今後歩んでいきたい未来について聞かせてください。
金沢吉治 氏:
今後はFASHIRUを筆頭に安定的に成長を続けつつも、新しい方々と新ブランドを立ち上げ・拡大を進めていきたいと思っています。その中でもお客さんを大切にする気持ちはぶらさずに、続けていきたいと考えています。
友人のYouTuber支援をきっかけに会社を設立
BitStarの事業について聞かせてください。
渡邉氏:
YouTuberをはじめとするクリエイタープロダクション事業・コンテンツ制作事業・インフルエンサーマーケティング事業がこれまでの中心です。私自身はもともと、新卒でスタートアップに入社し、新規事業の立ち上げに従事したあと独立し、友人のYouTuberを支援したことをきっかけにBitStarを設立しました。
YouTuberを支援する事業が中心なのでしょうか。
渡邉氏:
YouTuberやTikTokerの方々のクリエイター支援事業、YouTubeを中心としたコンテンツ制作事業、この2つの事業をメインにやっています。
クリエイター支援では、当社はエージェンシービジネスからスタートしました。クリエイターのタイアップ支援から始め、エージェンシー(仲介)事業だけでなく、プロダクション(専属マネジメント)事業も立ち上げ、2つの形態でクリエイター支援をしています。
ほかのYouTuberマネジメント会社との違いでいうと、インフルエンサーの方々とさまざまな契約形態でビジネスをしている点やエージェントからスタートしている会社であるため営業機能が強いことが大きな違いでしょうか。インフルエンサーの方々とのネットワークの規模は、業界トップクラスだと考えています。
ヒト起点のビジネスとモノ起点のビジネスの両立を目指して
貴社がD2Cビジネスを行おうと思った背景はどのようなものだったのでしょうか?
渡邉氏:
前提として、当社ではD2Cビジネスと一口にいっても、クリエイターという「ヒト起点」で、彼らのファンのベースを活かすD2Cと、「モノ起点」で、ブランドにファンをつけて、D2Cブランドを立ち上げていく2パターンがあると考えております。
それぞれメリットデメリットは理解した上で、あえて私たち自身で本物のブランド作りをしていくことを通じて、モノづくりのノウハウをクリエイターの方にも還元できたり、それを通じて本物のブランドを構築していける可能性もあると思っています。
自社でやっていくことが結果的にクリエイター、お客様に対しても価値を提供できるのではと考えています。
過去の別事業でも、ノウハウが積み重なることで結果的に本業に良い影響を与えた成功体験もあったことも自社でやろうと思った背景ではあります。
ブランド化へのスピードを重視し、M&Aを視野に
D2Cビジネスに関してM&Aを実施する前から取り組んでいたことはありましたか?あった場合、それを踏まえてもM&Aを検討背景はなんでしょうか?
渡邉氏:
D2Cについては以前から取り組んでおりました。しかし自社でブランド作りをすることは、一朝一夕に出来ることではなく、時間もかかります。時間がかかればかかるほど市場トレンド変化や、競合増加も予想できたため、スピード感を持った事業立ち上げのためにもM&Aも検討しておりました。
ウィルゲートにM&Aをご相談いただいたきっかけは何でしたか。
渡邉氏:
ウィルゲートの吉岡さんがFacebookにM&A案件の簡易的な概要を投稿されていたのを見てご連絡しました。その時点では、自分たちが探し求めていた会社さんかどうかまではわかりませんでしたが、私たちがやりたいことに近いのではと思い、吉岡さんへご連絡いたしました。
新しく入社した担当者の熱意が、M&A推進の決定打に
Fun社・JOINT LABEL社とのやりとりの中で印象的だったことはありますか?
渡邉氏:
初対面の時点で私としては既にD2Cをやりたい気持ちは有りましたが、会社としては整理がついていませんでした。実際、「誰が担当するのか」「会社として、なぜやるのか」「やる意義」や、目標など含めて整理することに時間がかかりました。
そんな折に、現在担当の安原が入社してきました。正直事業にコミットする責任者の納得感が大切だと考えていたので金沢ご夫妻とも面談の上、彼の意向を聞いたところ「ぜひこのブランドを育てたい」との熱意をもらったことも1つ重要なポイントだったと思っています。
オンライン面談でも伝わってきた誠実な人柄
金沢ご夫妻と一緒にやっていこうと思った決め手を伺えますか。
渡邉氏:
一番は金沢ご夫妻の人柄です。コロナ禍で最初はオンライン面談だったのですが、お客様に真摯に誠実に取り組まれているのが伝わってきました。
直接お会いしていない段階で「一緒にやりましょう」というのは普通はリスクも高いと思いますが、画面越しでも誠実さが伝わってきたことが一番の決め手ですね。
BitStar社と一緒にやっていこうと思った決め手を伺えますか。
金沢裕香 氏:
一番は渡邉社長や安原さんをはじめ、BitStarの会社の雰囲気がすごく素敵だなと思いますので、そこが一番大きいですね。
M&Aで1つに融合し、100年後に残るブランドへ
今後の未来について聞かせてください。
渡邉氏:
私たちの会社は、ミッションとして100年後に名前が残る産業・文化をつくることを考えています。やるからには人々の記憶に残る、そういったブランドをつくっていきたいので、目指す目標は大きいですね。
金沢ご夫妻と協力し、お客様にますます支持される人気ブランドをつくっていきたいなと思っています。
ウィルゲートのここが良かった、どんな会社におすすめといったことはありますか。
渡邉氏:
仲介の立場は、売り手か買い手のどちらか側に寄ってしまいがちと思っていました。しかし、私の見ていた印象では両者にしっかり寄り添って、お互いのニーズを引き出し、きちんとすり合わせができていたのではと思っています。
非常に中立的な立場で成約に結び付けていただき、素晴らしいと感じています。またウィルゲートはIT系のネットワークがすごくお有りだと思うので、ネット業界の方々は特に相性がいいと思っています。
参加者情報
売り手様プロフィール
金沢吉治 氏
金沢裕香 氏
譲渡企業:株式会社Fun(ファン)/ 株式会社JOINT LABEL(ジョイントレーベル)
設立:2018年
事業内容:
D2Cブランド事業
https://fashiru.shop
https://jointlabel-stk.shop
買い手様プロフィール
代表取締役社長 CEO 渡邉 拓 氏
譲受企業:株式会社BitStar(ビットスター)
設立:2014年
事業内容:
クリエイタープロダクション事業、コンテンツ制作事業、インフルエンサーマーケティング事業、D2Cブランド事業
https://corp.bitstar.tokyo/
仲介企業
インタビュアー:吉岡 諒 ウィルゲート専務取締役(写真一番左側)